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細菌性腟炎は市販薬で治せる?治療法と受診の目安をわかりやすく解説

[2025.09.10]

デリケートゾーンのかゆみやおりものの変化に、不安を感じていませんか。もしかすると、それは細菌性腟炎による症状かもしれません。日本では多くの女性が細菌性腟炎に悩んでいる一方で、正しい知識を持つ人はまだ少ないのが現状です。

この記事では、細菌性腟炎の代表的な治療法、婦人科を受診すべき目安、再発を防ぐためのセルフケアについて解説します。ご自身の症状と照らし合わせながら、適切な対処法を知り、より快適な日常生活を目指しましょう。

橋本駅南口から徒歩1分の長谷川レディースクリニックでは、生理不順やPMS(月経前症候群)など、女性特有の症状に関するご相談に加え、男性不妊に関する検査・治療にも対応しています。経験豊富な専門医が、一人ひとりのお悩みに寄り添いながら、適切な医療サポートを提供いたします。

また当院では、神奈川県相模原市・淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックと連携し、婦人科および不妊治療においてスムーズな連携体制を構築しています。検査結果や治療方針の共有により、患者さまにとって安心かつ効率的な診療環境をご提供いたします。

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市販薬では細菌性腟炎を根本的に治すことはできない

細菌性腟炎は、腟内の細菌バランスが崩れることで発症すると考えられている感染症です。性行為や過度な洗浄などによってバランスが乱れると、ガードネレラ菌が増殖し、発症につながります。代表的な症状は次のとおりです。

  • おりものの増加
  • 特有のにおい
  • デリケートゾーンのかゆみ

症状が出ると、市販薬で対応しようと考える人もいますが、ドラッグストアで購入できる腟洗浄液やデリケートゾーン用ソープは次のような位置づけです。

  • 一時的に症状をやわらげるサポート
  • 再発予防の補助的な役割
  • 根本的な治療手段ではない

改善を目指すには、婦人科での診察と検査が欠かせません。医師による診断によって、細菌性腟炎かどうか、あるいは他の感染症や病気が潜んでいないかを正確に見極めてもらえます。治療には次のような抗菌薬が使われることがあります。

  • メトロニダゾール
  • クリンダマイシン

これらはいずれも医療用医薬品であり、医師の処方が必要です。症状に合わせた薬を使用することで、改善が期待できます。特に妊娠中の方は、細菌性腟炎が早産のリスクを高める可能性があるため、早期の診断と治療が重要です。兆候を見逃さず、早めに受診することが安心につながります。

細菌性腟炎の治療法

細菌性腟炎の治療のためには、医療機関を受診し、適切な処方薬の使用が重要です。自己判断で市販薬を使用しても、根本的な解決には至らず、症状が長引いたり、再発を繰り返したりする可能性があります。以下の治療法を解説します。

  • メトロニダゾール
  • クリンダマイシン
  • 腟洗浄:非推奨

メトロニダゾール

メトロニダゾールは、細菌性腟炎の治療に使われる抗菌薬です。投与方法には、内服薬と腟錠の2種類があります。患者さんの状態や生活スタイルに合わせて選択されます。使用方法や投与期間については、必ず医師の指示に従うことが大切です。

効果が期待できる一方で、まれに副作用が報告されています。

  • 吐き気
  • 下痢
  • 薬疹などの皮膚症状

治療中は、医師や薬剤師の説明をよく聞き、指示通りに服用しましょう。妊娠中は12週以降であれば内服可能ですが、通常は腟錠が優先的に選ばれます。治療中に体調の変化を感じたら、自己判断せず医師に相談することが重要です。

クリンダマイシン

クリンダマイシンも、細菌性腟炎の治療に使用される場合があります。膣用剤(クリームやゲル)を就寝前に使用します。なお、保険適用外のため注意しましょう。

治療薬の選択は、患者さんの状態に応じて医師が判断します。治療にはそれぞれ利点と注意点があるため、避妊方法を含む生活面での留意点も医師に相談することが大切です。

腟洗浄:非推奨

腟洗浄は一般的に治療法として推奨されていません。おりものの増加や不快な臭いが気になると、腟内を洗いたくなるかもしれませんが、以下の理由から注意が必要です。

  • 善玉菌まで洗い流してしまう可能性がある
  • 自浄作用を乱し、かえって症状が悪化・再発する恐れがある

細菌性腟炎などの多くは、腟内の菌のバランス(常在菌叢)の乱れが原因で起こります。そのため、過剰な洗浄や市販の腟洗浄液の使用は、かえって逆効果になることがあります。

デリケートゾーンを清潔に保つには、外陰部を低刺激性の石けんでやさしく洗う程度で十分です。

病院を受診する判断ポイント

デリケートゾーンの不調は多くの人に起こりうるものですが、症状によっては医療機関での診察が必要となることがあります。おりものの変化や不快感を感じたとき、受診を検討すべきかどうかを判断するための主なポイントは以下のとおりです。

  • 魚臭いおりものが出る
  • 外陰部のかゆみが続く
  • 月経前後に悪化しやすい
  • パートナーに性感染症が疑われる
  • 市販の薬で改善しない

魚臭いおりものが出る

おりものに魚のような生臭いにおいがするのは、細菌性腟炎に特徴的な症状の一つです。ガードネレラ菌が産生するトリメチルアミンが原因物質です。においが気になるときには、以下のような特徴が見られることがあります。

  • 性行為後や月経中ににおいが強くなる
  • 灰白色や黄緑色で、水っぽい・泡状のおりものが出る場合がある

「いつもとおりもののにおいが違う」「色や状態が変化している」と感じたら、婦人科を受診しましょう。自己判断で放置すると、症状が悪化したり他の病気を合併したりするリスクがあります。

外陰部のかゆみが続く

外陰部にかゆみが長く続く場合も、細菌性腟炎が原因となっている可能性があります。代表的な症状には次のようなものがあります。

  • 腟内のpHバランスが乱れることで炎症が起こる
  • ヒリヒリ感や痛みを伴うことがある
  • 掻きむしると皮膚に傷がつき、症状悪化や二次感染のリスクが高まる

かゆみが治まらない場合は、婦人科を受診して原因をきちんと調べてもらうことが大切です。

月経前後に悪化しやすい

細菌性腟炎の症状は、月経周期に合わせて悪化を繰り返すことがあります。特に月経前後は次のような理由で症状が強まりやすいとされています。

  • ホルモンバランスの変化により腟内環境が乱れる
  • 月経血が細菌にとって栄養源となる
  • 経血が腟内に残ると症状の悪化につながる

繰り返し症状が悪化する場合は、生活習慣や基礎疾患の影響も考えられるため、医師に相談し適切な治療や生活指導を受けましょう。

パートナーに性感染症が疑われる

パートナーに性感染症が疑われる場合は、自身も感染している可能性があるため注意が必要です。細菌性腟炎そのものは性感染症ではありませんが、性感染症と併発することがあります。クラミジア感染症や淋菌感染症は腟内に炎症を起こし、細菌性腟炎のリスクを高めることが知られています。

また、細菌性腟炎があると腟の粘膜が傷つきやすくなり、ほかの性感染症に感染しやすくなる可能性もあります。パートナーに症状が見られるときは、一緒に婦人科を受診して検査を受けることが望ましいです。

市販の薬で改善しない

市販の腟ケア用品やカンジダ腟炎の治療薬を使っても症状が改善しない場合、自己判断で治療を続けるのは危険です。細菌性腟炎は市販薬では効果が得られず、かえって症状を悪化させる可能性があります。市販薬では原因菌であるガードネレラ菌を直接退治することはできません。

使用を続けると治療開始が遅れ、症状の長期化や重症化につながる恐れがあります。早期に医療機関で検査と診断を受け、適切な治療を行うことで、改善と再発予防につながります。

細菌性腟炎の再発を予防するセルフケア

細菌性腟炎は、再発しやすい病気です。再発を繰り返すと、日常生活にも支障をきたし、精神的な負担も大きくなってしまいます。正しいセルフケアを継続することで、再発のリスクを減らし、健康な状態の維持につながる可能性があります。以下のセルフケアを今日から実践しましょう。

  • デリケートゾーンを正しく洗う習慣をつける
  • コンドームを使用する
  • 禁煙する
  • 生活習慣を見直す
  • 定期的に婦人科検診を受ける

デリケートゾーンを正しく洗う習慣をつける

デリケートゾーンは乳酸桿菌によって弱酸性に保たれ、雑菌の繁殖を防いでいます。しかし、洗浄力の強い石けんやボディソープでゴシゴシ洗うと、必要な乳酸桿菌まで失われ、腟内の菌バランスが崩れて細菌性腟炎を起こしやすくなります。正しいケア方法は、デリケートゾーン専用の弱酸性ソープでやさしく洗うことです。

強くこすったり、洗浄液を腟内まで入れたりする必要はありません。ビデなどを使って腟内を洗浄すると善玉菌まで流れてしまうため、再発予防には逆効果です。外陰部を清潔に保つことを意識しましょう。

コンドームを使用する

性行為は、細菌性腟炎の原因菌が腟内に入り込みやすい状況をつくります。コンドームは性感染症の予防だけでなく、細菌性腟炎の予防にも役立ちます。細菌性腟炎は性感染症ではありませんが、性行為によって腟内の細菌バランスが乱れやすくなり、発症のリスクが高まります。

パートナーの感染状況が不明な場合でも、コンドームを使用することでリスクを抑えられる可能性があります。ただし、クリンダマイシンを内服中はラテックス製コンドームが破れやすくなるため注意が必要です。ポリウレタン製のコンドームなど、代替方法について医師に相談しておくと安心です。

禁煙する

喫煙は免疫力を低下させ、細菌性腟炎を含む感染症にかかりやすくする要因となります。具体的には次のような影響があります。

  • 免疫力の低下により腟内環境が乱れる
  • 原因菌が増殖しやすくなる
  • 善玉菌である乳酸桿菌が減少する
  • 細菌性腟炎が発症しやすい状態になる

再発を防ぐためには禁煙が重要です。禁煙が難しい場合は、医師や専門機関に相談して支援を受けることを検討しましょう。

生活習慣を見直す

生活習慣を見直すことは、細菌性腟炎の再発予防に役立ちます。特に以下の点を意識すると良いでしょう。

  • バランスの良い食事を心がける
  • 適度な運動を取り入れる
  • 十分な睡眠で免疫力を維持する
  • 糖質の過剰摂取を控える(腟内グリコーゲン増加を防ぐため)
  • ストレスをため込まず解消法を見つける

規則正しい生活を続けることで免疫力が高まり、健康な腟内環境を維持しやすくなります。

定期的に婦人科検診を受ける

細菌性腟炎は自覚症状がないまま進行することがあるため、定期的な婦人科検診が大切です。検診を受けることで次のようなメリットがあります。

  • 無症状でも早期発見できる
  • 適切な治療で重症化や慢性化を防げる
  • 医師に相談することで自分に合った再発予防策を見つけられる

婦人科の受診は勇気がいるかもしれませんが、将来の健康を守るために欠かせない習慣です。定期的な検診を生活の一部に取り入れましょう。

まとめ

細菌性腟炎は腟内環境の乱れが原因で起こる感染症です。おりものの変化やかゆみ、においなどの異変があれば、市販薬ではなく婦人科で適切な検査と治療を受けましょう。治療には抗菌薬(メトロニダゾールやクリンダマイシンなど)が用いられます。再発予防には以下を心がけることが大切です。

  • 正しい洗浄方法を守る
  • 性交時はコンドームを使用する
  • 禁煙を意識する
  • 規則正しい生活習慣を整える
  • 年に1回は婦人科検診を受ける

日頃から心身のバランスを整え、デリケートゾーンの健康を保つことが予防につながります。

参考文献

Shifa Taj, Mohammed Zuber, Vidhyashree Ballagere Hanumanthaiah, Rajesh Venkataraman, Sathish Kumar Puttegowda, Syed Afrid, Sai Kiran. Metronidazole Induced Cutaneous Adverse Drug Reaction- A Systematic Review of Descriptive Studies. Curr Rev Clin Exp Pharmacol, 2024, 19, 3, p.269-284

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