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シリンジ法とは?実施方法やメリット、注意点、妊娠率を詳しく解説

[2025.09.10]

不妊治療は費用面だけでなく、精神的なストレスも大きく、多くの方が負担を感じています。自宅で手軽に取り組める妊活の一つとして注目されているのが「シリンジ法」です。シリンジ法は、性交渉を行わず、針のない注射器を使用して精子を腟内に注入します。性交痛や射精障害などの問題を抱えるご夫婦にとって有効な選択肢です。

この記事では、シリンジ法の具体的な方法やメリット・欠点、妊娠率について医師の視点を交えて詳しくご紹介します。シリンジ法に関する理解が深まることで、不妊治療における新たな選択肢が見つかるかもしれません。

橋本駅南口から徒歩1分の長谷川レディースクリニックでは、婦人科・不妊治療や男性不妊に関する検査・治療にも対応しています。経験豊富な専門医が、一人ひとりのお悩みに寄り添いながら、適切な医療サポートを提供いたします。

また当院では、神奈川県相模原市・淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックと連携し、婦人科および不妊治療においてスムーズな連携体制を構築しています。検査結果や治療方針の共有により、患者さまにとって安心かつ効率的な診療環境をご提供いたします。

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シリンジ法の基本と実施方法

シリンジ法に関する基本的な知識と手順について、以下の内容を解説します。

  • シリンジ法とは針を使わない妊活の選択肢
  • シリンジ法に必要なアイテム
  • シリンジ法が向いている人・向かない人

シリンジ法とは針を使わない妊活の選択肢

シリンジ法は、針を使わずに専用の注射器(シリンジ)を用いて採取した精液を女性の腟内に直接注入する方法で行う妊活法の一つです。性交渉を行わずに精子を届けることで、赤ちゃんを授かるチャンスを広げる可能性が高まります。シリンジは、小さなプラスチック製の筒状で、針は付いていません。

シリンジ法は、正式な医療行為ではなく、自宅での補助的な妊活手段です。市販の妊活専用シリンジキットを使用するのが一般的で、ドラッグストアやインターネット通販などで手軽に購入できます。キットには、シリンジのほかに精液採取用の容器や、注入を補助する道具が同梱されていることもあります。以下のケースでは、シリンジ法の活用がおすすめです。

  • 性交痛などの身体的な困難がある場合
  • 性交自体に精神的ストレスを感じている場合
  • 男性側に射精障害がある場合

シリンジ法に必要なアイテム

シリンジ法を行う際には、以下の3つのアイテムをそろえておくとスムーズです。

  • シリンジキット:精液を腟内に注入するために必要な器具一式
  • 精液採取用容器:精液を入れる清潔な容器
  • 排卵検査薬:排卵日を約1~2日前に予測する検査薬

妊娠の可能性を高めるには、排卵日を正確に把握することが重要です。作業時に備えて、清潔なタオルやティッシュペーパーなども準備しておくとより安心して取り組めます。

シリンジ法が向いている人・向かない人

シリンジ法は、性交が困難な夫婦にとって一つの選択肢となり得ますが、すべての人に適しているわけではありません。シリンジ法に適している人は以下のとおりです。

  • 性交時に痛みを感じる女性や、腟のけいれん、性交に対する恐怖感がある女性
  • 射精に関する障害を持つ男性
  • 精神的な理由から性交が難しい夫婦
  • セックスレス状態が続いている夫婦
  • その他、何らかの理由で性交が困難な夫婦

シリンジ法に適さない人は以下のとおりです。

  • 子宮や卵管に異常がある女性
  • 精子の量や質に重大な問題がある男性
  • 長期間、原因が不明の不妊が続いている夫婦

シリンジ法が適さないと感じた場合は、人工授精や体外受精など、他の選択肢も含めて検討することが重要です。まずは婦人科や不妊専門クリニックで医師に相談しましょう。

シリンジ法と他の不妊治療との比較

シリンジ法は、自宅で実施できるため医療機関を訪れる必要がなく、プライバシーを守りながら妊活を進められる方法です。専用キットがあれば特別な医療機器や高度な技術は不要で、精神的な負担も少ないのが特徴です。費用面でも経済的で、基本的にはキットの購入費用のみで取り組むことができます

人工授精や体外受精は医療機関で専門的な技術を用いて行われる治療法です。人工授精では、精子を洗浄・濃縮し、女性の子宮内に直接注入します。自然妊娠よりも妊娠率は高くなりますが、1回あたりの治療費は数万円程度が一般的です。

体外受精は、さらに妊娠率が高まる可能性のある治療法で、卵子と精子を体外で受精させた後、受精卵を子宮に戻す方法です。高度な医療技術と設備を要するため、1回の治療で数十万円かかることもあります。各治療法の特徴やコスト、必要な医療レベルを理解することで、自分自身の生活スタイルや経済的な状況に合った妊活方法を選択しやすくなります。

シリンジ法の実施ステップ

シリンジ法を行う際の具体的な流れは、以下のとおりです。

  • 排卵日の確認
  • 精液の採取
  • 腟内への注入

排卵日の確認

妊娠の可能性を高めるには、女性の排卵日に合わせてシリンジ法を実施することが重要です。排卵日を予測するためには、排卵検査薬の使用や基礎体温の測定が有効な手段です。排卵検査薬は、尿中に含まれる黄体形成ホルモン(LH)の濃度を測ることで、排卵のタイミングを予測します。

基礎体温法では、毎朝起床後すぐに舌下で体温を測り、日々の変化を記録することで排卵の兆候をつかみます。排卵検査薬や基礎体温法を併用することで、より正確に排卵日を把握でき、妊娠のチャンスを高めることが期待できます。

精液の採取

排卵日が近いと判断できたら、シリンジ法を実施します。男性は清潔な容器に精液を採取しますが、感染予防のために手を石鹸でよく洗っておくことが大切です。採取したばかりの精液は粘性がありますが、常温で5〜10分程度放置することで液状化し、サラサラとした状態になります。液状化は、精子が活発に動けるようになるための自然な工程です。

精液が液状化したら、シリンジを使って、ゆっくりと吸い取ります。吸い取り時は、空気がシリンジ内に入らないように注意しましょう。空気の混入は、注入時の違和感や精子の運動に影響を与える可能性があります。

腟内への注入

腟内への挿入の深さはタンポンを入れる程度を目安にし、シリンジの先端からゆっくりと精液を注入します。注入が終わったら、シリンジを静かに抜いてください。注入後は5〜10分程度安静にすると、精子が子宮頸部に届きやすくなります

お尻の下にクッションや枕を敷いて骨盤を少し高くすると、精液が腟外に漏れにくくなり、受精の可能性を高める助けになります。一連の作業は、必ず衛生的な環境で行うことが大切です。腟内に器具を挿入することになるため、使用するシリンジは清潔なものを用い、手洗いや器具の消毒にも十分に注意しましょう。

正しい手順と落ち着いた対応を心がければ、シリンジ法は難しい方法ではありません。もし操作に不安がある場合や不明点がある際は、医療機関に相談するのも一つの方法です。

シリンジ法による妊娠の可能性

シリンジ法による妊娠率は、自然妊娠と同程度とされており、多くの要因によって左右されるとされます。年齢や体の状態などによって個人差があることを理解しておくことが必要です。一般的に、35歳未満の女性のほうが妊娠しやすく、年齢が上がるにつれて妊娠率は低下します。加齢に伴って卵子の質や数が減少し、染色体異常を伴う卵子の割合が増えるためです。

妊娠しづらくなるだけでなく、流産のリスクも高くなります。妊娠率には、男性の精子の状態や女性の卵管の健康状態なども大きく関係するからです。ホルモンバランスや生活習慣なども妊娠のしやすさに影響を与える可能性があります。ある研究では、父親の年齢が上がると、精子の質が下がり、不妊治療の成功率も下がる可能性が指摘されています。

妊娠の可能性は一律ではなく、個人の年齢や体調、過去の医療歴など、さまざまな要素が複雑に関係しています。妊活を進めるうえでは、医師のアドバイスを受けながら、自分たちに合った方法を選ぶことが大切です。

シリンジ法のメリットとは?手軽さ・経済性・心の負担軽減が魅力

シリンジ法には、以下の3つのメリットがあります。

  • 手軽に始められる
  • 費用面
  • 精神的ストレスの軽減

手軽に始められる

シリンジ法の大きな魅力は、自宅で手軽に実施できる点です。病院へ通う必要がなく、自分たちの都合に合わせて好きなタイミングで行えるため、ライフスタイルに合わせやすい方法です。必要なものはシリンジキットのみで、ドラッグストアやオンラインショップで簡単に入手できます。

人工授精のように病院のスケジュールに合わせて通院する必要がないため、仕事で忙しい方や、通院が難しい状況の方にとっては、利用しやすい方法とされます。

費用面

シリンジ法は、他の不妊治療と比べて費用が大幅に抑えられる点でも注目されています。1回あたり数百円で実施できるため、継続的に試す場合でも経済的な負担が少なく済みます。人工授精には1回につき約1.5〜5万円、体外受精は1回あたり数十万円かかる場合もあり、費用面の負担が大きいことがあります。

経済的な理由で高度な治療が難しい方にとって、シリンジ法は手頃な価格で妊活を続けられる現実的な選択肢となります。

精神的ストレスの軽減

性交渉に対するプレッシャーや抵抗感がある方にとって、シリンジ法は精神的な負担を和らげる手段として有効です。性交渉そのものが大きな苦痛と感じる方もいます。シリンジ法は性交を伴わない妊活方法であるため、身体的な痛みだけでなく、精神的なストレスの軽減にもつながります

男性側に射精障害があるケースにもシリンジ法は適しているとされています。射精障害には、以下の種類があります。

  • 射精がまったくできない場合
  • 腟内射精が困難である場合

問題を抱えるご夫婦でも、シリンジ法であれば身体的ハードルを下げ、自宅で落ち着いて妊活に取り組むことが可能です。性交渉に精神的な負担を感じていたり、セックスレスで悩んでいたりするご夫婦にとっても、シリンジ法は状況に応じて妊活を行う一つの選択肢となります。

シリンジ法のデメリット

シリンジ法のデメリットは、以下が挙げられます。

  • 感染症リスク
  • 技術面での注意点と課題

感染症リスク

シリンジ法を安全に行うためには、徹底した衛生管理が必要です。適切でない方法で実施すると、感染症のリスクが高まる可能性があります。シリンジキットは必ず清潔なものを選び、使用前後には石鹸でしっかりと手を洗うなど、基本的な衛生対策を確実に行いましょう。

精液の採取時も清潔な容器を使用し、外部から雑菌が混入しないよう注意が必要です。不衛生な環境で行うと、腟内に細菌が入り込み、腟炎などの感染症を引き起こすリスクがあります。

技術面での注意点と課題

シリンジ法は比較的簡便な方法ですが、精液を腟内に適切に注入するには一定の操作スキルが必要です。初めて行う方にとっては、シリンジの扱いやタイミングの見極めに戸惑う可能性があります。シリンジ法による妊娠率は、個人差はありますが自然妊娠と同程度とされています。感染のリスクや操作上の課題があることを理解したうえで取り組むことが大切です。

シリンジ法のメリット・デメリットを総合的に踏まえたうえで、自分たちにとって適切な妊活方法かどうかを慎重に検討しましょう。操作に不安がある場合や疑問があるときは、医療機関での相談をおすすめします。

まとめ

シリンジ法は、自宅で簡単に実践できる妊活の方法であり、経済的な負担が少ない点も大きな魅力です。性交渉が困難なご夫婦や、精神的ストレスを軽減したい方にとって、有効な選択肢となります。妊娠率は自然妊娠とほぼ同等とされていますが、感染のリスクや使用時の技術的な難しさなどの課題も存在します。

メリットとデメリットを正しく理解し、パートナーと十分に話し合ったうえで導入を検討することが大切です。シリンジ法を一定期間試しても妊娠に至らない場合は、人工授精や体外受精といった他の治療法も視野に入れましょう。不妊治療に関する専門的なアドバイスは、医療機関で受けることができます。

焦らず、自分たちに合った方法を見つけながら、前向きに妊活に取り組むことが大切です。

参考文献

Rakesh Sharma, Ashok Agarwal, Vikram K Rohra, Mourad Assidi, Muhammad Abu-Elmagd, Rola F Turki.Effects of increased paternal age on sperm quality, reproductive outcome and associated epigenetic risks to offspring.Reprod Biol Endocrinol,2015,13,,p.35

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