自宅で確認できる男性不妊のセルフチェック|専門医による検査・治療まで詳しく紹介
「なかなか子どもを授かれない」と感じている場合、不妊の原因は女性側だけにあるとは限りません。厚生労働省の不妊治療に関する調査研究によると、不妊の原因について「男性側に起因する割合」は4〜6割とされ、不妊原因に男性側の要因が関与している可能性が示されています。
本記事では、男性不妊について、自宅で行えるセルフチェックや、主な原因、医療機関での検査内容、治療法までを解説します。ご自身の体と向き合い、妊娠という未来に向けた一歩を踏み出してみましょう。
橋本駅南口から徒歩1分の長谷川レディースクリニックでは、生理不順やPMS(月経前症候群)など、女性特有の症状に関する検査・治療にも対応しています。経験豊富な専門医が、一人ひとりのお悩みに寄り添いながら、適切な医療サポートを提供いたします。
また当院では、神奈川県相模原市・淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックと連携し、婦人科および不妊治療においてスムーズな連携体制を構築しています。検査結果や治療方針の共有により、患者さまにとって安心かつ効率的な診療環境をご提供いたします。
男性不妊とは?妊娠に影響する男性側の生殖機能の問題
男性不妊とは、精子をつくる機能や、精子が体外へ運ばれる過程に何らかの障害が生じることで、妊娠が成立しにくくなる状態を指します。具体的には、次のケースが含まれます。
- 精液中の精子数が基準値より少ない
- 精子の運動性が低い
- 精子の形態に異常がみられる
- 精子がほとんど、または全く作られていない
これらの異常があっても、日常生活の中で自覚症状が現れることは少なく、妊娠を希望して検査を受けた際に、初めて判明することも珍しくありません。精液の見た目や射精時の状態、生活習慣などを振り返ることで気づけるポイントも存在します。まずはセルフチェックで確認してみることが、受診を検討するきっかけになる場合もあります。
男性不妊を確認するためのセルフチェック項目
セルフチェックは医師による診断を置き換えるものではありませんが、ご自身の体の状態を知り、受診が必要かどうかを判断するための目安になります。男性不妊を考える際に確認しておきたいセルフチェック項目は、次の5つです。
- 精液の量
- 精液の色
- 精液の粘り気
- 射精時の違和感や感覚
- 日常の生活習慣
精液の量
精液量は、男性の生殖機能を知るうえで重要な目安の一つです。世界保健機関(WHO)では、1回の射精で1.4mL以上を基準としていますが、医療現場ではおおよそ2〜5mLを正常範囲として扱うことが一般的です。精液の量が1mL未満と極端に少ない場合や、これまでと比べて明らかに減ってきたと感じる場合には注意が必要です。
背景として、ホルモン分泌の乱れや射精管のトラブル、前立腺や精嚢の異常、慢性的な炎症などが関係している可能性があります。精液量が少なくても精子の数や運動性が保たれていれば妊娠に至ることはあります。変化が続く場合は泌尿器科や不妊治療を専門とする医療機関での相談が勧められます。
精液の色
精液の色は、体の状態を知るための大切なサインの一つです。健康な精液は、乳白色からやや灰白色をしており、精子と精漿(精液を構成する液体成分)が混ざり合うことで生じます。射精直後は少し透明感があり、時間が経つにつれて白く濁っていくのが一般的です。
以下の色の変化が見られる場合には、何らかの異常が関係している可能性があります。
- 黄色っぽい場合:前立腺や尿道の感染症、射精間隔が長いことによる酸化の影響
- 赤色や茶色がかっている場合:精液に血液が混じる血精液症の可能性
- 透明に近い場合:精子の濃度が低下している、精子が含まれていない無精子症の可能性
一時的な変化であれば心配のないこともありますが、異なる色の状態が続く場合には、泌尿器科で精液検査や感染症の検査を受けましょう。
精液の粘り気
通常、精液は射精した直後はやや粘度がありますが、15〜30分ほどで自然にサラサラとした状態へ変化します。液状化の性質は、精子が女性の体内をスムーズに進めるために欠かせない要素です。以下の状態が見られる場合は、注意が必要です。
- 射精直後から水のようにサラサラしている
- ゼリー状で固まりが強すぎる
- 30分以上経過しても液状化しない
こうした状態が継続すると、精子の運動性に悪影響を及ぼす可能性があるため、気になる場合は専門医への相談を検討すると安心です。
射精時の違和感や感覚
健康な射精でははっきりとした射精感があり、ある程度の快感を伴うことが一般的です。以下の変化を自覚する場合は注意が必要です。
- 射精した感覚が以前より明らかに弱くなっている
- 射精の際に痛みや不快感を覚える
- 射精している感覚がほとんど感じられない
このような状態が続く場合は、体の不調や何らかの機能的な問題が関係している可能性もあるため、早めに医療機関へ相談しましょう。
日常の生活習慣
生活習慣は、精子の量や質に大きく関係するといわれています。以下の習慣は男性の生殖機能に影響を及ぼす可能性があります。
- 喫煙:タバコに含まれる有害成分が、精子の数や運動性を低下させる
- 過度な飲酒:アルコールを摂りすぎると、精子の生成過程に悪影響を与える
- 偏った食事:栄養バランスが崩れた食生活は、精子の質の低下につながりやすい
- 運動不足:適度な運動は体調管理だけでなく、精子の状態を良好に保つ助けになる
- 強いストレス:慢性的なストレスは男性ホルモンの分泌に影響し、生殖機能に影響を与える
日々の習慣を見直すことは、男性不妊の予防や改善に向けた大切な第一歩につながる可能性があります。
男性不妊の主な原因
男性不妊は原因が一つとは限らず、精子を作る機能、精子が通過する経路、ホルモンバランスのいずれか、あるいは複数に問題が生じているケースが多く見られます。代表的な要因は次のとおりです。
- 精巣機能の低下:感染症や外傷、停留精巣、加齢などによって精巣の働きが弱まり、精子の数や質に影響が出る
- 精路の通過障害:精管や射精管などの精子の通り道が閉塞し、精子が体外に排出されなくなる
- ホルモンの異常:脳下垂体や甲状腺の機能に問題が起こり、精子形成に必要なホルモン分泌が乱れる
- 遺伝的な要因:染色体異常や遺伝子の変化が、精子の形成に影響を及ぼす
- 生活習慣・環境の影響:喫煙や飲酒、肥満、強いストレス、高温環境での長時間作業、化学物質への曝露などが精子の質を低下させる
男性不妊の約半数は、こうした複数の要因が重なって起こるとされています。正確な原因を把握するためには、精液検査やホルモン検査、超音波検査など、医療機関での専門的な評価が重要です。
男性不妊の検査方法
代表的な男性不妊の検査の種類や、検査を受ける適切なタイミング、費用の目安を解説します。
男性不妊の検査の種類
男性不妊の検査は、原因を的確に見極めるために複数の検査を組み合わせて実施されます。基本となるのが精液検査で、精子の数や運動率、形の状態などを総合的に評価します。世界保健機関(WHO)の基準は、以下のとおりです。
- 精子濃度:1mLあたり1,500万以上
- 総精子数:1回の射精で3,900万以上
- 前進運動精子:32%以上
- 正常形態精子:4%以上
血液検査では、テストステロンやFSH、LHなどのホルモン値を調べ、精子形成に関わる内分泌機能に異常がないかを確認します。超音波検査によって精巣や精管の状態を観察し、精索静脈瘤や腫瘍などの有無をチェックします。
必要に応じて、遺伝子検査で染色体や遺伝子の異常を調べたり、精巣生検によって精子が正常に作られているかを顕微鏡で確認したりすることもあります。これらの検査結果を総合的に判断し、医師が個々の状態に合わせた治療方針を提案します。
検査を受ける適切なタイミング
男性不妊の検査の目安は、パートナーと避妊をせずに性交渉を続けているにもかかわらず、1年以上妊娠に至らない場合です。女性が35歳以上の場合や、男性に精巣に関する既往歴(おたふく風邪による精巣炎、鼠径ヘルニアの手術経験など)がある場合には、結果を待たずに早めの受診が勧められます。
セルフチェックの段階で精液の量や色に変化があったり、射精時の感覚に明らかな違和感を覚えたりした場合も、できるだけ早く医療機関に相談することが重要です。不妊治療は早期対応が鍵となるため、少しでも気になる症状があれば、迷わず専門医に相談するようにしましょう。
検査にかかる費用の目安
男性不妊の検査費用は、受ける検査の内容や医療機関によって差があります。初診時に行われる基本的な精液検査であれば、保険が適用されるケースでは数千円程度で受けられることが一般的です。精液検査に加えて、ホルモン検査や超音波検査を実施する場合には、その分の費用が追加されます。
精子の機能をより詳しく調べる検査や遺伝子検査などは、自費診療となることもあります。具体的な金額は医療機関ごとに異なるため、事前に確認しておくと安心です。なお、2022年4月から不妊治療に関する保険適用の範囲が拡大され、男性不妊に関する検査や一部の治療についても、保険が利用できるケースが増えています。
男性不妊の主な治療法
男性不妊の治療は、原因の種類や症状の程度によって選択されます。状態に応じて、単独または複数の方法を組み合わせて行うのが一般的です。代表的な治療の考え方として、以下の方法があります。
- 生活習慣の見直し
- 薬物療法
- ホルモン療法
- 手術療法
- 生殖補助医療
生活習慣の見直し
日々の過ごし方を見直すことで、精子の状態が良くなるケースも少なくありません。男性不妊の対策として、以下の取り組みが勧められています。
- 禁煙
- 節度ある飲酒(週に2〜3回程度を目安)
- 栄養バランスの良い食事(抗酸化作用のある食品を意識して取り入れる)
- 適度な運動習慣(週3〜4回、1回30分ほど)
- ストレスのコントロール(瞑想やヨガなどで心身をリラックスさせる)
- 十分な睡眠時間の確保(1日7〜8時間を目安)
これらを無理のない範囲で継続することが、精子の質の改善や体調管理につながります。
薬物療法
男性不妊に対する薬物療法は、原因に合わせて選択される治療法の一つです。感染症や炎症が関与している場合には、抗生物質や抗炎症薬を用いて炎症を抑え、精巣や精路の状態を整えていきます。ホルモン分泌に異常が認められるケースでは、クロミフェンやhCG製剤などを使用し、精子を作る働きをサポートすることがあります。
精索静脈瘤など血流の問題が影響している場合には、血行を改善する目的で薬が処方されることもあります。薬物療法のみで妊娠に至る例は多くありませんが、精子の質を向上させることで、人工授精や体外受精など、他の治療法と併用した際により高い効果が期待されます。
ホルモン療法
ホルモン療法は、ホルモン分泌の乱れによって精子の産生が低下している場合に行われる治療法です。男性不妊の中には、脳下垂体や視床下部から分泌されるFSHやLHなどのホルモンが不足することで起こるケースがあります。
こうした場合には、ゴナドトロピン(hCG・hMG)やクロミフェンなどを用いて精巣を刺激し、精子の生成を促します。テストステロン補充療法は、かえって精子を作る機能を抑制してしまう可能性があるため、自己判断で行うことは避けます。専門医によるホルモン検査と適切な指導のもとで治療を進めることが重要です。
ホルモン療法は数か月以上の継続が必要になることが多いものの、自然妊娠の可能性を高める治療法の一つとされています。
手術療法
手術療法は、精索静脈瘤や精管の閉塞などの構造上の問題が確認された場合に検討される治療法です。原因や状態に応じて、以下の手術が行われます。
- 精索静脈瘤手術:精巣周囲の拡張した静脈を処理し、血流の滞りを改善する
- 精管再建手術:精管の詰まりや損傷部分を修復し、精子が正常に通過できる経路を回復させる
- 顕微鏡下精巣上体精子吸引術(MESA):精巣上体から直接精子を採取し、体外受精や顕微授精に用いる
- 精巣内精子採取術(TESE):精巣組織から精子を取り出し、受精に利用する
これらの手術は、精子が自然に排出されない場合や、精液中に精子が確認できないケースで選択されることがあります。状況によっては、人工授精や体外受精などの生殖補助医療と組み合わせて治療が進められます。
生殖補助医療
自然な妊娠が難しいと判断された場合には、生殖補助医療が選択肢となります。代表的な方法には、以下の治療があります。
- 人工授精(AIH):採取した精子を洗浄・濃縮したうえで、子宮内に注入する
- 体外受精(IVF):卵子と精子を体外で受精させ、発育した胚を子宮へ戻す
- 顕微授精(ICSI):単一の精子を直接卵子に注入し、受精を促す
これらの治療法は、ご夫婦それぞれの状態や希望を踏まえて選択されます。専門医と十分に話し合いながら、適切な方法を決めていくことが大切です。男性不妊と診断されることで、気持ちが落ち込んだり、将来に対して不安を感じたりする方も少なくありません。
まずは現状を正しく理解し、医師と相談しながら、ご自身に合った治療の道を一歩ずつ見つけましょう。
男性不妊に関するよくある質問
男性不妊については、多くの方が共通して抱きやすい疑問があります。特に質問の多い次の3つを解説します。
- セルフチェックで異常が見つかった場合の受診目安は?
- 男性不妊の検査に痛みはある?
- パートナーと一緒に受診できる?
セルフチェックで異常が見つかった場合の受診目安は?
セルフチェックは、あくまで自身の状態を知るための参考であり、確定的な診断ができるものではありません。精液が赤色や茶色を帯びている、射精時に強い痛みを感じるなどの明らかな異常がある場合には、早めの対応が必要です。
避妊をせずに1年以上経っても妊娠に至らない場合は、泌尿器科や不妊治療を専門とする医療機関への受診が勧められます。原因を早期に把握できれば、治療の選択肢も広がり、妊娠の可能性を高めることにつながります。
男性不妊の検査に痛みはある?
基本的な精液検査は、採取した精液を提出するだけの検査であるため、痛みを感じることはありません。多くの医療機関では専用の個室が用意されており、プライバシーにも十分配慮されています。精巣の超音波検査や、精巣から直接精子を採取する手術(精巣内精子採取術)などを行う場合には、多少の違和感や痛みを伴うことがあります。
検査や処置では麻酔を使用するなど、負担をできるだけ抑える工夫がなされているため、過度に不安を感じる必要はないと考えられます。
パートナーと一緒に受診できる?
多くの不妊治療専門のクリニックでは、ご夫婦そろっての受診が勧められています。不妊はどちらか一方だけの問題ではなく、二人で向き合いながら原因を確認し、治療方針を決めていくことが大切です。初診時にパートナーと同席することで、医師からの説明を一緒に聞き、今後必要となる検査や治療の流れについて共有できます。
お互いの理解を深めながら進められる点も、大きなメリットとなります。
まとめ
不妊に悩む夫婦のうち、約半数は男性側に原因があるといわれています。男性不妊は自覚症状が少ないことも多いため、精液の量や色、粘り気、射精時の感覚、日常の生活習慣などを確認するセルフチェックが重要です。
原因としては、精巣機能不全や精路の通過障害、ホルモン分泌の異常、遺伝的な要因、生活習慣や環境による影響などが挙げられます。正確な診断には、精液検査や血液検査、超音波検査、必要に応じて遺伝子検査や精巣生検などの専門的な検査が欠かせません。
治療は原因や状態に応じて選択され、生活習慣の改善を基本に、薬物療法やホルモン療法、手術療法、生殖補助医療などが組み合わされることもあります。早めに正しい情報を得て医療機関に相談することが、妊娠の可能性を高めることにつながる可能性があります。
