妊活と子宮頸がんワクチンの関連性|接種時期と妊娠への影響をわかりやすく解説
将来の妊娠を見据える中で、子宮頸がんワクチンの接種を検討する方も少なくありません。現時点で子宮頸がんワクチンが不妊の原因となる医学的な証拠は確認されていません。
現在広く使用されている9価ワクチンは、子宮頸がんの主な原因とされるヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)の約90%の型に対する感染予防効果が見込まれています。
この記事では、子宮頸がんワクチンの種類や接種のスケジュール、適切な接種タイミングについて解説します。適切な選択ができるよう参考にしてみてください。
橋本駅南口から徒歩1分の長谷川レディースクリニックでは、生理不順やPMS(月経前症候群)など、女性特有の症状に関する検査・治療にも対応しています。日本産科婦人科学会の認定を受けた医師が在籍し、患者さんの状態に応じて適切に対応しています。保険適用の範囲や制度についても丁寧にご説明しております。
また当院では、神奈川県相模原市・淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックと連携し、婦人科および不妊治療においてスムーズな連携体制を構築しています。検査結果や治療方針の共有を行っており、スムーズな診療連携が可能です。
子宮頸がんワクチンに関する基礎知識
子宮頸がんワクチンは、子宮頸がんの主な原因とされるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を予防する役割があります。HPV感染は決して珍しいものではありませんが、長期にわたる感染状態が続くと、がんに進行するリスクがあります。
子宮頸がんワクチンの種類
現在、日本国内で接種可能な子宮頸がんワクチンは主に以下の3種類です。
|
ワクチン名 |
カバーしているHPV型 |
カバー率 |
特徴 |
|
9価ワクチン(シルガード®9) |
9種類 |
約80〜90% |
現在最も広く予防できるタイプ |
|
4価ワクチン(ガーダシル®) |
4種類 |
約60〜70% |
尖圭コンジローマも予防できる |
|
2価ワクチン(サーバリックス®) |
2種類 |
約50〜70% |
子宮頸がんの主因となる型に特化 |
価は、予防できるHPVの型の数を示しています。数字が大きいほど多くのウイルス型に対応可能です。現在、公費対象の主流は9価ワクチンです。ワクチンの選択は、これまでの接種歴などによっても異なるため、医師と相談のうえ決定しましょう。
公費助成によるサポートについて
日本では、子宮頸がんワクチンの有効性と重要性が認められており、国による公費助成制度が設けられています。対象は小学6年生から高校1年生相当年齢の女子で、公費助成制度を利用することで無料で接種が可能です。
HPVは主に性交渉を通じて感染するため、初めて性交渉を開始する前に接種して免疫を獲得することが大切です。アジア地域での調査によれば、約80%の国々が、国のワクチンプログラムにHPVワクチンを組み込んでいます。
標準的な子宮頸がんワクチン接種スケジュール
9価ワクチン(シルガード®9)を接種する場合、15歳未満で1回目を受ける場合には2回の接種で十分な免疫効果が期待されます。一方、15歳以上で1回目を接種する際は3回の接種が推奨されます。スケジュールの目安は以下のとおりです。
- 15歳未満で1回目接種の場合:2回目は1回目から6か月後に接種
- 15歳以上で1回目接種の場合:2回目は1回目の2か月後、3回目は6か月後に接種
高い予防効果を得るためには、指定された回数・間隔を守って接種を完了することが不可欠です。やむを得ず間隔が空いてしまった場合でも、最初からやり直す必要はありません。主治医に相談し、個別にスケジュールを再調整することが可能です。
ワクチン接種後に考えられる副反応
子宮頸がんワクチンの接種後に比較的多く見られる副反応は次のものです。
- 局所的な症状:注射部位の痛み、発赤、腫れ、かゆみ、熱感
- 全身症状:発熱、頭痛、関節や筋肉の痛み、倦怠感など
副反応は、身体がワクチンに反応して免疫を作っている証拠であり、多くの場合、数日以内に自然と治まります。痛みが気になる際は、接種部位を冷やし、無理せず安静に過ごすことが大切です。注意が必要な副反応には以下のものがあります。
- 強いアレルギー反応(アナフィラキシー):じんましん、息苦しさ、急激な血圧低下など
- 失神(迷走神経反射):注射への緊張や痛みが原因で一時的に意識が遠のく状態
接種後30分ほどは医療機関で安静に過ごし、体調の変化を見守りましょう。帰宅後に普段と異なる体調不良が現れた場合は、接種を行った医療機関やかかりつけ医にすぐ相談してください。ワクチンによる重大な健康被害が生じた場合は、予防接種健康被害救済制度という公的な補償制度を利用できる場合があります。
妊活・妊娠中における子宮頸がんワクチンの確認ポイント
妊活中や妊娠の可能性がある時期に子宮頸がんワクチンを接種する際には、以下の点を確認しておきましょう。
- 適切なワクチン接種のタイミング
- ワクチンが妊孕性(にんようせい)に与える影響
- 妊娠中および授乳期への安全性
- 妊娠が判明した場合の対応方法
- 不妊治療とワクチン接種の両立
適切なワクチン接種のタイミング
子宮頸がんワクチンは、妊娠していない時期であれば基本的にいつでも接種が可能です。すでに性交渉の経験がある方でも、まだ感染していないHPV型への予防効果が期待できるため、接種の意義は十分にあります。
将来的に妊娠を希望している場合は、妊活と接種時期が重ならないよう、早めにワクチン接種のスケジュールを立てておくとスムーズです。ワクチン接種の期間中に妊娠の可能性がある場合は、安全性を考慮して接種を控えるようにしましょう。
ワクチンが妊孕性(にんようせい)に与える影響
子宮頸がんワクチンが不妊の原因になる、あるいは妊娠しにくくなるといった医学的な証拠は、現在のところ確認されていません。アメリカの18~33歳の女性を対象とした研究でも、ワクチンを接種した人としなかった人の妊娠率に差は見られませんでした。
インターネットやSNS上には、科学的根拠が乏しい情報が広がっていることがあります。不安を感じた際は、厚生労働省や日本産科婦人科学会など、公的機関や専門団体が提供する信頼性の高い情報を確認するか、医療機関に相談しましょう。
妊娠中および授乳期への安全性
妊娠中は安全性を最優先に考え、基本的に子宮頸がんワクチンの接種は避けることが推奨されています。赤ちゃんへの悪影響が明確に報告されているわけではありませんが、念のための予防的対応です。
妊娠に気づかずワクチンを打ってしまった場合でも、過度な心配は不要です。子宮頸がんワクチン接種によって胎児に先天的異常が生じたり、流産や死産のリスクが増えたりするという報告は確認されていません。ワクチン成分が母乳を通じて赤ちゃんに悪影響を与える可能性は低いとされています。
接種の判断については、かかりつけの医師と十分に相談のうえ決めましょう。
妊娠が判明した場合の対応方法
ワクチン接種の途中で妊娠が判明した場合は、ただちに接種を一時中止します。対応の流れは以下のとおりです。
- 妊娠がわかった時点でワクチン接種をストップする
- 出産までの期間は接種を控え、母体と胎児の健康管理に専念する
- 出産後、体調が回復してから、医師と相談のうえ残りのワクチン接種を再開する
接種を中断したとしても、これまで受けた回数分の免疫効果が完全に無効になることはありません。身体には免疫記憶があるため、再開すればワクチンの効果が続くと考えられています。自己判断で不安を抱える前に、医師に相談することが大切です。
不妊治療とワクチン接種の両立
体外受精や顕微授精などの不妊治療中であっても、子宮頸がんワクチンの接種は可能です。妊娠・出産を安全に迎えるためにも、将来のリスクとなるHPV感染を事前に予防することは重要です。ワクチン接種と不妊治療を両立させる際には、以下のポイントに注意しましょう。
- 発熱など、副反応が出る可能性を考慮する
- 治療計画に支障が出ないよう、接種の時期を調整する
- 不妊治療の担当医およびワクチン接種を行う医師に、両方のスケジュールを共有する
HPV感染が長引いて子宮頸部に前がん病変が生じた場合、円錐切除術と呼ばれる子宮頸部の一部を切除する手術が必要になることがあります。円錐切除術は、妊娠の維持に影響を与え、早産のリスクが上がるといわれています。
不妊治療中であっても、ワクチン接種をあきらめる必要はありません。医師と連携しながら、心身の状態と将来のライフプランに適した方法を選んでいきましょう。
未来の妊娠と出産に向けて今から考えておきたいこと
将来の妊娠や出産に対する不安を軽減するために、今のうちから意識しておきたい2つの重要なポイントをご紹介します。
- パートナーもHPVワクチン接種を検討する
- 子宮頸がん検診を定期的に受ける
パートナーもHPVワクチン接種を検討する
子宮頸がんワクチンは、女性だけでなく男性パートナーにとっても意味のある予防策です。自分自身の健康を守るだけでなく、大切な相手への感染を防ぐことにもつながります。男性がHPVワクチンを接種するメリットには、次の点があります。
- パートナーへのHPV感染リスクを軽減できる
- 性感染症のひとつである尖圭コンジローマの予防が可能
- 中咽頭がん、肛門がん、陰茎がんなど、HPVが関与するがんのリスクを下げることが期待される
男女ともにワクチン接種を行うことが、相互の健康を守る効果が期待できます。
子宮頸がん検診を定期的に受ける
子宮頸がんの予防には、ワクチン接種と定期的な検診の両方が欠かせません。検診を受けることによって得られる主なメリットは以下のとおりです。
- ワクチンで予防しきれないHPV型の感染を早期に発見できる
- 病気が進行する前に発見できるため、身体への負担が少ない治療を選択できる可能性がある
子宮頸がん検診では、がんになる前の段階である前がん病変の有無をチェックできます。アジア諸国を対象にした調査でも、検診制度があっても実際の受診率が低いことが課題とされており、日本においても同様の傾向が指摘されています。
将来の自分の健康を守るためにも、20歳を迎えたら2年に1度、子宮頸がん検診を受けることを習慣にしましょう。
まとめ
現在のところ、子宮頸がんワクチンが不妊の原因になったり、将来の妊娠力に悪影響を及ぼすといった医学的根拠は確認されていません。将来の妊娠・出産を安心して迎えるためには、妊活を始める前にワクチン接種を完了しておくことが望ましいとされています。接種後も、2年に1度は子宮頸がん検診を受ける習慣を大切にしましょう。
ご自身だけでなくパートナーもHPVワクチンの接種を考えることが、将来の家族の健康を守るうえで大切なポイントです。ワクチンでは防ぎきれないウイルスも存在するため、まずはかかりつけ医など信頼できる医療機関で相談してみるのがおすすめです。
橋本駅南口から徒歩1分の長谷川レディースクリニックでは、子宮頸がんワクチンと妊活に関するお悩みに丁寧に対応しています。ご自身の状況に合わせた判断ができるよう、医師が丁寧にご案内いたします。
参考文献
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