着床しなかった時の体の変化や症状は?妊娠が成立しなかったサインを解説
妊娠を望む方にとって、着床は特別な意味を持つ瞬間です。しかし、受精卵が子宮内膜に根づく過程は非常に繊細で、必ずしも順調に進むとは限りません。実際に、着床は多くの要因が複雑に関わり合って初めて成立する、奇跡的なプロセスといえます。
本記事では、着床が成立しなかった場合に見られる体の変化やサインについて、医学的な根拠をもとに解説します。月経の再開や基礎体温の変化、おりものの状態など、つい見過ごしてしまいがちなポイントを知り、妊活に役立てましょう。
橋本駅南口から徒歩1分の長谷川レディースクリニックでは、生理不順やPMS(月経前症候群)など、女性特有の症状に関するご相談に加え、男性不妊に関する検査・治療にも対応しています。経験豊富な専門医が、一人ひとりのお悩みに寄り添いながら、適切な医療サポートを提供いたします。
また当院では、神奈川県相模原市・淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックと連携し、婦人科および不妊治療においてスムーズな連携体制を構築しています。検査結果や治療方針の共有により、患者さまにとって安心かつ効率的な診療環境をご提供いたします。
着床しなかったときに見られる体の変化とサイン5つ
着床が起こらなかった場合、代表的なサインは以下の5つです。
- 月経の再開
- 基礎体温の高温期が短くなる
- おりものの量や色の変化
- 妊娠検査薬の陰性反応
- ホルモンバランスの変化による症状
月経の再開
着床が成立しなかった分かりやすいサインは、月経の再開です。受精卵が根づけなかったため、厚くなっていた子宮内膜が剥がれ落ち、出血として排出されます。出血のタイミングは通常、生理予定日から1〜2週間後です。経血の量や痛みは普段と変わらない場合もあれば、重く感じたり血の塊のようなものが混じったりすることもあります。
ストレスや生活習慣の変化、婦人科系疾患でも同様の変化は起こるため、出血だけで着床の有無を判断することはできません。
基礎体温の高温期が短くなる
基礎体温は妊娠の兆候を知るための重要な目安です。排卵後は黄体ホルモンの働きで高温期が続きますが、着床しなかった場合はホルモン分泌が続かず、12〜14日ほどで終わり、低温期に移行します。普段14日ほど続く高温期が10日程度で下がる場合、着床が起こらなかった可能性が考えられます。
ストレスや睡眠不足でも基礎体温は変動するため、日ごろから記録をつけて自分のリズムを把握しておくことが大切です。
おりものの量や色の変化
妊娠が成立すると子宮頸部の粘液分泌が増え、おりものに変化が見られることがあります。着床がなかった場合は、月経前と同じように分泌量が減るケースが多いです。おりものは感染症など別の原因でも変化するため、性状だけで着床の有無を判断するのは困難です。
妊娠検査薬の陰性反応
妊娠検査薬は尿中のhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を検出して妊娠の有無を調べます。着床が成功すればhCGが分泌され陽性反応が出ますが、着床しなければhCGは分泌されず陰性となります。検査は生理予定日の1週間後以降が推奨されており、早すぎるタイミングでは正確な結果が出にくい点に注意が必要です。
ホルモンバランスの変化による症状
着床しなかった場合、プロゲステロン(黄体ホルモン)が減少し、頭痛・倦怠感・軽い腹痛・イライラなど、PMS(月経前症候群)に似た症状が現れることがあります。症状には個人差が大きく、PMSと区別するのは難しいです。普段より強い症状が出たり、いつもと違う体調変化を感じたりした場合には、医療機関に相談することをおすすめします。
着床が起こらない主な原因
受精卵が着床しない背景は、以下のとおりです。
- 子宮内膜の状態と着床の関係
- 受精卵の質と着床への影響
- 免疫学的要因と着床障害
- その他の影響要因(ストレス・生活習慣・年齢)
子宮内膜の状態と着床の関係
子宮内膜は、受精卵にとって最初の「ゆりかご」の役割を果たします。厚みがあり、柔らかく、栄養が十分に備わっていることが、受精卵が根を張るために不可欠です。子宮内膜は月経周期に合わせて変化し、排卵期に最も厚くなります。理想とされる厚さは10mm以上であり、薄すぎると着床が難しくなります。
内膜が薄くなる原因はホルモンバランスの乱れに限らず、子宮内膜症や子宮筋腫などの疾患が隠れている場合もあります。近年の研究では、子宮内の細菌バランスの乱れも着床の妨げとなることが示されています。細菌環境が悪化すると炎症性物質が増え、成長因子が減少し、着床に不利な状態がつくられます。
受精卵の質と着床への影響
どれほど子宮内膜の環境が良くても、受精卵そのものの質が低ければ妊娠は成立しません。受精卵の質は、卵子や精子の質、さらに受精後の発育状態によって左右されます。染色体異常がある場合には着床が困難となり、たとえ着床しても流産のリスクが高まります。染色体異常は卵子や精子の加齢に伴い増加する傾向です。
卵子の老化や精子の運動率低下は受精卵の発育不全につながり、着床不成功の原因になります。高齢での妊娠を希望する場合には、リスクを見据えた精密な検査や適切な治療が重要です。
免疫学的要因と着床障害
私たちの体には、外敵を排除する免疫システムが備わっています。しかし、受精卵は母体にとって「半分は異物」であるため、通常は妊娠時に免疫応答が抑えられ、排除されないよう働きます。免疫寛容がうまく機能しないと、免疫細胞が受精卵を攻撃し、着床障害が起こることがあります。
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の過剰な活性化は、受精卵を排除する一因と考えられています。
その他の影響要因|ストレス・生活習慣・年齢
着床の成否には、日常生活の要素も大きく関わります。ストレスは ホルモンバランスを乱し、子宮内膜環境を悪化させる可能性があります。喫煙や過度な飲酒、睡眠不足、栄養の偏りは卵子や精子の質を下げ、着床を妨げる恐れがあります。加齢に伴い卵子の質が低下し、染色体異常のリスクが増えることで着床率も下がる傾向です。
着床障害の要因は単独で作用するだけでなく、複雑に組み合わさって着床に影響を与えます。妊娠を望んでいるにもかかわらず授からない場合には、原因を明らかにするために専門医へ相談し、必要な検査や治療を受けることが大切です。
着床しなかった時の対処法
受精卵が着床しなかった場合の主な対処法は以下のとおりです。
- 生活習慣を改善する
- 基礎体温を記録する
- 専門医へ相談する
- 精神的なケアを行う
生活習慣を改善する
妊娠を目指すうえで、大切なのは着床をサポートする体を整えることです。バランスの良い食事や無理のない運動、ストレス管理が大切です。食生活では、主食に加えて野菜や果物、乳製品などを取り入れ、栄養バランスを整えましょう。コンビニでも手に入るサラダチキンやゆで卵は良質なタンパク質源になります。
鉄分や葉酸は妊娠を望む方にとって推奨されている栄養素です。外食が多い場合は自炊の回数を増やし、栄養をコントロールできるように心がけてみてください。適度な運動は血流を促進し、ホルモンバランスを整える効果が期待できます。ウォーキングやヨガなどを1日30分程度、週に数回取り入れてみましょう。
ストレスはホルモン分泌や子宮環境に悪影響を及ぼす可能性があります。趣味やリラックスできる時間を作る、家族や友人と話すなど、自分に合った方法でストレスを解消しましょう。アロマや音楽を取り入れるのもおすすめです。
基礎体温を記録する
基礎体温を毎日つけることは、自分の体のリズムを理解し、妊娠しやすい時期を把握するのに役立ちます。基礎体温計はドラッグストアで手軽に購入可能です。起床後すぐ、体を動かす前に舌下で測定して記録しましょう。基礎体温は、低温期と高温期の二相に分かれます。排卵が起こると黄体ホルモンの分泌により体温が上がり、高温期に入ります。
高温期が12〜14日続いたあと体温が下がった場合は、着床が成立しなかった可能性があります。基礎体温表は婦人科受診時にも重要な参考資料となります。過去のデータを分析することで排卵日を予測でき、妊活に活かすことができます。
専門医へ相談する
何度も妊娠を試みても着床に至らない場合は「反復着床不成功(RIF)」の可能性があります。体外受精で複数回の胚移植を行っても着床しない状態を指し、不妊治療を受ける方のおよそ1割に見られます。考えられる原因は以下のとおりです。
- 免疫の異常
- 血液凝固の問題
- 子宮内膜の状態
- 細菌バランス
- 子宮の構造的異常
- 胚の染色体異常
- 男性因子
不妊治療専門クリニックを受診することで、子宮内膜の厚さやホルモン分泌、免疫状態などを詳しく検査できます。結果に基づき、適切な治療が提案されます。子宮内膜が薄い場合には、ホルモン補充療法や内膜を厚くする薬が用いられます。免疫の異常が原因と考えられる場合には、免疫抑制剤を使った治療が検討されることもあります。
原因を明らかにし、適切な検査と治療を受けることが、妊娠への大きな一歩につながります。
精神的なケアを行う
着床しなかった経験は、心に大きな負担を与えることがあります。妊娠への焦りや不安、周囲からの期待など、さまざまなストレスを感じやすい状況です。パートナーや家族、信頼できる友人に気持ちを話してみましょう。誰かに思いを共有することで、心が軽くなることもあります。
不妊治療を行うクリニックでは、専門のカウンセラーによるカウンセリングを受けることができる場合があります。専門家が気持ちに寄り添い、適切なサポートやアドバイスをしてくれるので安心です。地域の保健センターや自治体でも不妊に関する相談窓口を設けている場合があります。
公的な相談先を利用することで、専門的な情報や支援を受けられるので、積極的に活用してみましょう。
まとめ
着床が成立しなかった場合には、生理が再開したり、基礎体温の高温期が短くなったりすることがあります。ホルモンバランスの乱れによって体調に不調を感じることもあります。症状は人によって異なり、他の要因でも引き起こされる可能性があるため、「着床しなかった」とは必ずしも断定できません。
着床が成立しない背景には、子宮内膜の厚さや環境、受精卵の質、免疫系の働きなど、さまざまな体内要因が関係しています。加えて、生活習慣や年齢といった外的要因も複雑に絡み合っています。食生活の見直しや適度な運動、ストレスの管理といった日常生活の改善から始めてみましょう。
当院では、不妊に関するさまざまな検査や治療を行っており、一人ひとりの状況に応じた丁寧なサポートを提供しています。詳しく知りたい方は、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
参考文献
Ma J, Gao W, Li D. Recurrent implantation failure: A comprehensive summary from etiology to treatment. Front Endocrinol (Lausanne), 2023, 13, –, p.1061766.
