【高齢出産を検討している方へ】35歳以上の妊娠・出産で知っておきたい基礎知識
一般的に35歳以上での出産は「高齢出産」と呼ばれます。晩婚化が進む現代では、高齢出産の数は年々増えており、厚生労働省の人口動態統計(2024年)では、第一子を35歳以上で出産する方の割合は約22%と5人に1人を占めています。
高齢出産では、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの母体への影響、ダウン症候群など胎児に関するリスクが指摘されています。一方で、経済面や精神面での安定といった利点があるのも事実です。
本記事では、高齢出産に伴うメリット・デメリットや、年齢ごとの妊娠・出産に関するデータ、出産を迎えるためのポイントを紹介します。高齢出産を考えている方や、すでに妊娠中の方が、不安を和らげ前向きに妊娠期間を過ごすための参考として、ぜひ最後までご覧ください。
橋本駅南口から徒歩1分の長谷川レディースクリニックでは、生理不順やPMS(月経前症候群)など、女性特有の症状に関する検査・治療にも対応しています。経験豊富な専門医が、一人ひとりのお悩みに寄り添いながら、適切な医療サポートを提供いたします。
また当院では、神奈川県相模原市・淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックと連携し、婦人科および不妊治療においてスムーズな連携体制を構築しています。検査結果や治療方針の共有により、患者さまにとって安心かつ効率的な診療環境をご提供いたします。
高齢出産に関する基礎知識
高齢出産について理解しておきたい基本的なポイントを解説します。
高齢出産の定義と年齢の目安
一般的に、医学の分野では初めての出産が35歳以上の場合を「高齢出産」と呼びます。これは、35歳前後から妊娠や出産に伴うさまざまなリスクが段階的に上昇するとされているためです。ただし年齢はあくまで基準の一つであり、すべての人に当てはまるわけではありません。
実際には、年齢そのものよりも、体調や既往歴、日頃の生活習慣、医療機関で適切な管理を受けているかどうかが大きく影響します。30代後半〜40代前半であっても、健康状態を良好に保ち、定期的な診察や検査を受けることで出産に臨めるケースは少なくありません。
年齢だけを理由に判断せず、医師と十分に相談しながら出産計画を考えることが大切です。
高齢出産が増加している理由と現状
日本では、結婚年齢が上昇する流れとともに、高齢で出産を迎える方が増加しています。女性の就業機会が広がり、仕事やキャリアの構築を優先する選択をする方が多くなったことが大きな要因の一つといえます。生活基盤や経済面の安定を整えたうえで出産を考える夫婦が増えていることも、高齢出産が増加している理由の一つです。
医療分野の進歩により、高齢出産に伴うリスクへの対応が向上し、出産できる環境が整ってきました。社会的にも高齢出産に対する認識が広がり、職場での配慮や家族からの支援など、周囲のサポート体制も徐々に充実しています。
高齢出産に伴うリスク
高齢出産では、大きく分けて「妊娠・出産を迎える母体への影響」と「お腹の赤ちゃんへの影響」という二つの側面から注意が必要とされています。それぞれに考えられる代表的な疾患や症状について解説します。
妊娠・出産を迎える母体への影響(妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病など)
高齢での出産は、妊娠中の体への負担が大きくなりやすく、いくつかのリスクに注意が必要とされています。なかでも妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病は、特に気をつけたい代表的な疾患です。
妊娠高血圧症候群は、妊娠20週以降〜産後12週頃までに、高血圧や尿中のたんぱく、むくみなどがみられる状態を指します。妊娠糖尿病は、妊娠中に初めて確認される血糖値の異常を指し、胎児の成長に影響を及ぼす可能性があります。
高齢出産では流産や早産、前置胎盤、常位胎盤早期剥離、産後の出血量増加、子宮の収縮が弱くなることなどのリスクも高まりやすいとされています。合併症は年齢とともに発生率が上がる傾向があり、特に40歳以上ではより慎重な健康管理が勧められています。
お腹の赤ちゃんへの影響(ダウン症候群・先天性心疾患など)
高齢出産では、赤ちゃんに染色体の異常や心臓の病気などがみられる可能性が、年齢とともに高くなることが知られています。主に考えられる影響として、以下の点が挙げられます。
- ダウン症候群をはじめとする染色体異常
- 先天性心疾患(心室中隔欠損やファロー四徴症など)
- 早産(妊娠37週未満での出産)
- 低出生体重児(出生体重2,500g未満)
染色体異常は、卵子が分裂する過程で起こりやすく、出産年齢が上がるにつれて発生する確率が高まるとされています。ダウン症候群は、21番染色体が通常より1本多いことで生じ、成長や発達、身体的特徴に影響がみられる場合があります。
先天性心疾患は、心臓の構造に生まれつき異常がある状態で、重いケースでは出生後すぐに治療や手術が必要となることもあります。高齢出産では早産や低出生体重児となる可能性も高くなります。
高齢出産におけるメリット・デメリット
高齢出産におけるメリット・デメリットを解説します。
メリット:子育てや人生経験を育児に活かせる・経済的安定など
高齢出産は注意すべき点がある一方で、年齢を重ねているからこその利点も多くあります。これまでに積み重ねてきた人生経験や、比較的安定した生活基盤を背景に、落ち着いた姿勢で子育てに向き合える点が大きな特徴です。主なメリットとして、以下の点が挙げられます。
- 経験を重ねているため、感情に流されにくく冷静に育児ができる
- 経済的に余裕がある家庭が多い
- 社会経験や人との関わりを通じて広い視野を持っている
- 自分なりの価値観や将来設計がはっきりしている
- 育児休業の取得や子育て環境の準備を計画的に進めやすい
若い時期と比べて精神的な安定感があり、子どもに対して多様な考え方や柔軟な価値観を伝えやすい点も魅力の一つです。経済的な基盤が整っていることで、教育費や医療費の備えがしやすく、安心して子育て環境を整えられる傾向があります。高齢出産は不安要素だけでなく、安心につながる側面も持ち合わせた選択肢といえます。
デメリット:体力面での負担・キャリア形成への影響など
高齢出産では、体力的な負担や仕事との両立などの点が課題になりやすいとされています。妊娠や出産は体に大きな影響を及ぼします。年齢を重ねるにつれて体力や回復力が低下しやすく、妊娠中や産後の体調管理に苦労する場合があります。出産後に育児と仕事のバランスに悩む方も少なくありません。
出産をきっかけに、これまで築いてきたキャリアを一時的に中断したり、方向転換を迫られたりするケースもあります。特に高齢出産では、積み重ねてきた職務経験や責任が大きいほど、仕事面への影響を強く感じやすい傾向があります。
年齢とともに卵子の質が変化し、妊娠しにくくなることや、流産のリスクが高まる可能性がある点にも注意が必要です。
年代別の妊娠率・出産率
妊娠率・出産率の傾向と、妊娠・出産を目指すうえで意識しておきたいポイントについて、年代別に解説します。
30代前半の妊娠率・出産率
30代前半は、妊娠や出産を検討する方が多い時期であり、妊娠の可能性も比較的高い年代とされています。年齢の上昇とともに妊娠率は少しずつ低下し始めるため、この段階から将来を見据えた体調管理を意識することが重要です。
妊娠しやすい体づくりを目指すためには、栄養バランスの良い食事を心がけることに加え、無理のない運動習慣や十分な睡眠を確保することが大切です。日常生活の中で健康的な習慣を整えておくことが、今後の妊娠・出産を支える土台となります。
30代後半の妊娠率・出産率
30代後半に入ると、妊娠の成立率は30代前半と比べて徐々に下がり、流産の可能性も高まる傾向がみられます。30代後半では年齢に伴うリスクを正しく把握したうえで、計画的に妊娠や出産を考えることが重要になります。
定期的に婦人科を受診することで、卵巣や卵子の状態、子宮の健康状態を確認でき、問題があった場合にも早期対応につながります。将来を見据え、医師と相談しながら体調管理や妊娠準備を進めていくことが大切です。
40代前半の妊娠率・出産率
40代前半では、妊娠の成立率がさらに下がり、流産や染色体異常などのリスクが一段と高まるとされています。40代前半での妊娠や出産は、母体と赤ちゃん双方への負担が大きくなりやすいため、より慎重な健康管理が求められます。
医師と十分に相談しながら、必要に応じた検査や治療を受け、体調や生活環境を整えたうえで準備を進めることが大切です。専門家のサポートを受けつつ、無理のない計画を立てることが安心につながります。
40代後半以降の妊娠率・出産率
40代後半以降では、自然に妊娠することが難しくなる傾向があり、多くの場合で高度生殖医療の力を借りる選択が検討されます。体外受精や卵子提供などの方法が代表的ですが、それぞれに特徴や条件があるため、慎重な判断が求められます。
治療を進める際には、年齢や健康状態、ライフプランなどを踏まえ、医師と十分に話し合ったうえで方針を決めることが重要です。専門的なサポートを受けながら、自分に合った選択肢を検討していくことが大切です。
高齢出産に向けた妊娠・出産準備
高齢出産には、事前の準備や周囲の協力も重要です。妊娠前から産後までを見据えて意識しておきたいポイントを解説します。
妊娠前:健康管理と生活習慣の見直し
高齢出産を見据える場合、妊娠前から体調を整えておくことが重要です。妊娠前に意識したい主な健康管理のポイントは次のとおりです。
- 栄養バランスを意識した食生活:野菜や果物、たんぱく質、炭水化物を偏りなく取り入れる
- 無理のない範囲での運動習慣:ウォーキングやヨガ、ストレッチなどを日常生活に取り入れる
- 十分な睡眠時間の確保:毎日なるべく同じ時間に就寝、起床する
- 禁煙の徹底:妊娠を希望する本人だけでなくパートナーも禁煙する
定期的に健康診断を受けて体の状態を把握し、持病がある場合には医師と相談しながら妊娠計画を立てることが大切です。
妊娠期間中:気をつけたい点と日常生活の工夫
高齢出産では、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの発症リスクが高まりやすいため、体調管理が求められます。妊娠中は、次の点を意識して生活することが大切です。
- 定期的な妊婦健診の受診
- 適切な体重コントロール
- 十分な休息と無理をしない生活
- ストレスをためない工夫
- こまめな水分補給
- 飲酒や喫煙を避ける
妊婦健診は、母体と赤ちゃんの健康状態を確認するための大切な機会であり、高齢での妊娠では通常よりも受診回数が多くなる場合があります。体重管理については、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病の予防につながるため、食事内容と運動量のバランスを意識することがポイントです。
疲労を感じたときは無理をせず、意識的に休息を取るようにしましょう。脱水を防ぐためのこまめな水分補給や、胎児に悪影響を及ぼす可能性のある飲酒・喫煙を避けることも大切です。
出産後:体調ケアや育児を支える支援体制
産後は、体力面・精神面ともに回復まで時間がかかることがあり、高齢出産では、その傾向が強くなりやすいとされています。無理をせず十分な休養を取ることが大切です。産後に取り入れたい主なサポートとして、次のようなものがあります。
- 産後ケア施設の利用
- 育児支援サービスの活用
- 地域の育児相談窓口への相談
- 家族や周囲からのサポート
産後ケア施設では、心身のケアを受けながら休息を取ることができ、体調の回復を促すとともに、育児に対する不安の軽減にもつながります。家事代行サービスやベビーシッターなどの育児支援サービスを利用することで、育児や家事の負担を減らし、自分の時間や休息を確保しやすくなります。
地域の保健センターや育児相談窓口を活用し、育児に関する悩みや不安を専門家に相談しましょう。
パートナーや家族から協力を得るための考え方
高齢出産では、パートナーや家族の支えが、母体と赤ちゃんの健康を守るうえで大きな役割を果たします。無理なく協力を得るためには、以下のポイントを意識しましょう。
- 妊娠、出産、育児に関する情報を共有する
- 家事や育児の役割分担について事前に話し合う
- こまめにコミュニケーションを取る
- 感謝の気持ちを言葉にして伝える
妊娠や出産に伴うリスクや不安をあらかじめ共有しておくことで、家族も状況を理解しやすくなり、必要なサポート体制を整えやすくなります。役割分担を具体的に決めておくと、産後の慌ただしい時期でも混乱を防ぎやすくなります。日頃から気持ちや体調について話し合う習慣を持つことで、精神的な負担の軽減にもつながります。
サポートしてくれるパートナーや家族に感謝の気持ちを伝えることは、信頼関係を深め、協力し合いやすい環境を築くうえで欠かせません。支え合いの積み重ねが、安心できる子育て環境につながります。
高齢出産に関するよくある質問(Q&A)
高齢での出産について、多くの方から寄せられる質問に回答しています。妊娠・出産の状況は一人ひとり異なるため、内容はあくまで一般的な目安です。具体的な判断や不安がある場合は、必ず主治医に相談しましょう。
二人目以降を高齢で出産する際に注意すべき点は?
二人目以降を高齢で出産する場合は、これまでの出産経験や現在の体調、回復状況を考慮したうえでの配慮が重要になります。年齢的な側面も踏まえ、医師と相談しながら無理のない妊娠・出産計画を立てることが大切です。主に意識したいポイントは、以下のとおりです。
- 出産と出産の間隔は、目安として2年程度あける
- 前回の妊娠で妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの合併症があった場合、再び起こる可能性がある
- 過去に帝王切開で出産している場合、次回の分娩方法について事前に医師と十分に話し合う
- 上の子の育児と妊娠生活を無理なく両立するため、周囲の協力や支援体制を整える
高齢での出産では年齢による影響も考慮する必要があるため、適切なタイミングについて医師と相談しながら判断しましょう。育児と妊娠を同時に行うことは体力的な負担が大きくなりやすいため、家族のサポートや一時保育など外部の支援も積極的に活用しましょう。
高齢での出産では帝王切開になる可能性が高くなる?
高齢での出産では、帝王切開となる割合がやや高くなる傾向があります。理由は年齢そのものではなく、妊娠に伴う合併症のリスクが上昇しやすい点にあります。以下の場合に、母体と赤ちゃんの安全を最優先に考え、帝王切開が選択されることがあります。
- 妊娠高血圧症候群を発症した場合
- 胎児の発育に問題が見られる場合
- 陣痛が弱く分娩が長時間に及ぶ場合
帝王切開も数ある出産方法の一つであり、母子の安全を守るための医学的な判断です。帝王切開となった場合でも、適切な術後ケアを行うことで回復は十分に見込めますし、赤ちゃんとの愛着形成に違いが生じることはありません。帝王切開について理解を深め、心構えをしておくことで、出産への不安を減らすことができます。
妊娠や出産を職場に伝える時期や復職のタイミングは?
高齢での出産を迎える場合は、妊娠の報告時期や復職のタイミングを、慎重に考えることが大切です。以下のポイントを把握しつつ、母体の体調や職場環境に合わせて、無理のない判断を心がけましょう。
- 妊娠の報告は、安定期とされる妊娠12週前後が目安
- つわりが重い場合や妊娠に伴うリスクが高いときは、早めに職場へ相談する
- 産後は回復に時間を要することを前提に、余裕を持った復職計画を立てる
- 育児休業を十分に活用し、体調の回復を優先に考える
- 復職前には、業務内容の調整や配置転換について職場と事前に話し合っておく
高齢出産では体調の変化が大きく、産後の回復にも個人差が出やすいため、早めの情報共有と柔軟な復職プランが重要なポイントになります。復職後の働き方について具体的に伝えることで職場の理解を得やすくなり、無理のない形での仕事復帰につながります。
自身の健康と赤ちゃんの安全を最優先に考え、余裕を持ったスケジュールを組むようにしましょう。
まとめ
高齢出産には一定のリスクがあるため、メリットとデメリットの両面を正しく理解することが重要です。妊娠や出産、育児に向けた具体的な支援体制を整えておくことで、不安を和らげ、前向きな気持ちで赤ちゃんを迎えることにつながります。
安心して妊娠・出産に備えるためには、以下のポイントに注意しましょう。
- 定期的な健康チェックを受ける
- 栄養バランスを意識した食事を心がける
- 無理のない運動を行う
- パートナーや家族と協力し合う
少しでも不安や疑問を感じたときは、遠慮せず医師や専門家に相談しましょう。周囲の支援を積極的に取り入れながら、心身ともに整った状態で妊娠・出産を迎えられるよう、十分な準備を進めることが大切です。
参考文献
- 厚生労働省:母の年齢(5歳階級)・出生順位別にみた出生数(令和6年)
- 厚生労働省:妊産婦の現状と課題(平成31年)
- 厚生労働省:年齢と妊娠・出産に伴う合併症のリスク評価について(平成25年)
