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射精障害の原因とは?治すにはどうすべきか、治療・改善のためのポイントを専門医が解説

[2025.08.21]

「射精障害」に悩みを抱えながらも、誰にも相談できずに苦しんでいる男性は少なくありません。射精障害には、早漏や遅漏、逆行性射精、無射精といったさまざまなタイプが存在します。海外の研究によると、射精障害の要因は、加齢や日常生活の習慣、心理的ストレスなど多岐にわたります。

この記事では、射精障害の種類や原因、具体的な改善策・治療法までを、専門の医師がわかりやすくご紹介します。一人で抱え込まず、まずは正確な情報を得ることが解決への第一歩です。

橋本駅南口から徒歩1分の長谷川レディースクリニックでは、生理不順や月経前症候群(PMS)といった女性特有の体調不良だけでなく、男性不妊に関する各種検査や治療にも対応しています。専門医が患者様一人ひとりに寄り添いながら、適切なサポートを提供いたします。

また、当院は神奈川県相模原市・淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックとも連携しており、婦人科および不妊治療に関して密接に協力しています。両院間で検査データや治療計画を共有することで、スムーズで効果的な治療環境を整えています。少しでもご不安や気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

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代表的な射精障害のタイプと症状

射精障害は、男性の性機能に関する深刻な悩みの一つであり、日常生活やパートナーとの関係にも影響を及ぼすことがあります。射精障害にはいくつかのタイプがあり、それぞれ異なる特徴や症状を伴います。以下の4つのタイプを解説します。

  • 早漏:射精までの時間が極端に短い状態
  • 遅延射精:射精までに時間がかかる、あるいは射精できない状態
  • 逆行性射精:精液が膀胱内に流れ込んでしまう状態
  • 無射精症:性的興奮があっても射精が起こらない状態

早漏:射精までの時間が極端に短い状態

早漏とは、性的な刺激に対して射精のタイミングをうまくコントロールできず、意図しない早い段階で射精してしまう症状です。一般的には、腟内挿入から1分以内に射精してしまう場合が基準とされていますが、個人差や状況により異なることもあります。

「パートナーを満足させられないかもしれない」「性行為が楽しめない」といった悩みを抱える方も多く、精神的なストレスが大きくなることもあります。

遅延射精:射精までに時間がかかる、あるいは射精できない状態

遅延射精とは、十分な性的刺激があっても射精までに長時間を要する、もしくは最終的に射精できない症状です。射精に時間がかかりすぎることで、性行為に支障が出たり、パートナーとの関係に影響を与えたりすることもあります。

逆行性射精:精液が膀胱内に流れ込んでしまう状態

逆行性射精は、通常であれば尿道を通じて体外に出る精液が、射精時に膀胱側へ逆流してしまう症状です。膀胱頸部(けいぶ)と呼ばれる膀胱の出口部分が、精液の流れを調整する重要な役割を果たしており、調整する機能がうまく働かないことで発症します。

無射精症:性的興奮があっても射精が起こらない状態

無射精症とは、性的刺激やオーガズムがあるにもかかわらず、射精そのものが起こらない状態です。精液が体外に出ないため、自然妊娠は不可能です。射精感はあるものの、実際に精液が確認できないため、原因の特定と専門的な治療が必要となります。

射精障害の主な原因

射精障害の主な原因は以下のとおりです。

  • 神経障害による影響
  • ホルモンバランスの乱れ
  • 薬剤の副作用
  • 心理的ストレスや不安など精神的要因による影響
  • 生活習慣の乱れ
  • 加齢に伴う身体機能の変化

射精のプロセスは繊細かつ複雑であり、複数の要因が相互に影響し合っているため、原因を正確に突き止めるのは簡単ではありません。射精障害は決して恥ずかしいことではなく、適切な治療やサポートを受けることで改善が期待できる可能性があります。

神経障害による影響

糖尿病などによって引き起こされる神経障害は、射精障害の原因となることがあります。高血糖状態が続くと、全身の神経にダメージを与え、さまざまな合併症を引き起こす可能性があります。合併症の一つが、射精の機能障害です。

射精は、脳からの指令を受けて筋肉や神経が連携して働くことで起こる複雑な生理現象です。神経が損傷を受けると、脳のメカニズムが乱れ、射精に支障をきたすことがあります。

ホルモンバランスの乱れ

男性ホルモンであるテストステロンは、性欲・勃起・射精といった男性の性機能に深く関わる重要なホルモンです。テストステロンの分泌が低下すると、性機能全体に悪影響が及ぶ可能性があります。

テストステロンは、性欲の維持だけでなく、筋肉量や骨密度、精子の産生にも関与しており、男性の健康や活力を支える重要な役割です。加齢とともに分泌量が自然に減少していく傾向ですが、生活習慣の乱れや過度なストレスもホルモン低下の原因になり得ます。

テストステロン不足により、性欲の低下や勃起不全に加え、射精機能にも影響が出ることがあります。

薬剤の副作用

特定の薬剤を服用している場合、副作用として射精障害が起こることがあります抗うつ薬高血圧の治療薬には、射精に関する機能に影響を与える成分が含まれているものがあります。抗うつ薬の中には、射精の遅延や射精量の減少を引き起こすものがあり注意が必要です。高血圧治療薬では、逆行性射精を招くケースも報告されています。

現在服用中の薬が原因で射精障害の症状が現れていると感じた場合は、自己判断で薬の中止をせず、必ず医師に相談しましょう。薬の種類や投与方法を見直すことで、症状が改善する可能性があります。

心理的ストレスや不安など精神的要因による影響

精神的なストレスや不安は、身体機能全般にさまざまな悪影響を及ぼしますが、射精機能も例外ではありません。強いストレスや緊張状態が続くと、神経やホルモンのバランスが崩れ、射精障害を引き起こす可能性があります

日頃からストレスを感じやすい方は、自分に合ったリラクゼーション方法を見つけることが大切です。たとえば、適度な運動やカウンセリングの利用、友人との会話や趣味に没頭することなどが、ストレス軽減に効果的です。

生活習慣の乱れ

日常的な生活習慣も、射精障害の原因となることがあります。特に、過度なアルコール摂取や喫煙は、性機能に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。アルコールは一時的にリラックス効果をもたらすものの、過剰に摂取すると神経機能を抑制し、射精反応が鈍くなることがあります。

喫煙は血管を収縮させ、血流の悪化を招くため、性機能を支えるために必要な血液循環が妨げられる可能性があります。バランスの取れた食事や適度な運動を心がけ、過度の飲酒や喫煙を控えることが、射精機能だけでなく全身の健康を保つうえでも重要です。

加齢に伴う身体機能の変化

加齢は自然な生理現象であり、年齢とともに身体の機能が少しずつ低下していくことは避けられません。射精機能も加齢の影響を受ける領域の一つです。加齢により筋力が低下したり、血管の柔軟性が失われたりすることで、射精時の身体の反応が弱くなる場合があります。

テストステロンの分泌量も加齢とともに減少するため、性機能全体に影響が出やすくなります。加齢による変化は自然な減少であり、すべてが深刻なものではありません。日常生活の見直しや医師による適切な対応により、射精機能の低下を抑えることが可能です。

射精障害の治療法

射精障害は、専門医の診察と適切な治療を受けることで、改善が期待できる症状です。治療方法は主に以下の4つです。

  • 薬物療法
  • 心理療法
  • 物理療法
  • 生活習慣の見直し

症状のタイプや程度に応じて適切な方法が選択されます。

薬物療法

薬物療法は、射精障害の原因に応じた医薬品を使用する治療方法です。勃起不全(ED)が関連している場合は、バイアグラ・レビトラ・シアリスといったED治療薬が処方されることがあります。ED治療薬は血管を拡張し、血流を促進することで勃起をサポートし、射精の機能を向上することが期待されます。

テストステロンの分泌が低下している場合には、ホルモン補充療法が有効とされます。体内のテストステロンレベルを正常範囲に戻すことで、性欲の改善や射精機能の向上が見込まれます。逆行性射精に対しては、三環系抗うつ薬が使用され、膀胱頸部の筋肉を引き締め、精液の逆流を防ぐ作用があります。

早漏に関しては、医師の判断に基づき、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や鎮痛剤が使用されることがあり、射精までの時間を延長する効果が期待されます。

心理療法

ストレスや不安、過去のトラウマなど心理的な要因が射精障害を引き起こしている場合、心理療法が有効な治療アプローチとなります。カウンセリングでは、資格を持ったカウンセラーが安心できる環境の中で、患者さんの心の負担を軽減し、射精に対する不安や恐怖を取り除く支援を行います。

行動療法では、射精のタイミングを自分で調整できるようにするためのトレーニングを実施します。「ストップ&スタート法」は、射精しそうになった時点で刺激を一時的に止め、感覚が落ち着いたら再開するという練習です。トレーニングによって、射精をコントロールする能力を身につけることが期待できます。

物理療法

射精に関与する筋肉を鍛えることで、射精機能の改善が期待できるのが物理療法です。注目されているのが骨盤底筋トレーニングで、尿漏れ対策としても知られていますが、射精コントロールにも有効とされています。

骨盤底筋は、骨盤の底に位置する筋肉群で、排尿・排便・射精といった生理機能をコントロールする役割を担っています。トレーニング方法としては「肛門をキュッと締める運動」や「排尿の途中で一度止める動作を意識的に行う」といった簡単な動きが推奨されます。

運動を日常的に継続することで、骨盤底筋が強化され、射精障害の改善につながる可能性があります。

生活習慣の見直し

射精障害の改善において、生活習慣の見直しは重要な要素です。バランスの良い食事や適度な運動、質の高い睡眠を意識することが、心身の健康維持や性機能の回復につながります。喫煙は血管の収縮を引き起こし、血流を妨げることで射精機能にも悪影響を及ぼすことがあります。禁煙は性機能改善だけでなく、全身の健康を保つうえでも有効です。

 過度の飲酒は神経を麻痺させ、射精や勃起機能に悪影響を与えるため、適量を守ることが大切です。日々の生活の中で健康的な習慣を意識することは、射精障害の改善に役立つだけでなく、将来の病気予防にもつながります。

まとめ

射精障害には、早漏・遅延射精・逆行性射精・無射精症などさまざまなタイプがあり、原因も心理的な要因から身体的な疾患まで多岐にわたります。しかし、医師による診断と治療を受けることで、改善が見込まれる場合があります。

射精障害の症状にお困りの方は、一人で抱え込まずに、まずは医療機関へご相談ください。早期に対処することで、心身のストレスを軽減し、快適な性生活を取り戻すことができます。

参考文献

Elizabeth Phillips, Christina Carpenter, Robert D Oates. Ejaculatory dysfunction. Urol Clin North Am, 2014, 41(1), p.115-128

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