子宮筋腫と診断されたらやってはいけないこと|性行為への影響もわかりやすく解説
「子宮筋腫と診断されて、これからどうすればいいのか不安」と感じていませんか?子宮筋腫は多くの場合、良性の腫瘍として扱われ、すぐに治療が必要ではなく経過観察となることも少なくありません。しかし、放置していると症状が進行したり、筋腫が大きくなったりしてしまうこともあります。
この記事では、子宮筋腫と診断された際に避けるべき行動や、症状を和らげるための生活習慣・食事のポイントを詳しく解説します。不安を減らし、前向きに治療に向き合うためのヒントを一緒に見ていきましょう。
橋本駅南口から徒歩1分の長谷川レディースクリニックでは、生理不順やPMS(月経前症候群)など、女性特有の体調の変化に関するお悩みはもちろん、男性不妊に関する検査や治療にも対応しております。専門の医師が、患者さま一人ひとりの不安に寄り添いながら適切な医療を提供いたします。
また、当院は神奈川県相模原市にあるソフィアレディスクリニック(淵野辺駅から徒歩2分)と連携し、婦人科診療および不妊治療の提供を行っています。両院で検査結果や治療方針を共有することで、スムーズで質の高い医療体制を実現しております。
少しでも不安や気になる症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
子宮筋腫と診断されたときにやってはいけない4つの習慣
子宮筋腫と診断された際、特に注意するべき4つのポイントは以下のとおりです。
- 過度な運動や激しい身体活動
- アルコール摂取
- 偏りのある食生活
- ストレスが蓄積する生活
過度な運動や激しい身体活動
子宮筋腫と診断された場合、過度な運動や激しい身体活動は控えることが大切です。軽度の運動は健康維持に有効ですが、強い負荷をかける運動は、腹部に負担をかけ、筋腫の増大や出血のリスクを高める恐れがあります。以下の運動は、避けましょう。
- フルマラソンやトライアスロン
- 激しい筋力トレーニング
- ボクシングやキックボクシング
ウォーキングやヨガ、ストレッチといった穏やかな運動は、血行促進やストレス軽減に効果があり、日常的に取り入れるのがおすすめです。運動を始める際は、必ず主治医に相談し、自分の体に合った運動内容かどうか確認しましょう。
アルコール摂取
アルコールの摂りすぎは、子宮筋腫に限らず体全体の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。特に、ホルモンバランスへの影響が指摘されており、過剰な飲酒は子宮筋腫の成長を促進する要因の一つとされています。
アルコールは、体内で分解される際にエストロゲン(女性ホルモンの一種)の代謝を妨げることがあります。エストロゲンは子宮筋腫の増殖に関与しているため、アルコールによる影響で体内のホルモンバランスが崩れると、筋腫の拡大リスクが高まる恐れがあります。
アルコールは肝臓に負担をかけるため、肝機能の低下によりホルモン代謝が滞ることも考えられます。食事の場でも、アルコール摂取量には注意しましょう。子宮筋腫と診断されたあとは、アルコールの量を見直し、適量を守ることを心がけましょう。
偏りのある食生活
子宮筋腫の発生や進行には、女性ホルモンの一種であるエストロゲンが関与していると考えられています。エストロゲンは脂肪細胞からも生成されるため、肥満は筋腫の増大リスクを高める要因となり得ます。バランスの取れた食事と適切な体重管理が重要です。以下の食品を積極的に取り入れましょう。
- 野菜・海藻・きのこ類:食物繊維が豊富で、腸内環境の改善やホルモン代謝のサポートに役立つ
- 大豆製品:大豆に含まれるイソフラボンは、エストロゲンと似た作用を持ちつつ、必要以上のエストロゲンの働きを調整する効果も期待される
ストレスが蓄積する生活
慢性的なストレスは、自律神経の働きを乱し、ホルモンバランスにも悪影響を及ぼす可能性があります。自律神経は、子宮筋腫の発症や進行に関与することがあるため、ストレスの上手なコントロールが大切です。人によってストレスの感じ方や解消法は異なりますが、リラックス方法として以下を取り入れましょう。
- 趣味に没頭する
- 十分な睡眠を確保する
- 気分転換に旅行へ出かける
- 友人や家族と会話を楽しむ
- アロマや香りを活用してリラックスする
- ヨガや瞑想などで心身のバランスを整える
自分に合ったストレス解消法を見つけ、心も体もリフレッシュできる時間を意識的に作ることが大切です。定期的な婦人科の受診も重要です。3〜6か月ごとの診察を継続することで、子宮筋腫の変化を早期に把握し、適切な対応につなげる可能性が高まります。子宮頸がん検診の際にも、子宮の状態を総合的にチェックすることが可能です。
少しでも気になる症状がある場合は、自己判断せず、早めに医療機関を受診しましょう。
子宮筋腫と性生活のよくある質問
子宮筋腫と性生活の関係について、以下を解説します。
- 子宮筋腫があっても性行為はできる?
- 子宮筋腫は妊娠に影響する?
- 子宮筋腫があっても避妊は必要?
- 出血や痛みがあるときはどうすればいい?
筋腫の位置や大きさによっては、性交時に痛みを感じたり、出血が起こったりする場合もあります。妊娠を希望する方にとっては、筋腫の状態が妊娠や出産に影響する可能性もあるため注意が必要です。
子宮筋腫があっても性行為はできる?
子宮筋腫と診断された場合でも、多くのケースでは性行為に大きな支障はありません。筋腫の種類や位置によっては注意が必要です。子宮筋腫には主に以下の3つのタイプがあります。
- 粘膜下筋腫:子宮の内側(子宮内腔)に向かって大きくなるタイプ
- 筋層内筋腫:子宮の筋肉層の中に発生するタイプ
- 漿膜下筋腫:子宮の外側に向かって成長するタイプ
粘膜下筋腫や子宮頸部付近にできる筋腫は、性行為時に刺激を受けやすく、性交痛や出血といった不快な症状を引き起こすことがあります。筋腫の位置や大きさにより、子宮の内部構造に変化が生じ、痛みが出ることがあります。
性行為中に「違和感がある」「痛みを感じる」といった症状がある場合は、無理をせず、パートナーに伝えることが大切です。必要に応じて婦人科で相談し、適切な対処を受けましょう。
子宮筋腫は妊娠に影響する?
子宮筋腫は、妊娠に影響を及ぼす可能性があるとされています。特に、子宮の内側に向かって成長する「粘膜下筋腫」は、受精卵の着床を妨げることがあり、妊娠しにくくなる場合があります。妊娠中に筋腫が大きくなると、子宮内のスペースが狭くなり、胎児の成長に影響を及ぼす可能性もあります。
場合によっては流産や早産のリスクが高まることも考えられます。妊娠の可能性はありますが、筋腫の位置や大きさにより妊娠への影響が出ることもあります。妊娠を希望している方は、事前に婦人科で検査を受け、筋腫の位置や大きさを確認しながら、妊娠・出産に関するリスクを医師と相談することが大切です。
子宮筋腫があっても避妊は必要?
子宮筋腫がある場合でも、妊娠を望まない場合は避妊が必要です。避妊方法は大きく分けて以下の2つに分類されます。
- ホルモン剤を使用する方法(経口避妊薬など)
- ホルモン剤を使わない方法(コンドームなどのバリア法)
ホルモン剤の種類によっては子宮筋腫の増大に影響を与える可能性があるため、使用には注意が必要です。一部のホルモン剤は筋腫への影響が少ないとされていますが、自己判断での使用は避け、必ず医師の指導のもとで避妊方法を選ぶようにしましょう。
出血や痛みがあるときはどうすればいい?
子宮筋腫によっては、以下のような症状が現れることがあります。
- 月経量が異常に多くなる(過多月経)
- 不正出血
- 下腹部の鈍い痛みや圧迫感
筋腫が大きくなると、周囲の臓器を圧迫し、痛みや不快感を伴うこともあります。症状が強いときは、無理に性行為を行わず、体を休めることが大切です。症状がある場合は放置せず、早めに婦人科を受診してください。出血や痛みに対しては、症状を和らげる薬の処方や、状態に応じた治療方針が示されることがあります。
将来的に妊娠を希望している方は、早期の診断と治療が重要です。症状の有無に関わらず、定期的な受診を習慣づけましょう。
子宮筋腫の治療法
子宮筋腫にはさまざまな治療法があり、症状の程度や筋腫の大きさ、妊娠の希望の有無などによって適した方法が異なります。子宮筋腫の代表的な治療法について、以下を解説します。
- 薬物療法
- 子宮筋腫を小さくする治療法
- 手術治療
自分のライフスタイルや将来の希望に合った治療法を見つけるために、選択肢を知ることから始めましょう。
薬物療法
薬物療法は手術を行わずに、薬によって症状の緩和を目指す方法です。毎月の生理痛が強く、鎮痛剤が手放せない方には、適切な鎮痛薬を処方することで、痛みを軽減できます。「立ちくらみ」や「息切れ」といった症状があり、貧血と診断された場合には、鉄剤の処方によって改善が期待できます。
女性ホルモンの働きを抑える薬や、筋腫のサイズを縮小させることが期待される治療薬も使用されています。薬に関する効果や安全性については、最近の研究でも報告されています。子宮筋腫に関連する主な薬の種類と効果は以下のとおりです。
- 鎮痛剤:生理痛や下腹部の痛みを緩和する
- 鉄剤:貧血の改善を目的とした治療に使用する
- GnRHアゴニスト(女性ホルモンの分泌抑制薬):月経を一時的に止め、筋腫を小さくする
薬物療法は一時的な症状の緩和を目的とするケースが多く、根本的な治療ではないため、将来的な治療方針は医師と相談することが重要です。
子宮筋腫を小さくする治療法
子宮筋腫を小さくするための治療法として「子宮動脈塞栓術(UAE)」と「集束超音波治療(HIFU)」の2つがよく知られています。特徴は以下のとおりです。
- 子宮動脈塞栓術(UAE):足の付け根にある血管からカテーテルという細い管を挿入し、子宮筋腫に栄養を供給する血管を塞ぐ治療
- 集束超音波治療(HIFU):MRIで筋腫の位置を確認しながら、高密度の超音波をピンポイントで照射し、筋腫の細胞を壊死させていく非侵襲的な治療法
どちらの方法もお腹を切らずに行える低侵襲な治療法ですが、治療後の痛みや合併症のリスクもあるため、治療を受ける前に医師と十分に相談することが大切です。なお、HIFUは自由診療として提供されるケースが多く、すべての医療機関で実施されているわけではありません。詳しくは医師にご相談ください。
手術療法
子宮筋腫の手術には、主に「子宮を残す手術」と「子宮を摘出する手術」の2つの選択肢があります。それぞれの手術の特徴は以下のとおりです。
- 子宮筋腫核出術:筋腫のみを取り除き、子宮自体は温存する方法で、将来的に妊娠を希望する方や、子宮を残したい方に適応される
- 子宮全摘術:子宮をすべて摘出する手術で、症状が重い場合や、筋腫の再発リスクが高いと判断された場合に選択されることがある
子宮全摘術には以下のような術式があります。
- 腹式子宮全摘術:お腹を切開して子宮を取り出す方法
- 腟式子宮全摘術:腟(ちつ)から子宮を取り出す方法
- 腹腔鏡下子宮全摘術:腹腔鏡を使用して小さな切開で行う方法(回復が早い傾向あり)
それぞれの手術法にはメリット・デメリットがあり、体への負担や回復期間も異なります。自分のライフスタイルや今後の希望に応じて、医師と十分に相談しながら治療法を選ぶことが重要です。
まとめ
子宮筋腫と診断されても、過度な運動や飲酒を避けること、栄養バランスの良い食事を心がけ、ストレスを溜め込まない生活を意識しましょう。生活習慣の改善で症状の進行リスクを抑える可能性が高まります。
子宮筋腫は良性の腫瘍ですが、放置すると過多月経、腹痛、貧血などの不快な症状を引き起こし、妊娠や出産への影響が出る場合もあります。大切なのは、定期的に婦人科で検診を受けることです。早期発見・早期治療が、安心して日常生活を送るため重要です。
少しでも違和感を感じたら、自己判断せず、専門の医師に相談しましょう。
参考文献
Muhammad J, Yusof Y, Ahmad I, Norhayati MN. Elagolix treatment in women with heavy menstrual bleeding associated with uterine fibroid: a systematic review and meta-analysis. BMC women's health 22, no. 1 (2022): 14.