妊娠中に不正出血があったら|原因や対処法、注意点も解説
不正出血は、妊娠中の女性にとって大きな不安を引き起こす症状の一つです。しかし、妊娠中の出血は決して珍しいものではなく、妊婦さんの約20%が経験するといわれています。この記事では、妊娠中に起こる不正出血の主な原因や現れる症状、適切な対処法について詳しく解説します。
正しい知識を持つことで、もしものときも冷静に対応でき、妊娠生活を過ごすうえでの安心につながります。
橋本駅南口から徒歩1分の長谷川レディースクリニックでは、生理不順やPMS(月経前症候群)などの女性特有の症状に関するご相談はもちろん、男性不妊に関する検査・治療も行っております。経験豊富な専門医が一人ひとりのお悩みに寄り添い、適切な医療サポートを提供いたします。
また、当院は神奈川県相模原市・淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックと連携しており、婦人科・不妊治療をより円滑に進められる体制を整えています。両院で検査結果や治療方針を共有することで、患者様にとって負担の少ないスムーズな診療を実現しています。
妊娠中の体の変化に不安を感じている方は、どうぞお気軽にご相談ください。
妊娠中における不正出血の原因と特徴
妊娠中の不正出血の原因と特徴について、以下を解説します。
- 妊娠初期の不正出血:よくある症状
- 妊娠中期の不正出血:注意が必要
- 妊娠後期の不正出血:早急な対応が必要
妊娠初期の不正出血:よくある症状
妊娠初期には不正出血が起こることが比較的多く、過度に不安になる必要はありません。出血の原因として代表的なのが「着床出血」です。着床出血とは、受精卵が子宮内膜に着床する際に少量の出血や、おりものに血が混じるような症状が現れます。
妊娠初期はホルモンバランスが大きく変化し、子宮内膜が不安定になりやすいため、少量の出血が見られることも珍しくありません。多くの場合は、痛みを伴わず、出血量もわずかです。生理のような鮮血ではなく、薄いピンク色や茶色っぽいおりものとして現れることが特徴です。
出血量が多い場合や下腹部に強い痛みがある場合は、流産や子宮外妊娠のリスクが考えられます。特に子宮外妊娠は放置すると命に関わる重大な状態となる可能性があるため、早期の受診と診断が重要です。
妊娠中期の不正出血:注意が必要
妊娠中期は一般的に「安定期」とされ、赤ちゃんの成長も順調に進む時期ですが、不正出血が見られた場合には十分な注意が必要です。妊娠中期の出血の原因として以下が挙げられます。
- 前置胎盤:胎盤が子宮口にかかる位置に形成されることで、出血しやすくなる
- 子宮頸管ポリープ:頸管部分にできたポリープが刺激を受けて出血する
- 子宮筋腫:もともと存在していた筋腫が妊娠中に大きくなり、出血する
妊娠中期の出血でも、出血量が多い、腹痛がある、お腹の張りが強いなどの場合は、切迫流産や切迫早産の可能性があるため、すぐに医療機関を受診しましょう。切迫早産と診断された場合には、入院して安静に過ごし、子宮の収縮を抑える薬を使った治療が行われることもあります。
妊娠中の不正出血は、時期や症状に応じて適切に判断し、迅速に対応することが重要です。
妊娠後期の不正出血:早急な対応が必要
妊娠後期は、出産に向けて子宮や胎盤の変化が大きくなる時期です。妊娠後期に不正出血が見られた場合は、母体と赤ちゃんに重大な影響を及ぼす可能性があるため、早急な対応が必要です。妊娠後期の不正出血の代表的な原因は、以下のとおりです。
- 前置胎盤
- 常位胎盤早期剥離
- 子宮頸管の開大
前置胎盤は、胎盤が子宮口を覆っているため出血を繰り返しやすく、大量出血につながることもあります。常位胎盤早期剥離では、正常な位置にある胎盤が子宮壁から早期に剥がれてしまい、強い腹痛と出血を伴うことが多く、母子ともに危険な緊急事態です。
子宮頸管の開大によって出産が近づくと「おしるし」と呼ばれる少量の血が混じったおりものが見られることがあります。おしるしは出産のサインである場合が多いものの、自己判断は避け、必ず医師に確認することが大切です。
妊娠後期の不正出血は「出産の兆候」か「重大な異常」かの判断が難しいため、少量であっても必ず医療機関に連絡しましょう。出血量が多い、腹痛やお腹の張りが強い、胎動が感じにくいといった場合は緊急性が高く、すぐに救急受診が必要です。
妊娠中の不正出血が起きたら意識すべきこと
妊娠中に不正出血が起こった場合は、落ち着いて現在の状況をできる限り正確に確認することが大切です。不正出血が起こった場合は、以下を意識しましょう。
- 妊娠中の不正出血が起きたときの正しい対処法
- 緊急性が高い症状
- 妊娠中の出血は早めに受診する
妊娠中の不正出血が起きたときの正しい対処法
妊娠中に不正出血があった場合は、まずご自身と赤ちゃんの安全を最優先に考え、落ち着いて対応することが大切です。安全な場所で横になり、できるだけ楽な姿勢で安静に過ごしてください。受診時に医師へ状況を伝えられるよう、以下のポイントを記録しましょう。
- 出血が始まった時間
- 出血の量(生理時と比べて多いか少ないか、ナプキンの使用枚数や交換頻度)
- 出血の色(鮮血、ピンク、茶色など)
- 出血のニオイ(いつもと違う臭いがあるか)
- おりものや血の塊の有無(粘り気のあるおりもの、血のかたまりなど)
- 出血以外の症状(腹痛、腰痛、発熱、だるさなど)
不正出血時の情報は、医師が原因を判断し、適切な処置を行うために役立ちます。不正出血が起きたときは自己判断せず、必ず医療機関へ相談しましょう。
緊急性が高い症状
多くの場合、妊娠中の不正出血は一時的であり、安静にすることで自然に落ち着きます。以下の症状がある場合は緊急性が高いため、注意が必要です。
- ナプキンが1時間以内にびっしょり濡れるほど出血量が多い
- 生理時以上の出血に加え、めまい・動悸・息切れなど貧血症状がある
- 激しい腹痛や腰痛がある
- 妊娠初期に鮮血で大量の出血が見られる
- 妊娠後期に出血が多い、または少量でも継続している
- 出血に加えて発熱や腹痛がある
- 出血とともに水っぽいおりものが出る
- 出血後、赤ちゃんの胎動が感じられない
緊急度の高い症状は、流産、早産、常位胎盤早期剥離などの重篤な状態の可能性があります。迷わずすぐに医療機関を受診するか、必要に応じて救急車を呼んでください。
妊娠中の出血は早めに受診する
妊娠中の出血は、状況によっては母体や赤ちゃんの命に関わる可能性もあります。少量の出血であっても、自己判断で様子を見るのは危険です。不安なことがあれば、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
子宮頸管が短いと診断されている方や、早産リスクが高いとされている妊婦さんは、少しの出血でも注意が必要です。近年の研究では、子宮頸管の短縮がある妊婦に対し、ペッサリーと黄体ホルモン(プロゲステロン)を併用することで早産を予防できる可能性が示されています
出血の量や色、痛みの有無などの詳細を記録しておき、受診時に医師へ正確に伝えることで、適切な判断と対処につながります。出血とあわせて不安な症状や疑問がある場合は、遠慮せず医師に相談しましょう。不安を一人で抱え込まず、医療のサポートを受けながら、安心して妊娠生活を送ることが大切です。
不正出血の原因と注意点
不正出血の原因と注意点について、以下を解説します。
- 妊娠と無関係に起こる出血の原因
- 妊娠初期:切迫流産や子宮外妊娠の可能性
- 妊娠中期以降:前置胎盤・常位胎盤早期剥離に注意
- 不安なときは医師や周囲に相談する
妊娠と無関係に起こる出血の原因
妊娠中に見られる不正出血のなかには、妊娠とは直接関係のない原因によって引き起こされるものもあります。代表的なものは以下のとおりです。
- 子宮頸管ポリープ:子宮の入り口(頸管)にできる良性の腫瘍
- 子宮筋腫:子宮の筋肉の層に発生する良性の腫瘍
子宮頸管ポリープや子宮筋腫は、妊娠していなくても発症する一般的な婦人科疾患ですが、妊娠中はホルモンバランスの影響で腫瘍が大きくなり、出血しやすくなることがあります。子宮頸管ポリープや子宮筋腫が原因で出血が起きた場合でも、必ずしもすぐに治療が必要というわけではありません。
妊娠中に腫瘍が見つかった際は、妊婦さんの体調や症状、腫瘍の位置や大きさなどを医師が総合的に判断し、必要に応じて適切な治療方針が決定されます。
妊娠初期の不正出血は切迫流産や子宮外妊娠の可能性
妊娠初期に見られる不正出血には、切迫流産や子宮外妊娠といった重大なリスクが隠れている場合があります。切迫流産は、子宮口(子宮の入り口)が開きかけており、赤ちゃんを守っている子宮内膜が剥がれやすくなっている状態です。出血は少量のこともあれば、生理のように多量に出る場合もあり、腹痛を伴うこともあります。
子宮外妊娠は、受精卵が本来着床するはずの子宮内ではなく、卵管などの子宮外に着床してしまう状態です。子宮外妊娠では下腹部の痛みや出血に加え、進行すると肩や背中など広範囲に痛みが広がることがあり、危険な状態です。切迫流産や子宮外妊娠は、早期発見が命を守る鍵となるため、少しでも異常を感じたらすぐに医療機関を受診しましょう。
妊娠中期以降の出血は前置胎盤・常位胎盤早期剥離に注意
妊娠中期から後期にかけての不正出血は、前置胎盤や常位胎盤早期剥離といった、母体と胎児の命にかかわる重大な疾患のサインである可能性があります。前置胎盤とは、胎盤が子宮口付近に位置してしまう状態で、子宮が収縮した際に胎盤が引っ張られ、出血を起こしやすくなります。無症状のまま進行する場合もあるため、定期的に超音波検査での確認が重要です。
常位胎盤早期剥離は、本来であれば出産時まで子宮に付いているはずの胎盤が、赤ちゃんが生まれる前に子宮壁から剥がれてしまう危険な状態です。大量の出血や激しい腹痛が生じ、母体と赤ちゃん双方の命が脅かされる可能性があります。
前置胎盤や常位胎盤早期剥離は、早急な対応が必要です。出血や強い腹痛がある際は、ためらわずすぐに医療機関を受診しましょう。
不安なときは医師や周囲に相談する
妊娠中の不正出血は、どんなお母さんも不安や心配を伴う出来事です。不安は一人で抱え込まず、信頼できる医師に相談することが大切です。医師はあなたの気持ちに寄り添いながら、丁寧な診察や検査を通じて原因を見極め、適切な治療やアドバイスを行います。
家族やパートナーなど、身近な人に気持ちを打ち明けることも心のケアとして有効です。妊娠中の不安や体調の変化を共有することで、精神的な負担を軽減できます。不正出血は珍しいものではなく、多くの妊婦さんが経験する症状です。正しい知識を持ち、少しでも不安を感じたら、遠慮せずに医療機関に相談することが、安心して過ごす基本です。
まとめ
妊娠中の不正出血は、出血の時期や症状によって原因が異なり、中には流産や早産などにつながるリスクを伴うこともあるため、注意が必要です。出血量が多い、生理よりも出血が激しい、強い腹痛や腰痛を伴う、発熱があるなどの症状が見られる場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
出血の色や量、継続期間からある程度の原因が推測できることもあります。少量の茶褐色の出血であれば、着床出血や子宮頸管ポリープの可能性があります。一方で、鮮血で出血量が多い場合は、切迫流産や常位胎盤早期剥離など、重篤な疾患が関係しており注意が必要です。
不正出血が起こった場合には、自己判断せず、必ず医師に相談し、適切な検査と対応を受けることが母体と赤ちゃんの安全につながります。心配な症状がある場合は、迷わず医療機関を受診しましょう。
参考文献
Rodolfo C Pacagnella, Thaís V Silva, José G Cecatti, Renato Passini Jr, Tatiana F Fanton, Anderson Borovac-Pinheiro, Cynara M Pereira, Karayna G Fernandes, Marcelo S França, Wentao Li, Ben W Mol, P5 Working Group.Pessary Plus Progesterone to Prevent Preterm Birth in Women With Short Cervixes: A Randomized Controlled Trial.Obstet Gynecol,2022,139,1,p.41-51
