子宮頸がん検診でひっかかる原因は?精密検査の方法や予防策を紹介
子宮頸がん検診で「要精密検査」という結果に不安を感じる方も多いです。しかし「要精密検査」と「がんが見つかった」ということは同義ではありません。HPV(ヒトパピローマウイルス)への感染やその他の要因によって検査結果に異常が出ることがあります。
精密検査を後回しにしてしまうと、子宮頸がんへと進行してしまうリスクがあるため、早めに精密検査を受けることが大切です。この記事では、子宮頸がん検診で異常が見つかる原因や精密検査の内容、子宮頸がんの予防法を解説します。HPVワクチンや定期的な検診の重要性など、健康を守るために役立つ情報をお届けします。
橋本駅南口から徒歩1分の長谷川レディースクリニックでは、生理不順やPMS(月経前症候群)など、女性特有の症状に関する検査・治療にも対応しています。経験豊富な専門医が、一人ひとりのお悩みに寄り添いながら、適切な医療サポートを提供いたします。
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子宮頸がん検診でひっかかる5つの理由
子宮頸がん検診で再検査を求められる背景には、以下の5つの要因が考えられます。
- HPV感染
- 炎症や性感染症
- ホルモンバランスの変動
- 検体採取時の問題
- 子宮頸部の前がん状態やがんの可能性
HPV感染
子宮頸がんの要因とされているのが、HPVへの感染です。HPVは一般的なウイルスであり、性経験のある女性の約8割が一生のうちに一度は感染する可能性があるとされています。HPVには100種類以上の型があり「ハイリスク型」と呼ばれる型が子宮頸がんの発症に深く関与しています。
16型と18型は、日本で確認されている子宮頸がん症例の約70%を占めるとされています。感染したHPVは免疫機能によって自然に排除されることが多いです。ハイリスク型のウイルスが体内に長くとどまると、子宮頸部の細胞に異常が生じ、前がん状態からがんへと進行するリスクがあります。
炎症や性感染症
子宮頸がん検診で精密検査が必要とされる理由には、HPV感染以外に、炎症や性感染症の存在が挙げられます。以下の性感染症は、子宮頸部に炎症を引き起こし、細胞診で異常が見つかる原因になることがあります。
- クラミジア
- カンジダ
- トリコモナス
性感染症は、自覚症状がないまま進行することもあり、感染に気づかずに過ごしてしまうケースも多いです。適切な治療を受ければ改善できるとされており、異常が指摘された場合は速やかに医療機関を受診しましょう。性感染症はパートナーにも感染している可能性があるため、必要に応じて一緒に治療を行うことが再発防止につながります。
ホルモンバランスの変動
女性の体はライフステージの変化に伴ってホルモンバランスが大きく変わります。以下のタイミングでは、子宮頸部の状態に変化が現れることがあります。
- 妊娠
- 出産
- 閉経
- 経口避妊薬(ピル)の服用
ホルモンの変動は、子宮頸部の細胞環境に影響を与え、検診結果に異常が見られる原因になる可能性があります。閉経後は子宮頸部が萎縮し、検査結果が異常と判断されることもあります。ピルの服用もホルモンに影響するため、検診を受ける際には、医師に使用状況を伝えましょう。
検体採取時の問題
子宮頸がん検診では、専用の器具を用いて子宮頸部の細胞を採取し検査を行いますが、採取方法に不備があると、正確な診断ができないことがあります。細胞が十分に取れていなかったり、出血が混ざっていたりすることで、検査結果に影響が出る可能性があります。
子宮頸部の位置が深い場合や、炎症がある場合には細胞の採取が困難になることがあり、「判定不能」とされ、再検査が必要です。強い痛みや出血は起こりにくい検査ですが、まれに出血量が多くなることもあります。
子宮頸部の前がん状態やがんの可能性
子宮頸がん検診で「要精密検査」と判定される理由の一つが、子宮頸部に前がん病変やがんが疑われる場合です。前がん病変とは、がんに進行する前の異常細胞の状態を指し、正常な細胞が徐々に変化し、段階を経てがんに至ることがあります。前がん病変の場合は、早期に適切な治療を行えば、がんへの進行を防ぐ可能性が高まります。
異常が見つかった際はできるだけ早く精密検査を受けましょう。早期発見・早期対応が、健康を守るために大切です。
精密検査で行われる検査方法
精密検査の方法は、以下のとおりです。
- コルポスコピー検査
- 組織診
- HPVタイピング検査
コルポスコピー検査
コルポスコピー検査は、専用の拡大鏡を用いて子宮頸部を詳しく観察する検査です。子宮頸部に酢酸を塗布することで、血管の状態や病変の有無が明瞭に確認できます。検査自体は5〜10分程度で終了し、痛みの感じ方には個人差があるものの、多くの人が軽い不快感を覚える程度です。
肉眼では捉えにくい小さな病変を発見できるとされており、子宮頸がんの早期発見に役立つ検査です。観察の結果によっては、さらに詳細な検査として「組織診」が必要になる場合もあります。
組織診
組織診は、コルポスコピー検査で異常が疑われた箇所から少量の組織を採取し、細胞を顕微鏡で調べる検査です。採取時には「チクッ」とした痛みを感じることがありますが、多くの場合はわずかな出血のみで、すぐに止まります。採取された組織は病理専門医によって詳細に分析され、がん細胞の有無や異形成(細胞の変化の度合い)などが診断されます。
組織診は、子宮頸部の状態を細胞レベルで正確に評価するため、コルポスコピーで異常が認められた多くの方が受ける検査です。検査結果は通常、1〜2週間ほどでわかります。
HPVタイピング検査
HPVタイピング検査は、子宮頸がんの原因とされるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染タイプを特定する検査です。子宮頸部から採取した細胞を使って行い、どの型のHPVに感染しているかを調べることができます。検査は短時間で終わり、痛みもほとんどありません。検査結果は通常、約1週間で判明します。
ハイリスク型のHPVに陽性であっても、直ちにがんが発症するわけではありません。多くの場合、体の免疫機能によってウイルスは自然に排除されます。ハイリスク型のHPVが長期間体内に残っていると、子宮頸がんのリスクが高くなるため、定期的なフォローアップと検診が必要です。
子宮頸がんの予防策
子宮頸がんの発症を未然に防ぐための対策は、以下が挙げられます。
- HPVワクチン接種
- 定期的な子宮頸がん検診
- 禁煙
- コンドームの使用
- 生活習慣の改善
HPVワクチン接種
HPVワクチンは、子宮頸がんの原因であるハイリスク型HPVの感染を防ぐためのワクチンです。現在、日本で承認されているHPVワクチンには、2価、4価、9価の3種類で、予防できるウイルスの型が異なります。9価ワクチンは、より多くのハイリスク型HPVに対応しているのが特長です。
ワクチンは定期接種の対象となっており、該当する年齢の方は公費で接種ができます。定期接種の対象年齢を過ぎてしまった場合は原則自己負担です。自治体によっては接種費用の一部または全額を助成しているところもあるため、詳細はお住まいの自治体に確認しましょう。
接種はあくまで任意ですが、子宮頸がんの予防に対して有効性が報告されており、WHO(世界保健機関)も積極的な接種を推奨しています。
定期的な子宮頸がん検診
子宮頸がんは、定期的に検診を受けることで、がんになる前の段階である「前がん病変」の時点で発見し、適切な治療を行うことが可能とされています。子宮頸がん検診では、子宮頸部から細胞を採取し、顕微鏡で異常の有無を調べます。検査時間はおよそ5分と短く、痛みもほとんど感じない検査です。
日本では、2年に1回の受診が推奨されています。子宮頸がんは初期には自覚症状が出にくく、気づかないうちに進行することも多いため、定期的な検診が早期発見と予防の鍵です。ご自身の健康管理の一環として、検診を習慣化しましょう。
禁煙
喫煙は、子宮頸がん含むさまざまながんのリスクを高める要因の一つです。タバコの煙に含まれる有害物質は、子宮頸部の細胞を傷つけ、HPVへの感染リスクを高める可能性があります。有害物質は免疫力を低下させ、がんの発症を促す一因と考えられています。禁煙は、がんの予防だけでなく、全身の健康維持にもつながります。
禁煙は容易ではありませんが、禁煙外来などのサポートを活用しながら、積極的に取り組みましょう。
コンドームの使用
HPVは性行為を通じて感染するため、コンドームを正しく使用することは感染リスクを軽減する手段の一つです。コンドームはHPV以外の性感染症の予防にもつながります。HPVは、皮膚同士の接触によっても感染する場合があるため、コンドームの使用だけで完全に感染を予防できるわけではありません。
HPVワクチン接種や定期的な検診など、他の予防策と併用して対策を講じることが大切です。
生活習慣の改善
日常生活の中で健康的な習慣を維持することは、免疫機能を高め、子宮頸がんを含むさまざまな病気の予防につながります。体の抵抗力を保つための生活習慣は、以下のとおりです。
- 栄養バランスの良い食事
- 適度な運動の習慣
- 質の良い睡眠の確保
- ストレスの軽減・解消
ストレスは免疫力を低下させる要因の一つとされており、過剰なストレスを溜め込まないことが大切です。リラックスできる時間を意識的に確保したり、趣味を楽しんだりすることで、自分に合ったストレス対処法を見つけましょう。心身ともに健やかな状態を保つことが、病気の予防と健康維持へつながります。
まとめ
子宮頸がん検診で「要精密検査」と判定されると、多くの方が不安を感じるかもしれませんが、「要精密検査」が必ずしも「がん」であるわけではありません。子宮頸がん検診で再検査が必要な場合は、HPVへの感染や炎症や性感染症、子宮頸部の前がん病変またはがんの疑いなどが挙げられます。
子宮頸がんは、早期に発見して適切な治療を受けることで高い確率で予防・治療が可能です。精密検査を受けて子宮頸部の状態を詳しく調べることが大切です。検診結果に不安を感じた場合は、一人で抱え込まず、早めに医師へ相談しましょう。正しい情報と適切な対応によって、不安を軽減し、健康を守る一歩につながります。
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- 厚生労働省:HPV検査単独法による子宮頸がん検診の導入(令和6年)
