妊活中でも子宮頸がん検診は受けられる?適切なタイミングと注意すべきポイント
妊活を始めると、体調や検査への不安が高まり「子宮頸がん検診を受けても大丈夫?」と心配になる方も多いです。子宮頸がん検診は、安心して妊娠・出産を迎えるために欠かせない準備の一つです。子宮頸がんは初期段階ではほとんど自覚症状がないため、20歳以上の女性に対して2年に1回の定期検診を推奨しています。
妊娠後に病気が見つかった場合は、治療の選択肢が限られたり、精神的・身体的な負担が大きくなったりする可能性もあります。この記事では、妊活中に子宮頸がん検診を受ける適切なタイミングや注意点、精密検査が必要と診断された場合の対応について解説します。
橋本駅南口から徒歩1分の長谷川レディースクリニックでは、生理不順やPMS(月経前症候群)など、女性特有の症状に関する検査・治療にも対応しています。経験豊富な専門医が、一人ひとりのお悩みに寄り添いながら、適切な医療サポートを提供いたします。
また当院では、神奈川県相模原市・淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックと連携し、婦人科および不妊治療においてスムーズな連携体制を構築しています。検査結果や治療方針の共有により、患者さまにとって安心かつ効率的な診療環境をご提供いたします。
妊活中でも子宮頸がん検診は基本的に受診可能
妊活中であっても、子宮頸がん検診は受けることが可能です。子宮頸がんは初期の段階では自覚症状がほとんどなく、妊娠を希望する女性に受けてほしい大切な検査です。妊娠前に「前がん病変」という、がんの一歩手前の状態が見つかった場合、治療により妊娠や出産への影響を最小限にできる可能性があります。
妊娠してから病気が見つかると、母体と胎児の両方に配慮しながら治療を進める必要があり、心身ともに大きな負担がかかる場合があります。将来の赤ちゃんを安心して迎えるためにも、妊活の一環として、ご自身の健康状態を確認しましょう。
子宮頸がん検診の3つのポイント
子宮頸がん検診の基本情報について、以下の3つを解説します。
- 定期的な子宮頸がん検診を受ける
- 検診内容を事前に確認する
- 検診の妊娠への影響を確認する
定期的な子宮頸がん検診を受ける
子宮頸がん検診を定期的に受けることは、ご自身の健康だけではなく、将来授かる赤ちゃんのためにも大切な予防行動です。子宮頸がんは初期段階では自覚症状がほとんどなく、症状に気づいたときにはすでに進行していることもあります。
進行した子宮頸がんの治療は、妊娠や出産への影響を及ぼす可能性もあるため、妊活を始める「前」に検診を受けることが大切です。
検診内容を事前に確認する
子宮頸がん検診では、以下の2つの検査が行われます。
- 子宮頸部細胞診
- HPV(ヒトパピローマウイルス)検査
子宮頸部細胞診は、柔らかいブラシやヘラのような器具を使って、子宮の入り口(子宮頸部)の表面をやさしくこすり、細胞を採取する方法です。検査時間は数分程度で、個人差はありますが、痛みはほとんどありません。採取された細胞は顕微鏡で分析され、がん細胞やがんに進行する可能性のある異常な細胞がないかを調べます。
HPV検査は、HPVへの感染の有無を調べる検査で、細胞診と同様の方法で行われ、同時に受けることも可能です。HPV陽性と診断されても、すぐにがんになるわけではなく、体の免疫力によってウイルスは自然に排除されます。検査を通じて自分のリスクを把握することは、適切な経過観察や予防対策を講じるうえで大切です。
検診の妊娠への影響を確認する
子宮頸がん検診が妊娠の妨げになることは、ほとんどありません。検査では、子宮の入り口を専用のブラシで軽くこすって細胞を採取するため、検査後にごく少量の出血が見られることがあります。多くの場合、出血は1〜2日で自然におさまります。出血が受精や着床に悪影響を与える可能性は極めて低いとされていますので、安心して検査を受けてください。
検査結果で「要精密検査」とされた場合でも「妊娠できない」という意味ではありません。必要な検査や診察を受けながら、落ち着いて次のステップに進むことが大切です。
妊活中に子宮頸がん検診を受けるタイミング
妊活中に子宮頸がん検診を受ける際に適しているのは、生理が終わってから排卵日までの間の期間です。子宮頸がん検診に適した時期については、以下のとおりです。
- 生理中:受診を避ける時期
- 生理終了後〜排卵日前(低温期):検診を受けるベストな時期
- 排卵後〜次の生理前(高温期):できれば避けたい時期
妊娠がわかった場合でも検診は受けられます。妊娠時の検査は、体が安定してくる妊娠12〜20週ごろが、母子ともに負担の少ない時期です。ご自身の体のリズムを把握し、適切な時期に受診しましょう。
妊活中に検診を受ける際に気をつける4つのポイント
妊活中に子宮頸がん検診を受ける際に気をつけるポイントは、以下の4つです。
- 検査内容(細胞診・HPV検査)を正しく理解する
- 検査前後の体調管理に気をつける
- 自治体検診とブライダルチェックの違いを確認する
- 費用と受診先(産婦人科・婦人科)を比較する
検査内容(細胞診・HPV検査)を正しく理解する
多くの自治体で実施されている定期検診は、子宮頸部細胞診です。子宮頸部から採取した細胞を顕微鏡で調べ、異常な細胞の有無を確認する検査です。子宮頸がんの約95%以上は、HPVというウイルスへの感染が原因で発症するとされています。HPV検査では、将来的ながんリスクの有無を事前に把握できるため、予防や経過観察に役立ちます。
より正確に体の状態を把握するためには、細胞診とHPV検査の両方を同時に受けることが推奨されます。検査の目的や内容を正しく理解して、自分に合った検診を選びましょう。
検査前後の体調管理に気をつける
妊活中に子宮頸がん検診を受ける際は、体調や体への負担を考慮した準備とケアが大切です。検査前に気をつけるべきポイントは、以下のとおりです。
- 生理中の受診は避ける:経血が検査結果に影響を及ぼすため
- 腟内を洗浄しない:必要な細胞まで洗い流してしまう可能性があるため
- 性交渉を控える:精液や潤滑剤などが検査に影響するため
検査後は、細胞を採取する際に少量の出血が見られることがありますが、多くの場合は軽度であり、1〜2日ほどで自然に止まります。出血がある間は、激しい運動や長時間の入浴、性交渉などは控え、無理をせず安静に過ごしましょう。
検査によって軽い出血があっても、受精や着床に悪影響を及ぼすことはほとんどありません。出血の量が多い、数日以上続く、強い腹痛があるなどの異変を感じた場合は、早めに検査を受けた医療機関へ相談しましょう。
自治体検診とブライダルチェックの違いを確認する
子宮頸がんの検査には、自治体が実施する子宮頸がん検診と、医療機関が提供するブライダルチェックの2つの選択肢があります。目的や内容には違いがあるため、ご自身の状況に応じて選ぶことが大切です。自治体検診とブライダルチェックの違いは、以下のとおりです。
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項目 |
自治体検診 |
ブライダルチェック |
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目的 |
子宮頸がんを早い段階で発見 |
妊娠や出産に影響する病気がないか、幅広く確認 |
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検査内容 |
子宮頸部細胞診が中心 |
子宮頸がん検診に加え、超音波検査(子宮筋腫・卵巣のう腫)、性感染症、風疹の抗体検査などがセット |
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費用 |
一部自己負担または無料(自治体による) |
全額自己負担 |
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おすすめの方 |
費用を抑えたい方、子宮頸がんの検査のみ受けたい方 |
妊活を機に、自分の体をトータルでチェックしておきたい方 |
ご自身のライフステージや目的に合わせて、どちらの検査が適しているかを判断し、計画的に受診しましょう。
費用と受診先(産婦人科・婦人科)を比較する
子宮頸がん検診を受ける際には、費用や受診先を事前に確認しておくとスムーズです。妊活中であれば、自身の体調や通いやすさも踏まえて受診先を選びましょう。自治体が実施する検診は、送付されるクーポンや案内を利用することで、無料〜数千円程度で受診できます。
自費診療の場合は、HPV検査の追加やブライダルチェックなどを含むことが多く、全額自己負担となるため、費用が数万円になることもあります。基本的に子宮頸がん検診は自費ですが、不正出血などの症状がある場合や検査結果に異常が見つかった際は、保険が適用されるケースもあります。検診を受けられる医療機関には、以下が挙げられます。
- 不妊治療クリニック:不妊治療と並行して検診が受けられる
- かかりつけの産婦人科・婦人科:日頃から通っている医療機関であれば安心して検診を受けられる
- 自治体指定の医療機関:自治体から指定された病院やクリニックから選んで受診する
検診の内容や費用、対応可能な検査内容などは施設によって異なる場合があるため、事前に確認すると安心です。
「要精密検査」となった場合の対応の流れ
子宮頸がん検診の結果で「要精密検査」と判定された場合は、一般的に以下の流れで対応します。
- ステップ1:精密検査(コルポスコピー・組織診)で正確な診断を受ける
- ステップ2:治療の必要性を確認し、妊娠への影響を理解する
- ステップ3:妊娠の力(妊孕性)を守る治療法を医師とじっくり相談する
ステップ1:精密検査(コルポスコピー・組織診)で正確な診断を受ける
子宮頸がん検診は、病気の可能性があるかをふるい分ける「スクリーニング検査」です。検査で異常の疑いがあると判定された場合は、精密検査が必要です。精密検査により、実際に治療が必要な状態かどうかを判断します。精密検査では、以下の2つの検査を組み合わせて行います。
- コルポスコピー(腟拡大鏡診)
- 組織診(生検)
コルポスコピーは、専用の拡大鏡「コルポスコープ」を使って子宮頸部を詳しく観察する検査です。酢酸(お酢のような液体)を子宮頸部に塗布することで、異常がある部分が白く浮かび上がり、詳しく調べるべき部位を特定しやすくなります。コルポスコピーで異常が疑われた場合には「組織診」が行われることがあります。
細胞診では、お米の粒ほどのごく小さな組織を採取し、顕微鏡で詳しく調べて確定診断を行います。検査後は、数日間少量の出血が続くことがありますが、多くの場合自然に治まります。
ステップ2:治療の必要性を確認し、妊娠への影響を理解する
結果は以下の3つの段階に分類され、医師が今後の対応を判断します。
- 異常なし(正常)
- 前がん病変(異形成:いけいせい)
- 子宮頸がん
異形成はがんの一歩手前の状態であり、すぐに治療を必要とするわけではありません。ごく初期の異形成の場合は、免疫力によって自然に正常な状態へ戻ることもあります。すぐに治療を行わず、3〜6か月ごとに定期的な検査を受けながら経過を観察するのが一般的です。
異形成が進行している場合や、がんが確認された場合には、適切な治療を行う必要があります。治療が必要と判断された場合、妊活は一時的に中断します。治療方法によっては、妊娠・出産に影響を及ぼす可能性もあるため、事前に医師から説明を受け、十分に理解したうえで治療を進めることが大切です。
ステップ3:妊娠する力(妊孕性)を守る治療法を医師とじっくり相談する
治療が必要と診断されたとしても、妊娠を諦める必要はありません。初期の異形成やごく早期の子宮頸がんであれば、妊娠する力=妊孕性(にんようせい)をできるだけ温存できる治療法を選択できる可能性があります。代表的な治療法が「円錐(えんすい)切除術」です。
円錐切除術は、子宮頸部の病変が疑われる部分のみを、レーザーや電気メスなどで円錐状に切り取ります。子宮本体は残すことができるため、手術後に妊娠・出産を目指すことが可能です。一方で、手術によって子宮の入り口が狭くなると、精子の移動を助ける「頸管粘液」の分泌が減少し、妊娠しにくくなる可能性があります。
子宮頸部の長さが短くなると、妊娠中に赤ちゃんを十分に支えることが難しくなり、早産のリスクが高くなる場合もあります。
まとめ
子宮頸がんは初期にはほとんど自覚症状がないため、妊娠を考え始めたタイミングで検診を受けることが、ご自身と未来の赤ちゃんの健康を守るうえで大切です。検診を受けるのに適した時期は、月経が終わってから排卵日までの期間とされています。
治療が必要な異常が見つかった場合でも、早期に発見できれば将来の妊娠や出産への影響を最小限に抑えることが可能です。不安や疑問があるときは、一人で抱え込まずに婦人科に相談しましょう。「赤ちゃんを授かりたい」という思いに寄り添いながら、医師が適切な選択肢を一緒に考えてくれるはずです。
参考文献
国立がん研究センター:子宮頸がん検診について(令和6年)
