AMH検査は意味がない?知っておきたい検査の目的と数値の見方
「AMH検査」という言葉を耳にしたことはあっても、どのような検査で何が明らかになるのか知らない方も多いです。「AMH検査を受ければ妊娠の可能性がわかる」などの誤った認識も広がっています。AMH検査では卵子の残存数は把握できますが、卵子の質までは判断できません。
AMH値だけで妊娠可否を判断できませんが、正しく理解し活用すれば、今後の人生設計に役立つ手がかりになります。本記事では、AMH検査の本来の役割や数値の見方、よくある誤解について詳しく解説します。AMH検査に関する理解を深め、自分に合った不妊治療の選択肢や、将来のライフプランの判断材料として活用してください。
橋本駅南口から徒歩1分の長谷川レディースクリニックでは、生理不順やPMS(月経前症候群)など、女性特有の症状に関するご相談に加え、男性不妊に関する検査・治療にも対応しています。経験豊富な専門医が、一人ひとりのお悩みに寄り添いながら、適切な医療サポートを提供いたします。
また当院では、神奈川県相模原市・淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックと連携し、婦人科および不妊治療においてスムーズな連携体制を構築しています。検査結果や治療方針の共有により、患者さまにとって安心かつ効率的な診療環境をご提供いたします。
AMH検査とは|基礎知識と検査の目的について
AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査の基礎知識や検査の目的について、以下を解説します。
- AMH(抗ミュラー管ホルモン)の働き
- AMH検査が必要な理由
- どのような人がAMH検査を受けるべきか
AMH(抗ミュラー管ホルモン)の働き
AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、卵巣の中にどのくらい卵子が残っているかを推測する手がかりとなるホルモンで、女性の卵巣機能を評価するうえで重要な指標です。AMHは、発育途中の卵胞から分泌されるホルモンであり、卵巣に残された卵子の数を反映しているとされています。
卵胞の数が多いほどAMH値は高く、年齢の上昇とともに卵胞の数が減少するとAMH値も低下します。AMHの値を測定することで、現在の卵巣機能を把握でき、不妊治療や妊活における治療方針を決定する際の判断材料になります。AMH検査によって得られる主な情報は以下のとおりです。
- 卵巣内に残存する卵胞のおおよその数
- 年齢に対する卵巣機能の状態
- 今後の妊活や不妊治療の計画に役立つ情報
AMH値は、卵子の量のみを示すもので、質に関しては評価できません。正確な理解のためには、年齢などの要素と合わせて総合的に判断することが重要です。
AMH検査が必要な理由
AMH検査は、卵巣にどの程度卵子が残っているかを数値で把握できるため、将来の妊娠や不妊治療の方針を検討するうえで必要な検査です。AMHの測定により、卵巣予備能を客観的に評価でき、医師が治療の進め方を決める判断材料になります。
AMHの値が低い場合は、卵子の残りが少なくなっている可能性があり、体外受精などの高度な治療に早めに移行することが多いです。AMHが高い場合は、タイミング法や人工授精といった初期段階の治療から始める選択肢もあります。排卵誘発剤の使用に際しては、AMH値を基に卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクを予測できます。
AMH検査は不妊治療中の方だけでなく、将来的に妊娠を希望している方にも妊娠のタイミングを考える指標として期待されます。
どのような人がAMH検査を受けるべきか
AMH検査は、すべての女性が必ず受けるべき検査ではありませんが、妊娠や不妊治療を考える際の指標として必要な情報がわかるとされています。以下の状況に該当する方は、AMH検査を受けることが推奨されます。
- 不妊治療を検討中、あるいはすでに治療を受けている方
- 35歳以上で妊娠を希望している方
- 月経不順や周期の乱れがある方
- 母親や姉妹などに早期閉経の既往がある方
- 将来の妊娠を見据えて出産時期を計画したい方
AMH検査によって卵巣の予備能を把握することで、妊娠を希望する時期の見直しや、より適切な治療方針の決定がしやすくなります。妊娠を急いでいない若年層や、すでに閉経している方にとっては、検査の有用性は比較的低い場合もあります。
検査を受けるかどうかは、自分の年齢や健康状態、ライフプランを踏まえたうえで、医師と相談しながら慎重に判断しましょう。
AMH検査の数値の見方と知っておきたい5つの誤解
AMH検査の数値の解釈や誤解されやすいポイントについて、以下の5つの観点から解説します。
- AMH検査は意味がない?
- AMH検査と正常値
- AMH値が低い原因と見直すべき対策
- AMHが高い場合に考えられること
- AMH検査でわからないこと
AMH検査は意味がない?
「AMH検査は意味がない」という意見は誤解です。AMH検査は、卵巣にどの程度の卵子が残っているかを推測する「卵巣予備能の評価」に役立つとされる検査です。不妊治療の場面では治療計画を立てるための参考指標として活用されます。AMH検査は以下の目的で実施されます。
- 卵巣予備能(卵子の残りの量)の把握
- 不妊治療方針の立案(刺激法や治療ペースの検討)
- 治療開始の時期判断や早期治療の必要性の見極め
AMHは他のホルモン検査や年齢、身体の状態、ライフプランなどを含めて総合的に評価する必要があります。
AMH検査と正常値
AMHは、卵巣内の発育過程にある小さな卵胞から分泌されるホルモンで、血液検査によって数値を調べることができます。AMHには「正常値」などの基準はなく、年齢別の中央値を目安として比較します。日本国内の一般的な年齢別中央値の一例は、以下のとおりです。
- 20〜25歳:約3.89ng/mL
- 26〜30歳:約3.64ng/mL
- 31〜35歳:約2.81ng/mL
- 36〜40歳:約1.82ng/mL
- 41〜45歳:約0.67ng/mL
数値はあくまで目安であり、同じ年齢でもAMH値には個人差があります。AMH値が年齢平均より低い場合でも妊娠できるケースもあれば、高くても排卵や受精に課題がある場合もあります。AMH値は、遺伝的要因や生活習慣、体質によっても変動するため、医師の説明を受けながら総合的に理解することが大切です。
AMH値が低い原因と見直すべき対策
AMH値が低い場合、卵巣の加齢による機能低下が進んでいる可能性があります。年齢に伴う自然な変化の一つですが、以下の要因も卵巣機能に影響を与える場合があります。
- 喫煙習慣
- 無理なダイエットや栄養の偏り
- 慢性的なストレス
- 環境ホルモンへの長期間の曝露
- 卵巣に関連する手術などの医療処置
AMH値の意味や今後の方針については、個人の体質や状況によって大きく異なるため、専門医との相談が必要です。AMHが低めと診断された場合は、禁煙や栄養バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠など、健康的な生活習慣を心がけましょう。
ストレスを軽減し、メンタルケアにも意識を向けることで、体全体のコンディションを整えることにつながります。不妊治療の専門クリニックに早めに相談することで、適切なサポートや治療の選択肢が広がります。対策を通じて卵巣機能の維持や改善につながり、将来の妊娠や治療の選択肢を広げる可能性が高まります。
AMHが高い場合に考えられること
AMHの値が年齢別の中央値を大きく上回る場合、卵巣内に多数の卵胞が存在している多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性を考慮する必要があります。PCOSは、主に以下の特徴を持ちます。
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項目 |
説明 |
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排卵障害 |
排卵が起こりにくくなるため、月経不順や不妊の原因になることがある |
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高アンドロゲン血症 |
男性ホルモンが過剰になり、ニキビや多毛などの症状が現れることがある |
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多嚢胞性卵巣 |
超音波検査で卵巣内に多数の小卵胞が確認される |
AMH値が高いからといって、すぐにPCOSと診断されるわけではありません。PCOSの診断には、超音波検査やホルモン値の測定、生理周期の状態など、複数の要素を総合的に評価する必要があります。AMH値が高く、生理不順やニキビ、多毛などの症状が見られる場合には、婦人科で専門的な診察を受けることをおすすめします。
AMH検査でわからないこと
AMH値の解釈には限界があり、以下の点については検査からは判断できません。
- 卵子の質(健康状態)
- 妊娠の可能性や成功率
- 排卵の有無やタイミング
- パートナー側の不妊要因
AMH検査は妊娠可能性を直接示すものではなく、あくまで治療方針を立てる際の一つの目安です。検査結果を過信せず、年齢・体調・他の検査結果・パートナーの状況なども含め、総合的に判断することが大切です。
AMH検査の前に確認しておきたいポイント
AMH検査の前に知っておくべき情報について、以下の3つを解説します。
- AMH検査の費用と受けられる場所
- AMH検査を受けるベストなタイミング
- AMH検査以外の検査
AMH検査の費用と受けられる場所
AMH検査の料金は医療機関や保険適用の有無によって異なりますが、保険が適用されない場合は、5,000〜7,000円程度が一般的な自己負担額です。2024年6月以降は保険適用が可能なケースもあり、自己負担3割の場合で約1,800円前後です。適用の条件は治療の目的や背景によって異なるため、受診予定の医療機関であらかじめ確認しましょう。
AMH検査を受けられる主な場所は以下のとおりです。
- 不妊治療専門クリニック
- 産婦人科
- 婦人科クリニック
検査費用とは別に初診料や再診料が加算される場合があります。実際の費用は医療機関で異なるため、事前に予約の際などに問い合わせておくと安心です。検査をスムーズに受けるためにも、持参が必要なもの(保険証や基礎体温表など)についても合わせて確認しておきましょう。
AMH検査を受けるベストなタイミング
AMH検査の大きな特徴は、月経周期に大きく左右されない点が挙げられます。基本的には月経の時期を問わず、いつでも検査を受けることが可能です。急激な体重増減や強いストレス、環境の変化などで、AMH値が一時的に変動することがあります。
要因は卵巣だけでなく、全身のホルモンバランスに影響を与えるため、AMHの結果に影響を及ぼす可能性があります。正確な検査結果を得るためには、できるだけ体調が安定している時期に受けることをおすすめします。
AMH検査以外の不妊検査
AMH検査以外に代表的な検査は、以下のとおりです。
- 卵胞刺激ホルモン(FSH)検査
- 経腟超音波(エコー)検査
卵胞刺激ホルモン(FSH)検査は、卵巣の機能を評価するための検査で、通常は月経開始から3日目に実施されます。FSHの値が高い場合、卵巣の予備能が低下している可能性があると考えられます。経腟超音波(エコー)検査は、卵胞の数や大きさを画像で直接確認するための検査で、月経周期に応じた適切なタイミングで行われます。
AMH検査についてよくある質問
AMH検査に関するよくある質問について、以下の5つを解説します。
- AMH検査は男性不妊にも使える?
- 経口避妊薬(ピル)はAMH値に影響する?
- AMH検査は早期閉経のリスクを予測できる?
- AMH検査の結果は変動する?
- AMH検査は保険で受けられる?
AMH検査は男性不妊にも使える?
現時点では、AMH検査は男性不妊の診断や評価において標準的な検査とはされていません。ただし、近年では男性の生殖機能におけるAMHの役割に関する研究が進んでおり、今後の活用が期待されています。AMHは精巣内のセルトリ細胞から分泌され、精子形成の過程に関与すると考えられています。
AMH値と精子の数や質との関連性も指摘されており、精子形成障害や停留精巣の早期発見に役立つ可能性があります。男性不妊の評価においては、現在も精液検査やホルモン検査(FSH・LH・テストステロンなど)が主流です。
AMHは今後、男性の健康管理や生殖医療における補助的な指標として、研究の進展とともに臨床応用が検討されていく可能性があります。
経口避妊薬(ピル)はAMH値に影響する?
経口避妊薬(ピル)を服用している期間中にAMH検査を行うと、実際よりも卵巣機能が低く示される可能性があります。数値が低く出るのは、ピルの作用により卵巣の活動が一時的に抑制されることが原因です。ピルの使用を中止すると、AMH値は一定期間後に元の水準に戻ることが多いです。
妊娠を希望している場合には、服用をやめてからある程度時間を置いて検査を受けることで、より正確な数値が得られる可能性があります。AMH検査を受ける際は、ピルの使用状況を医師に伝えましょう。
AMH検査は早期閉経のリスクを予測できる?
AMH検査は、卵巣内にどのくらい卵子が残っているかを示す「卵巣予備能」の指標として、早期閉経のリスクを把握する手がかりの一つです。AMH値だけで将来の閉経時期を正確に予測することは困難です。AMH検査に加えて、他のホルモン検査(FSH、エストラジオールなど)や、超音波による卵巣の状態の確認も行う必要があります。
医師による総合的な判断をもとに、リスクの有無や今後の対応方針を話し合うことが大切です。
AMH検査の結果は変動する?
AMH値は基本的に安定していますが、一時的に変動することがあります。AMHは加齢とともに自然に低下するホルモンですが、体調や検査タイミング、検査機器の違いによっても値が変わることがあります。特にホルモン剤の影響を受けやすく、ピルなどの服用中は実際よりも低い数値が出ることがあります。
正確な結果を得るためには、以下の点に注意が必要です。
- 同じ医療機関で再検査する
- 検査方法や測定機器を統一する
- ピルやホルモン剤の使用状況を医師に伝える
服用中の薬がある場合は、中止後しばらく期間を空けてから再検査することで、より正確なAMH値を確認できる可能性があります。結果を判断する際は医師の説明を受けながら総合的に理解することが大切です。
AMH検査は保険で受けられる?
AMH検査は、特定の不妊治療に関連して医師が必要と判断した場合に限り、保険が適用されます。体外受精や顕微授精を行う際の卵巣刺激法の選択に用いる目的などが対象です。将来の妊娠計画や、卵巣年齢の把握などの目的で任意に受ける場合は保険適用外となり、自費での受診が一般的です。
自費診療の場合、費用の目安は5,000〜7,000円程度ですが、医療機関によって異なるため、事前確認が重要です。目的に応じた受診が必要となるため、検査を希望する際は医師に相談して適切なタイミングを見極めましょう。
まとめ
AMH検査は、卵巣にどれだけ卵子が残っているかを推測する「卵巣予備能」の評価において必要な検査ですが、結果の解釈には慎重さが求められます。AMH値は卵子の「数」の目安にはなりますが、「質」を直接示すものではありません。AMH値が低くても妊娠の可能性が完全になくなるわけではありません。
AMHの結果を活用する際は、年齢や他のホルモン値、月経の状態などとあわせて総合的に判断することが重要です。検査結果は、今後の治療方針を決めたり、将来のライフプランを考えたりするための一つの参考にしましょう。大切なのは、検査結果をもとに医師と相談し、自分自身に合ったタイミングや治療方針を選ぶことです。
AMH検査をきっかけに、自分の身体と向き合い、前向きな一歩につなげましょう。
参考文献
厚生労働省:不妊治療の実態に関する調査研究(令和2年)
