細菌性腟炎によるおりものの特徴と原因とは?適切な対処法も解説
おりものの変化に気づくことは、女性の体調管理において大切なサインの一つです。量・色・においにいつもと違いがある場合は、細菌性腟炎の可能性が考えられます。2021年には、米国疾病対策センター(CDC)が性感染症(STI)治療ガイドラインを改訂し、細菌性腟炎に対する新たな治療オプションも示されました。
この記事では、細菌性腟炎によるおりものの特徴や発症の原因、検査の方法、治療の選択肢についてわかりやすく解説します。自分の体の変化に敏感になり、適切な知識と対処法を身につけることで、健康を守る第一歩を踏み出しましょう。
橋本駅南口から徒歩1分の長谷川レディースクリニックでは、生理不順やPMS(月経前症候群)など、女性特有の症状に関する検査・治療に対応しています。経験豊富な専門医が、一人ひとりのお悩みに寄り添いながら、適切な医療サポートを提供いたします。
また当院では、神奈川県相模原市・淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックと連携し、婦人科および不妊治療においてスムーズな連携体制を構築しています。検査結果や治療方針の共有により、患者さまにとって安心かつ効率的な診療環境をご提供いたします。
細菌性腟炎に見られるおりものの特徴3つ
細菌性腟炎に特徴的なおりものの変化について、以下の3つを解説します。
- おりものの量が増える
- 灰色っぽいおりものが出る
- 生臭いにおいのおりものが続く
おりものの量が増える
細菌性腟炎を発症すると、おりものの量が増加することがあります。普段おりものが少ない方でも、下着が湿る場合があります。原因は、腟内で炎症が起き、常在菌のバランスが崩れて細菌が異常に増殖することで、おりものの分泌が促進されるためです。
通常は軽く粘り気のある透明や乳白色のおりものが一般的です。細菌性腟炎では白っぽく粘度が増したり、反対に水っぽくなって灰色になってきたりすることもあります。おりものの変化は腟内環境の乱れが原因で起こります。
性行為そのものが細菌性腟炎の直接の原因とはされていないものの、腟内のpHや常在菌のバランスを変える要因になることがあります。おりものの増加を感じたら、最近の生活習慣や性行動の変化も振り返りましょう。
灰色っぽいおりものが出る
健康なおりものは、無色透明または乳白色をしており、においもほとんどありません。細菌性腟炎にかかると、おりものの色が灰色になることがあります。おりものが灰色になるのは、腟内で細菌が異常に増殖し、炎症が進行しているサインと考えられています。
色の変化とともに、水っぽさや生臭いようなにおいを感じることもあり、違和感がある場合は早めの対処が必要です。症状を放置した場合、まれに骨盤内炎症性疾患などの合併症を引き起こすことがあります。おりものの色やにおいがいつもと違うと感じた際は、放置せず婦人科を受診しましょう。
生臭いにおいのおりものが続く
細菌性腟炎になると、おりものに特有の生臭いにおいが現れることがあります。「アミン臭」と呼ばれ、魚が腐ったような不快な臭いがするのが特徴です。細菌が腟内のタンパク質を分解する際に、アミンという物質が発生することが臭いの原因とされています。
おりもののにおいは、生理周期や体調によって多少の変化があるものですが、明らかに普段と違う強いにおいや、不快なにおいが続く場合は注意が必要です。放置せず、早めに医療機関を受診して適切な診断と治療を受けることをおすすめします。
細菌性腟炎の原因
細菌性腟炎の原因について、以下の項目を解説します。
- 性行為が関与する感染
- 腟内pHバランスの乱れ
- 腟内洗浄のしすぎ
- 抗生物質の使用
- 子宮内避妊具(IUD)の使用
性行為が関与する感染
細菌性腟炎は、性行為によって直接感染する病気ではありませんが、腟内環境が変化し、発症のリスクが高まることがあります。新しいパートナーや複数のパートナーとの性行為は、腟内に存在する常在菌(腟内フローラ)のバランスを乱しやすくなります。性行為後におりものの変化や不快な症状を感じた場合は、早めに医療機関で相談しましょう。
腟内pHバランスの乱れ
健康な腟内は、乳酸菌などの常在菌が乳酸を産生することで、pH4.5以下の弱酸性に保たれています。弱酸性の環境は、病原性細菌の増殖を抑える働きを持ち、腟内の自然な防御機能としての役割を果たしています。過度な腟内洗浄や月経、性行為などによってpHが4.5以上に上昇すると、病原菌が繁殖しやすくなるため注意が必要です。
腟内の健やかな環境を保つためには、pHバランスの維持を意識したケアが大切です。
腟内洗浄のしすぎ
過度に腟内を洗浄すると、本来腟内を守っている常在菌まで洗い流してしまう可能性があります。腟内環境のバランスが崩れ、病原性細菌が増殖しやすい状態になり、細菌性腟炎のリスクが高まります。外陰部の洗浄は、ぬるま湯で1日1〜2回やさしく洗う程度が推奨されており、基本的に腟内部を洗う必要はありません。
香り付きの石鹸やボディソープの使用は、腟内に刺激を与えるため避けましょう。
抗生物質の使用
抗生物質は感染症の治療に欠かせない薬ですが、腸内や腟内など体内の常在菌全体に影響を及ぼす可能性があります。腟内にも善玉菌による「フローラ」が存在しており、健康な腟環境を維持しています。抗生物質の服用により善玉菌が減少すると、病原菌が増殖しやすくなるため、注意が必要です。
抗生物質は医師の指示通りに使用し、自己判断で量を調整したり中断したりしないようにしましょう。
子宮内避妊具(IUD)の使用
子宮内避妊具(IUD)は、長期的な避妊手段として多くの女性に利用されています。IUDの使用が腟内環境に影響を及ぼし、細菌の異常増殖を引き起こす可能性があるとされています。メカニズムはまだ完全には解明されていませんが、IUD装着後におりものの異常や違和感を感じた場合は、早めに婦人科を受診しましょう。
細菌性腟炎の対処法
細菌性腟炎への対処法について、以下の3つの観点から解説します。
- 婦人科で診察と検査を受ける
- 抗生物質を使用する
- 腟錠やクリームを使用する
- パートナーへの感染予防の対策
婦人科で診察と検査を受ける
細菌性腟炎が疑われる場合は、早めに婦人科を受診し、正確な診断と適切な治療を受けることが大切です。受診時には、おりものの状態や自覚症状、性交の有無や頻度などの問診が行われます。問診の後は「腟鏡」と呼ばれる器具を使って、腟内や子宮頸部の状態を確認し、同時におりものを採取して各種検査を行います。
検査内容は以下のとおりです。
- pH検査:腟内の酸性度を測定
- 顕微鏡検査:細菌の種類や量、腟上皮細胞、炎症の有無(白血球の増加など)を確認
- グラム染色:細菌を染色して分類し、顕微鏡で観察
検査結果と問診、内診の所見を総合的に評価することで、医師は細菌性腟炎かどうかを診断します。
抗生物質を使用する
細菌性腟炎の治療には、抗生物質が用いられるのが一般的です。主に処方されるのは、メトロニダゾールやクリンダマイシンなどの薬剤で、細菌の増殖を抑える効果が期待できます。服用方法には、錠剤やカプセルなどの内服薬と、腟内に直接作用する腟錠の2タイプがあります。
妊娠中や授乳中の方は、薬の影響を考慮して処方内容が調整される場合があるため、事前に医師に伝えましょう。
腟錠やクリームを使用する
細菌性腟炎の治療には、腟錠やクリームタイプの抗生物質を使用する方法もあります。腟内に直接薬を届けることで、細菌の増殖を抑えるため、内服薬が苦手な方や胃腸への負担が気になる方におすすめです。アプリケーターと呼ばれる専用の器具を使って、就寝前に腟の奥まで薬剤を挿入します。
医師の指示に従って使用し、自己判断で中止しないようにしましょう。
パートナーへの感染予防の対策
細菌性腟炎は厳密には性感染症ではありませんが、性行為をきっかけに腟内環境が乱れ、発症することがあります。治療後もパートナーとの性行為によって再発するケースがあるため、予防と再発防止のための対策を心がけることが大切です。
予防のためにコンドームの使用が推奨されます。性感染症の予防だけでなく、腟内への異物や菌の侵入を防ぐことにつながるため、治療中や再発リスクが高いときは取り入れましょう。性行為の前後には外陰部を清潔に保つことも重要です。ぬるま湯でやさしく洗う程度のケアを行い、腟内の自然なバランスを保ちましょう。
お互いの体調や性に関する健康について話し合うことで、心身ともに安心できる関係づくりにつながります。パートナーに症状を正しく伝えることで、予防意識を共有しましょう。
まとめ
細菌性腟炎は、おりものの変化によって気づかれることが多い疾患です。おりものの量が増え、灰色がかった色になり、生臭いような独特のにおいがする場合は、細菌性腟炎の可能性があります。細菌性腟炎は性感染症ではありませんが、性行為や腟内洗浄、抗生物質の使用などが腟内環境に影響を与え、発症のリスクを高めることがあります。
日常的に腟内の健康を意識し、おりものの状態に変化がないか注意を払うことが大切です。細菌性腟炎が疑われる場合は、自己判断で放置せず、婦人科を受診しましょう。
参考文献
Workowski KA, Bachmann LH, Chan PA, Johnston CM, Muzny CA, Park I, Reno H, Zenilman JM, Bolan GA. Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021. MMWR Recomm Rep, 2021, 70, 4, p.1-187.
