メニュー

【医師監修】40代女性の生理量が多いのはなぜ?考えられる病気と受診の目安

[2025.09.10]

40代に入ると、生理の量や周期に変化が見られるようになり、不安を感じる女性も少なくありません。生理の変化には、ホルモンバランスの乱れや子宮筋腫、子宮腺筋症などが関わっている場合があります。子宮筋腫や子宮腺筋症などは、症状が進行すると貧血やめまいを引き起こし、日常生活に支障をきたすこともあります。

この記事では、40代女性における生理量増加の主な5つの原因を解説し、ホルモンの影響や子宮疾患のサイン、受診のタイミングを詳しく紹介します。生理にまつわる悩みを理解し、適切に対応することで安心した日々を送るための参考にしてください。

橋本駅南口から徒歩1分の長谷川レディースクリニックでは、生理不順やPMS(月経前症候群)など女性特有のお悩みに加え、男性不妊の検査・治療にも対応しています。経験豊富な専門医が、一人ひとりの状況に寄り添いながら、最適なサポートをご提供いたします。

さらに当院は、神奈川県相模原市・淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックと連携し、婦人科および不妊治療において円滑な診療体制を構築しています。検査結果や治療方針を共有することで、より安心で効率的な医療を受けていただけます。

ご予約はこちら

40代で生理の量が多くなる原因5つ

40代で生理の量が多くなる代表的な原因について、以下の5つ解説します。

  • ホルモンバランスの乱れ
  • 子宮筋腫
  • 子宮腺筋症
  • 子宮内膜症
  • その他の疾患(子宮内膜ポリープ・子宮体がんなど)

ホルモンバランスの乱れ

40代後半になると更年期が近づき、卵巣の働きが徐々に低下します。閉経に向かう過程で、エストロゲンをはじめとする女性ホルモンの分泌が不安定になります。ホルモンの分泌が低下すると、子宮内膜の増殖に影響を与えることで経血量が増えることがあります。

卵巣機能の低下により、排卵が起こらない「無排卵性月経」の回数も増える傾向です。排卵がないと周期が乱れやすく、エストロゲンの分泌が一定せず、子宮内膜が厚くなりやすいため、経血量が多くなります。

更年期に伴うホルモンバランスの乱れは、生理量の変化だけでなく、生理不順・のぼせ・イライラ感など、さまざまな症状を引き起こすことがあります。変化に気づいたら、更年期による影響を考えてみましょう。

子宮筋腫

子宮筋腫は30〜50代の女性に多く見られる子宮にできる良性の腫瘍です。発生部位によって以下に分類されます。

  • 粘膜下筋腫:子宮の内側に発生し、子宮内膜の表面積を増やすことで経血量の増加につながる
  • 筋層内筋腫:子宮の壁の中に発生し、子宮を圧迫して出血量を増やすことがある
  • 漿膜下筋腫:子宮の外側にできるタイプで経血量への影響は少ないが、筋腫がねじれると強い腹痛を伴う場合がある

子宮筋腫は無症状のことも多いですが、以下の症状が出る場合があります。

  • 生理の量が多い
  • 強い生理痛
  • 貧血症状
  • 頻尿
  • 便秘

上記の症状は、他の婦人科疾患でも起こる可能性があるため、自己判断は禁物です。症状が気になる場合は、医療機関で適切な検査を受けることが大切です。

子宮腺筋症

子宮腺筋症は、子宮内膜に似た組織が子宮の筋肉層に入り込んで増える病気です。30〜50代の女性に多く見られ、強い生理痛や過多月経、骨盤の痛みを伴うことがあります。子宮筋層が厚くなり、生理時に出血量が増えるのが特徴です。

進行性の病気であるため、早期に発見して治療を始めることが重要です。生活に支障をきたすほどの強い痛みや大量出血がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

子宮内膜症

子宮内膜症は、本来子宮の内側にある子宮内膜組織が、子宮以外の場所(卵巣や腹膜など)に発生する病気です。生理のたびに炎症が起こり、出血量が増えるリスクがあります。20〜40代の女性に多く、症例によっては妊娠に影響する場合もあります。

重い生理痛や性交痛があるときは子宮内膜症の可能性があり、放置すると卵巣チョコレート嚢胞などの合併症につながることもあります。早期発見と適切な治療が大切です

その他の疾患(子宮内膜ポリープ・子宮体がんなど)

生理量の増加は、子宮や全身のさまざまな疾患によっても引き起こされます。代表的な疾患は以下のとおりです。

  • 子宮内膜ポリープ:子宮内膜の一部が増殖してできる良性の腫瘍
  • 子宮体がん:子宮内膜に発生する悪性腫瘍

子宮体がんは閉経後の女性に多いとされます。過多月経や不正出血が見られることがあり、45歳以上で生理の量や周期に変化がある場合や、閉経後に出血が続く場合は注意が必要です。子宮体がんは早期発見であれば治癒率が高いため、定期的な検診を受けることが推奨されます。

生理の量は、婦人科疾患以外にも、甲状腺機能や血液凝固の異常によっても変動します。生理量の変化が続く場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、原因を特定することが重要です。中高年期以降の女性では、重大な疾患が隠れていることもあるため、早めの検査・診断が安心につながります。

生理の量が多いときの受診タイミング

生理の量が多いときの受診タイミングは、以下のとおりです。

  • 大量の出血がある場合
  • 激しい痛みがある場合
  • 閉経後にも出血が続く場合

症状は放置すると体調悪化や疾患の進行につながる可能性があるため、早期に医師へ相談することが安心につながります。

大量出血がある場合

医学的には、1周期の経血量が80mLを超えると「過多月経」と定義されます。以下のケースは、過多月経に該当する可能性が高いとされています。

  • ナプキンが2時間以内にいっぱいになる
  • 夜用ナプキンを使用しても漏れる
  • 2.5cm以上の血の塊が頻繁に出る

大量出血が続くと貧血のリスクが高まります。立ちくらみや息切れ、強い倦怠感などの症状がある場合は、早めに婦人科を受診しましょう。

激しい痛みがある場合

鎮痛剤を飲んでも改善しない強い生理痛や、日常生活に支障をきたすほどの痛みがある場合には注意が必要です。子宮内膜症や子宮腺筋症などの疾患が隠れている可能性があります。痛みの程度には個人差がありますが、生活に支障が出るほどの痛みは我慢すべきではありません。

強い痛みが続く場合は婦人科を受診し、適切な検査を受けることが大切です。

閉経後にも出血が続く場合

閉経とは、1年以上月経が来ない状態です。閉経後に少量の出血がダラダラと続く場合、子宮体がんの初期症状の可能性があります。子宮体がんは閉経後の女性に多く、50代以降で増加します。閉経後の出血を軽視せず、早期発見・早期治療に努めることが大切です。早期に適切な治療を受ければ、治癒が期待できる場合もあります。

受診の際には、以下の情報を医師に伝えましょう。

  • 生理周期の変化
  • 出血量の程度
  • 血の塊の有無や大きさ
  • 痛みの有無や強さ

診断における重要な手がかりとなるため、日頃から記録しておくとより安心です。

生理の量が多いときの治療法

過多月経に対して行われる代表的な治療法は、以下の3つです。

  • LEP製剤
  • ミレーナ
  • 手術療法

LEP製剤

LEP製剤は、エストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンを含む薬剤で、医師の処方が必要です。主に月経に関連する症状の緩和を目的として使用され、服用することで月経周期が安定し、心身の負担が軽くなると感じる方もいます。効果や副作用には個人差があるため、使用前に医師へ相談しましょう。

 

LEP製剤には、排卵を抑制し、子宮内膜の増殖を抑える作用があり、生理の量を減らす効果が期待できます。生理痛の軽減や月経周期の調整にも効果が期待され、生理に伴う精神的な負担を和らげるとされています。

40代の女性や喫煙習慣がある方は、服用により血栓症リスクが高まる可能性があるため、慎重な判断が必要です。すでに血栓症のリスク因子を持つ方は特に注意しましょう。服用開始直後や種類を変更した際には、一時的に出血量が増える場合があります。

吐き気・頭痛・不正出血などの副作用が出ることもあるため、気になる症状があるときは自己判断せず、すぐに医師へ相談しましょう。

ミレーナ

ミレーナは子宮内に装着する医療機器で「子宮内黄体ホルモン放出システム(IUS)」とも呼ばれます。子宮内で黄体ホルモンを徐々に放出し、子宮内膜に作用することで生理の量を減らす効果が期待できます。一度装着すると最長で5年間使用可能で、個人差はありますが、生理痛の軽減を感じる方もいます。

避妊効果も高いものの、性感染症を防ぐ効果はないため注意が必要です。装着時に痛みを伴うことがあるため、必要に応じて麻酔の使用について医師に相談しましょう。装着直後には不正出血や少量の出血が見られることもありますが、多くの場合は数か月で落ち着きます。

手術療法

生理量が多い原因が子宮の病気である場合、手術療法が治療の選択肢となることがあります。子宮筋腫が原因であれば、筋腫のみを摘出する筋腫核出術が行われることが多いです。子宮腺筋症では、病変部の子宮内膜を切除、または焼灼(しょうしゃく)する子宮内膜焼灼術(アブレーション)が検討されることもあります。

薬物療法などで改善が見られない場合や症状が重い場合には、子宮全摘術が選択されるケースもあります。子宮全摘術を行うと生理がなくなり、過多月経の根本的な解決につながりますが、妊娠はできません。十分な説明を受けたうえで慎重に判断することが大切です。

手術は体への負担が大きく、入院が必要なこともあります。術後の経過観察も含め、治療方法の選択は年齢・症状の重さ・妊娠の希望などを考慮しながら、医師とよく相談して決めることが重要です。

自分で取り入れられる3つのセルフケア

自分で実践できるセルフケアについて、以下の3つをご紹介します。

  • 鉄分の補給
  • ストレス管理
  • 適度な運動

鉄分の補給

生理の量が多いと、体内の鉄分が失われやすくなります。鉄分はレバーや赤身肉、小松菜などに多く含まれるため、日常の食事に取り入れてバランス良く栄養を摂ることが大切です。鉄分が不足すると、以下の貧血症状が現れることがあります。

  • めまい
  • 立ちくらみ
  • 息切れ
  • 動悸
  • 倦怠感

食事だけで十分な鉄分を補うのが難しい場合は、医療機関を受診し、必要に応じて鉄剤を処方してもらうこともあります。市販のサプリメントを利用する際には、事前に医師や薬剤師に相談しましょう。

ストレス管理

ストレスは自律神経を乱し、ホルモン分泌に影響を与えるため、生理不順や経血量の変化につながることがあります。ストレスをため込みすぎないよう、自分に合ったリラックス方法を見つけることが大切です。ストレスを軽減するために、以下の方法があります。

  • ウォーキングやヨガなどの軽い運動
  • 好きな音楽を聴く
  • ゆったり入浴する
  • 読書を楽しむ

研究では、子宮内膜症の痛みに対して心理的な介入が疼痛の緩和や症状改善に効果があることも報告されています。信頼できる人に話を聞いてもらうことも、ストレス軽減につながります。家族・友人・同僚などに相談し、決して一人で抱え込まないようにしましょう。

改善が難しい場合は、医療機関で専門家のアドバイスを受けることも検討してください。

適度な運動

適度な運動は血行を促し、ホルモンバランスを整える効果が期待できます。ウォーキングやヨガ、ストレッチなど無理なく続けられる運動を生活に取り入れましょう。目安は週に3回以上、1回30分程度がおすすめです。

過度な運動はかえってストレスを増やす可能性があるため、自分の体調に合わせて無理のない範囲で行うことが大切です。運動習慣がない方は、軽い運動から始めてみましょう。セルフケアで改善が見られない場合は、医療機関での検査・治療を検討してください。

まとめ

40代になると、ホルモンバランスの乱れや子宮筋腫、子宮腺筋症などが原因で生理の量が増えることがあります。生理が普段よりも多かったり、日常生活に支障をきたすほどの痛みがあったりする場合には、できるだけ早めに婦人科を受診することが大切です。閉経後に出血が続く場合は、注意が必要です。

「年齢のせいだから仕方ない」と思わず、適切な検査を受けることで、疾患の早期発見や早期治療につながります。過多月経は、治療ができる症状です。婦人科に相談しながら、自分の体を整え、安心して毎日を過ごしましょう。

参考文献

Elahe Samami, Zohreh Shahhosseini, Soghra Khani, Forouzan Elyas.Pain-focused psychological interventions in women with endometriosis: A systematic review.Nurs Pract Res,2023,43,3,p.310-319

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME