卵巣嚢腫になりやすい人の特徴と予防法|体質・生活習慣との関係を解説
卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)は、卵巣にできる腫瘍の一種で、多くの女性が発症する可能性のある疾患です。初期段階では自覚症状がほとんどないこともありますが、放置すると激しい腹痛や卵巣の捻転(ねんてん)・破裂など、重い症状を引き起こすこともあります。
この記事では、卵巣嚢腫になりやすい人の5つの特徴や、予防のための生活習慣、早期発見と治療の重要性について解説します。ご自身の体質や生活習慣と照らし合わせながら、日々の健康管理にお役立てください。
橋本駅南口から徒歩1分の長谷川レディースクリニックでは、生理不順やPMS(月経前症候群)など女性特有の体調変化のご相談はもちろん、男性不妊の検査・治療にも対応しています。経験豊富な専門医が、一人ひとりに寄り添ったサポートを行います。
また、当院は神奈川県相模原市のソフィアレディスクリニック(淵野辺駅から徒歩2分)と連携し、婦人科診療・不妊治療を提供しています。両院間で検査結果や治療方針を共有することで、よりスムーズで安心の医療体制を実現しています。
少しでも不安や気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
卵巣嚢腫になりやすい人に見られる5つの傾向
卵巣嚢腫を発症しやすい人は、以下の5つの特徴があります。
- 年齢
- ホルモンバランスの乱れ
- 肥満
- 食生活の乱れ
- ストレス
年齢
卵巣嚢腫は幅広い年齢層の女性に発症しますが、特定のタイプは20〜30代で見られることが多いです。卵巣が活発に働き、卵胞の発達やホルモン分泌が盛んな時期であるためと考えられます。成熟嚢胞性奇形腫は、妊娠中の検査で偶然発見されるケースもあります。妊娠によるホルモンバランスの大きな変化は、卵巣の状態にも影響します。
40代以降では卵巣嚢腫が悪性化するリスクが高まるため、定期的な婦人科検診がより重要になります。
ホルモンバランスの乱れ
月経不順や子宮内膜症など、ホルモンバランスの乱れは卵巣嚢腫の発症リスクを高めます。子宮内膜症は、子宮内膜組織が卵巣に増殖することで卵巣チョコレート嚢胞(子宮内膜症性卵巣嚢胞)を引き起こすことがあります。卵巣チョコレート嚢胞は、月経痛や性交痛、不妊の原因にもなり得ます。
ホルモンバランスの乱れが疑われる症状がある場合は、早めに婦人科で検査・相談することが大切です。
肥満
肥満は、卵巣嚢腫のリスクを高める要因の一つとされています。脂肪細胞は、女性ホルモンの一種であるエストロゲンを生成する働きがあり、脂肪組織が多いとエストロゲンの分泌も増加する傾向です。ホルモンの増加が、卵巣嚢腫の形成と関連している可能性があります。
卵巣嚢腫の予防だけでなく、全身の健康を守るためにも、適正な体重を維持することが大切です。
食生活の乱れ
不規則な食事や高脂肪・加工食品の過剰摂取は、卵巣嚢腫を発症するリスクが高いです。加工食品に含まれる添加物や高脂肪食は、体内の炎症を引き起こす原因となり、卵巣機能へも悪影響を及ぼすことが考えられます。高脂肪な食生活は肥満の原因にもなり、間接的に卵巣嚢腫の発症リスクを高める恐れがあります。
栄養バランスの良い食事を意識し、野菜・果物・全粒穀物などを積極的に取り入れることが予防のポイントです。
ストレス
精神的なストレスは、ホルモンバランスの乱れを引き起こす要因の一つです。慢性的なストレス状態が続くと、内分泌系に影響を与え、卵巣の働きにも悪影響が及ぶ可能性があります。ストレスは免疫機能を低下させ、さまざまな病気のリスクを高めるとも言われています。
卵巣嚢腫だけでなく、ホルモンバランスが乱れると不妊リスクにもつながるため、日頃からストレスを適切に管理し、心身の健康を維持することが重要です。
卵巣嚢腫予防が期待できる6つの生活習慣
卵巣嚢腫予防が期待できる6つの習慣は以下のとおりです。
- バランスの良い食事
- 適度な運動
- 十分な睡眠
- ストレス管理
- 禁煙
- 飲酒の制限
良い生活習慣は、卵巣の健康を守るだけでなく、婦人科系トラブル全般の予防にもつながります。
バランスの良い食事
卵巣の機能を健やかに保つためには、日々の食事の質が重要です。食物繊維やビタミンを積極的に摂ることが、ホルモンバランスの安定や卵巣の健康維持に役立つ可能性があります。食物繊維は腸内環境を整える働きがあり、老廃物の排出を促進します。
便通が改善されることで、体内の毒素や老廃物がスムーズに排出され、全身の代謝や免疫機能の維持にも好影響を与えると考えられています。食物繊維は、野菜や果物、海藻、きのこ類に多く含まれています。朝食にフルーツやヨーグルトを取り入れたり、昼食や夕食にサラダや海藻の入った味噌汁を加えたりなど、食事に無理なく取り入れましょう。
ビタミンは体内のさまざまな働きに関与しており、特に卵巣の健康維持では、以下の栄養素が注目されています。
- ビタミンA:粘膜や皮膚などの組織の健康を保つ
- ビタミンC:強い抗酸化作用があり、細胞を酸化ストレスから守る
- ビタミンE:女性の生殖機能のサポートにも役立つ可能性がある
ビタミンは、緑黄色野菜やナッツ類、柑橘系の果物などに多く含まれるため、日々の食事に取り入れましょう。食事内容を見直し、栄養バランスを整えることは、卵巣嚢腫の予防だけでなく、女性全体の健康維持にもつながります。
適度な運動
適度な運動は、血流を促進し、ホルモンバランスを整えることで卵巣機能の維持に貢献する可能性があります。ウォーキングやヨガなど、継続しやすい運動を習慣にすることが大切です。ウォーキングは取り組みやすい有酸素運動であり、1日30分程度を目安に週数回行うだけでも効果が期待できます。近所を散歩したり、通勤時に歩く距離を増やしたりといった工夫でも十分です。
ヨガは、深い呼吸とポーズを組み合わせることでリラックス効果を得られ、ストレスの軽減にもつながります。ストレスはホルモンの乱れを引き起こすため、ヨガは間接的に卵巣の健康を支える手段となります。
十分な睡眠
睡眠の質はホルモンバランスと密接に関わっており、不規則な睡眠は卵巣機能に悪影響を及ぼす可能性があります。質の良い睡眠をしっかり取ることで、ホルモンの分泌を安定させ、卵巣の健康維持に役立ちます。理想的な睡眠時間は7〜8時間とされており、毎日同じ時間に寝起きすることで体内リズムが整います。
就寝前のカフェインや電子機器の使用は控え、リラックスできる環境づくりを心がけましょう。
ストレス管理
過度なストレスは自律神経の乱れを招き、ホルモン分泌にも悪影響を及ぼします。慢性的なストレス状態が続くと、卵巣機能の低下やホルモンバランスの崩れにつながる可能性があります。海外の研究では、卵巣嚢腫とうつ病は相互に原因があることがわかっています。
日常の中でリラックスできる時間を意識的に作り、趣味や好きな活動に取り組むことが大切です。アロマテラピーやマッサージ、瞑想などもストレス解消法としておすすめです。
禁煙
喫煙は卵巣への血流を悪化させる原因となり、卵巣機能の低下や卵巣嚢腫のリスク増加に関与すると考えられています。卵巣の健康を守るためには、できるだけ早期に禁煙に取り組むことが重要です。禁煙外来でのサポートや、禁煙補助薬の活用など、無理なく禁煙を進める方法も多くあります。ご自身に合った方法で、計画的に禁煙を始めましょう。
飲酒の制限
過度な飲酒は肝臓への負担だけでなく、ホルモン代謝にも影響を与える可能性があります。アルコールの代謝過程で発生するアセトアルデヒドは、体内のさまざまな機能に悪影響を及ぼす恐れがあります。飲酒する場合は適量を守り、頻度も週に数回程度に抑えるのが理想的です。
食事と一緒に飲む、水分補給を忘れないなど、体への負担を軽減する工夫も大切です。
卵巣嚢腫の早期発見と治療の重要性
卵巣嚢腫の早期発見と治療の重要性について、以下のポイントに分けて解説します。
- 定期的な婦人科検診
- 異常を感じたら早めに受診
- 卵巣嚢腫の治療における専門医の選び方
卵巣嚢腫は、早い段階で発見し、適切な治療を受けることで、重篤な合併症や健康への深刻な影響を未然に防ぐことが可能です。安心して日常生活を送るためにも、早期対応は重要です。
定期的な婦人科検診
早期発見のためには定期的な婦人科検診が重要です。卵巣嚢腫は初期段階ではほとんど自覚症状がないため、気づかないうちに進行してしまうことがあります。内診と超音波検査を組み合わせて行うことで、卵巣の状態をより正確に把握することが可能です。内診と超音波検査に関しては以下のとおりです。
- 内診:医師が指で腟や子宮、卵巣の位置や大きさ、硬さを確認し、異常の有無を把握する
- 超音波検査:超音波を使って、卵巣や子宮の状態を画像で可視化し、腫瘍の有無や内部構造などを確認する
検診の頻度は年齢や既往歴、家族歴などによって異なるため、医師と相談して決めましょう。一般的には、20〜30代の女性であれば1年に1回程度の検診が推奨されており、40代以降やリスクの高い人はより頻回なチェックが必要な場合もあります。
定期的な婦人科検診は、卵巣嚢腫だけでなく、子宮筋腫や子宮頸がんなど他の婦人科疾患の早期発見にも役立ちます。健康を守るために、習慣として検診を受けることが大切です。
異常を感じたら早めに受診
少しでも違和感や異常を感じた場合は、自己判断を避け、早めに婦人科を受診しましょう。卵巣嚢腫は、初期には症状が出にくいことが多いものの、体の小さなサインを見逃さないことが早期発見につながります。卵巣嚢腫が疑われる主な症状は、以下の7つです。
- 下腹部痛:突然の激痛は、卵巣嚢腫の捻転や破裂が起きている可能性もある
- 腰痛:重だるい感覚や鈍痛があり、下腹部の痛みと同時に現れることもある
- 月経不順:月経周期が不安定になったり、経血の量がいつもと違ったりすると感じたら注意する
- お腹の張り:ガスが溜まったような違和感や、下腹部の膨らみを感じることがある
- 頻尿:膀胱が圧迫されることで、トイレが近くなる、我慢できないといった症状が出ることがある
- 発熱:卵巣嚢腫が炎症を伴っている場合、微熱や発熱を引き起こすことがある
- 嘔吐:嚢腫の捻転や破裂によって、吐き気を伴う強い腹痛が生じることがある
症状は、他の婦人科疾患や消化器系のトラブルとも共通している場合がありますが、放置するのは危険です。早めに婦人科で相談し、必要な検査や治療を受けることで、症状の悪化や合併症を防ぐことが期待されます。自分の体の変化に敏感になり、少しの違和感も見逃さずに行動することが大切です。
卵巣嚢腫の治療における専門医の選び方
卵巣嚢腫の治療では、婦人科の中でも「婦人科腫瘍学」を専門とする医師に相談することが望ましいとされます。婦人科腫瘍学の専門医は、大学病院や大規模な総合病院、婦人科クリニックなどに勤務している場合があります。
インターネットで「婦人科腫瘍専門医」や「婦人科 腫瘍 学会認定医」などのキーワードで検索すると、地域や施設別に医師情報を確認できることもあります。現在通院している婦人科や内科のかかりつけ医に相談し、紹介状を書いてもらうのもスムーズな方法の一つです。
治療方針に不安がある場合や、より多くの情報を得たい場合には、セカンドオピニオンの活用もおすすめです。セカンドオピニオンとは、現在の主治医とは別の医師に診断や治療法について意見を求めることを指します。他の専門医の意見を聞くことで、治療に対する理解が深まり、納得したうえでの選択が可能になります。
医師との信頼関係を保ちつつ、自分自身の判断材料を増やす手段として、セカンドオピニオンは積極的に取り入れていきましょう。
まとめ
卵巣嚢腫は、はっきりとした症状がないまま進行することも多いため、日頃から予防を意識した生活を送ることが大切です。今回ご紹介した「なりやすい人の特徴」や「予防のための生活習慣」を参考に、食事・運動・睡眠・ストレス管理・禁煙といった日常の習慣を見直しましょう。無理のない範囲で続けることが、卵巣の健康を守る一番の近道です。
定期的な婦人科検診は、早期発見・早期治療に欠かせません。違和感や気になる症状がある場合は自己判断せず、早めに婦人科を受診して専門医に相談してください。小さな一歩が、将来の大きな安心につながります。
参考文献
Jiajia Wen, Wamei Zhou, Yin Lin.Relationship Between the Ovarian Cyst and Depression: A Two-Sample Mendelian Randomization Study.Int J Womens Health,2023,15,,p.1727-1732
