無精子症は見た目でわかる?原因から治療法まで医師が詳しく解説
「無精子症かもしれない」と、不安を感じている男性も多いです。男性の約100人に1人が、精液中に精子がまったく存在しない無精子症とされています。無精子症は目立った自覚症状がないため、検査を受けるまでは気づかず、結果を知って初めて現実を受け止めるケースも多く見られます。
この記事では、無精子症の主な原因や特徴、検査方法、治療の選択肢について、医師の視点からわかりやすく解説します。ご自身の状態と照らし合わせながら、正しい知識を身につけましょう。
橋本駅南口から徒歩1分の長谷川レディースクリニックでは、生理不順やPMS(月経前症候群)など、女性特有の症状に関するご相談に加え、男性不妊に関する検査・治療にも対応しています。経験豊富な専門医が、一人ひとりのお悩みに寄り添いながら、適切な医療サポートを提供いたします。
また当院では、神奈川県相模原市・淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックと連携し、婦人科および不妊治療においてスムーズな連携体制を構築しています。検査結果や治療方針の共有により、患者さまにとって安心かつ効率的な診療環境をご提供いたします。
無精子症とは?原因や検査について
無精子症の概要や原因、検査などについて、以下の内容を解説します。
- 無精子症とは?精液中に精子が確認できない状態
- 無精子症の原因
- 無精子症の症状
- 無精子症の検査方法(精液検査やホルモン検査、画像検査など)
無精子症とは?精液中に精子が確認できない状態
「精液の中に精子がまったく確認できない状態」を指すのが無精子症ですが、診断には慎重な手順が必要です。1回の精液検査だけで無精子症と判断はできません。体調や環境、前回の射精からの期間などによって精子の状態は大きく変わるため、複数回の検査が行われます。
サウナや熱いお風呂に頻繁に入る方や、長時間のデスクワークなどで座りっぱなしの生活が続くと、精巣の温度が上がり、精子をつくる働きが低下することがあります。精子の状態はさまざまな要因に左右されるため、2回以上の検査を行ったうえで、初めて無精子症と診断されます。
無精子症の原因
無精子症の原因は、大きく「閉塞性無精子症」と「非閉塞性無精子症」の2つに分類されます。閉塞性無精子症は、精子自体は精巣で正常に作られているものの、精子の通り道である精管が詰まっているために、精液中に精子が出てこられない状態です。原因として、過去に受けた手術や炎症が挙げられます。
幼少期の鼠径ヘルニア手術や、過去の性感染症(クラミジアなど)によって、精管が狭くなったり、閉塞したりすることがあります。非閉塞性無精子症は、精巣そのものの機能に問題があり、精子がほとんど作られていない、あるいは全く作られていない状態です。原因としては、ホルモンの異常や染色体異常、先天的な精巣形成の異常などがあります。
無精子症の症状|自覚しにくく、発見が遅れやすい傾向
無精子症は、明らかな自覚症状がないことが多く、健康診断や不妊治療の一環で初めて診断されるケースが多いです。早期に気づくのが難しい疾患の一つとされます。精液の量が少ない、精液が濁っている、勃起がしにくいなどの症状が見られることもありますが、必ずしも無精子症に特有のものではありません。
前立腺肥大症や糖尿病など、他の疾患によっても同様の症状が起こる可能性があります。気になることがあれば、早めに泌尿器科や男性不妊に対応している専門の医療機関を受診しましょう。
無精子症の検査方法(精液検査やホルモン検査、画像検査など)
無精子症の診断では、精液検査を行い、精子の数や運動性、形状などについても詳細に分析します。精液中に精子が見られない場合、次のステップとしてホルモン検査や画像検査を行い、無精子症の原因を探ります。
ホルモン検査では、精子の生成に関わるホルモン(FSHやLH、テストステロンなど)の血中濃度を測定し、脳からの指令が正常に届いているかを確認します。ホルモン異常が認められる場合、精巣の機能に問題がある「非閉塞性無精子症」が疑われます。画像検査では超音波検査やMRIを使って、精巣や精管などの構造に異常がないかを確認します。
画像検査では、精路の閉塞や精巣内の腫瘍などが見つかることもあり、治療方針を決めるうえで重要な情報になります。
無精子症の治療法
無精子症の原因に応じた治療法について、以下をご紹介します。
- 閉塞性無精子症の治療法|手術による精路の再開通
- 非閉塞性無精子症の治療法(ホルモン療法、顕微授精など)
- 無精子症の最新治療法|精巣内精子回収術(TESE)
- 無精子症の治療期間と費用
閉塞性無精子症の治療法|手術による精路の再開通
閉塞性無精子症とは、精巣で精子が作られているにもかかわらず、通り道である精路のどこかが塞がれているため、精液中に精子が出てこられない状態です。閉塞性無精子症の原因として多く見られるのが、幼少期に受けた鼠径ヘルニアの手術による影響です。
鼠径ヘルニアは、腸の一部が鼠径管を通って皮膚の下に飛び出してしまう疾患で、手術では腸を元の位置に戻し、鼠径管を糸で縫い縮めます。手術の際、精子の通り道である精管が一緒に縫縮されてしまうことがあり、閉塞性無精子症の原因となることがあります。
精管が閉塞されている場合、詰まった部分を再び開通させる手術が必要です。顕微鏡を使って閉塞部分をつなぎ直す「精細管吻合術」などの高度な技術により、精路の再開通が可能になる場合もあります。尿道カテーテルを利用して閉塞部分を開通させる方法なども選択肢として検討されます。
非閉塞性無精子症の治療法(ホルモン療法、顕微授精など)
非閉塞性無精子症とは、精巣自体で精子がほとんど、または全く作られない状態です。原因は、ホルモン分泌の異常や染色体の異常、精巣の機能障害、先天性の疾患など多岐にわたります。治療方法として、ホルモン療法が挙げられます。精子の産生に必要なホルモンを注射や内服薬で補うことにより、精巣での精子の生成を促進します。
顕微授精(ICSI)などの生殖補助医療は、採取した精子を1つずつ卵子に直接注入する方法です。自然妊娠が難しい場合でも受精の可能性を高める選択肢の一つとされています。
無精子症の最新治療法|精巣内精子回収術(TESE)
近年技術が大きく進歩し、注目されているのが、精巣内精子回収術(TESE)です。TESEは精巣から直接精子を採取する手術で、非閉塞性無精子症の患者さんにとって、新たな治療の選択肢として期待されています。
精子が確認できなかったケースでも、TESEを行うことでごくわずかに精子が作られている部分から精子を見つけられる可能性があります。TESEは、局所麻酔または全身麻酔を行い、陰嚢に小さな切開を加えて精巣の一部を採取します。採取した精巣組織を顕微鏡で観察しながら精子を探し出す方法です。
TESEは精巣に針を刺したり組織を切除したりするため、痛みや出血、感染などのリスク、精巣機能の低下につながる場合もあります。治療を検討する際は、ご自身の状態や希望に応じて医師と十分に相談し、リスクや効果を理解したうえで判断することが大切です。
無精子症の治療期間と費用|内容や医療機関によって異なる
無精子症の治療にかかる期間や費用は、選択する治療法や原因、通院する医療機関によって大きく異なります。手術を伴う治療では、入院の有無や通院の頻度、術式の難易度で費用が変動するため、確認が必要です。
顕微授精などの生殖補助医療を行う場合は、治療の回数や薬の使用量、併用する他の治療法によっても総額が変わります。医療機関ごとに技術料や診察料などの設定が異なることもあるため、同じ治療内容でも費用に差が出ることがあります。治療を始める前には、希望する医療機関に治療期間や費用について事前に確認しましょう。
無精子症の治療を受ける際に知っておきたい大切なこと
無精子症の治療は、精神的・身体的な負担を伴うことが多いです。治療を前向きに続けていけるかどうかは、医師との信頼関係、パートナーとの深い絆が大きな支えになります。男性不妊の治療は時間がかかる場合が多く、結果がすぐに出るとは限りません。治療が長期化する中で、焦りや不安を感じることもあります。
焦りや不安を感じたときは、パートナーと協力し、互いに支え合うことが大切です。治療内容や通う医療機関によって費用は異なるため、事前に金額や保険適用の有無などを確認し、無理のない範囲で計画的に治療を進めましょう。男性不妊の治療は、専門的な知識と高度な技術を要します。
経験豊富な専門医に相談し、ご自身の症状や治療方針について納得できるまで話し合いが大切です。
無精子症に関するよくある質問まとめ
無精子症に関するよくある質問について、以下を解説します。
- Q1.無精子症でも父親になることはできる?
- Q2.無精子症でも自然妊娠は可能?
- Q3.無精子症は生活習慣の改善で対策できる?
Q1.無精子症でも父親になることはできる?
現在の生殖医療は大きく進歩しており、無精子症と診断されたとしても、父親になれる可能性は十分にあります。さまざまな治療法や選択肢が存在し、症状に応じた適切なアプローチによって、妊娠・出産に至るケースも多く報告されています。
精液中に精子が1つも確認できないという事実は、男性にとって大きな衝撃であり、将来への不安やパートナーへの申し訳なさなどの感情が湧くこともあります。選択肢を広げるためにも、専門の医師への相談が推奨されます。
Q2.無精子症でも自然妊娠は可能?
無精子症と診断された場合、自然妊娠の可能性は低いとされています。自然妊娠は、女性の体内で精子と卵子が出会い、受精することで成立します。一方で、無精子症は精液中に精子が存在しないため、受精が期待できないとされています。精巣内にわずかでも精子を作る能力が残っているケースもまれにあり、顕微鏡下で確認されることもあります。
採取した精子を用いた顕微授精などの方法で妊娠の可能性を高めるとされています。諦める前に、専門的な検査と診断を受けることが重要です。
Q3.無精子症は生活習慣の改善で対策できる?
無精子症を完全に予防する方法は確立されていませんが、精子の質や量を維持するために生活習慣の改善は大切です。亜鉛やビタミンCなど、精子の生成に関与する栄養素を積極的に摂取しましょう。バランスの良い食事と適度な運動を心がけることで、ホルモンバランスの安定につながります。
喫煙や過度な飲酒を控えること、ストレスの管理も大切です。生活習慣の改善が、必ずしも無精子症の予防・改善につながるとは限りません。気になる症状があれば、早めに泌尿器科や不妊専門クリニックに相談しましょう。
まとめ
無精子症とは、精液中に精子が全く確認できない状態で、見た目や自覚症状だけでは判断が難しいです。原因は大きく分けて、精子の通り道が塞がっている「閉塞性無精子症」と、精巣で精子が作られない「非閉塞性無精子症」の2種類です。診断には、精液検査やホルモン検査、画像検査などを通じて原因を特定します。
治療方法は原因によって異なり、閉塞性の場合は手術での対応、非閉塞性の場合はホルモン療法や顕微授精などの方法が検討されます。治療にかかる期間や費用は、原因や治療内容、医療機関によって異なるため、事前に確認しましょう。
無精子症と診断された場合でも、顕微授精や養子縁組など、子どもを持つ選択肢はあります。パートナーと話し合い、専門医と相談しながら、自分たちに合った方法を見つけましょう。
参考文献
- Marcello Cocuzza, Conrado Alvarenga, Rodrigo Pagani.The epidemiology and etiology of azoospermia.Clinics (Sao Paulo),2013,68,Suppl 1,p.15-26
- Tharu Tharakan, Rong Luo, Channa N Jayasena, Suks Minhas.Non-obstructive azoospermia: current and future perspectives.F1000Res,2021,10,,p.7
