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染色体異常の原因とは?年齢・環境・遺伝の影響と予防法を解説

[2025.11.26]

染色体異常は、軽度なものから深刻なものまでさまざまです。流産の原因のおよそ半数は、染色体異常が関わっていると考えられています。染色体異常には多くの種類があり、リスク要因も多岐にわたります。この記事では、染色体異常の基本的な知識から主なリスク要因、検査の種類までわかりやすく解説します。

記事を読むことで、染色体異常が起こる仕組みや、日常生活で気をつけたいポイントについて理解しましょう。

橋本駅南口から徒歩1分の長谷川レディースクリニックでは、生理不順やPMS(月経前症候群)など、女性特有の症状に関するご相談に加え、男性不妊に関する検査・治療にも対応しています。経験豊富な専門医が、一人ひとりのお悩みに寄り添いながら、適切な医療サポートを提供いたします。

また当院では、神奈川県相模原市・淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックと連携し、婦人科および不妊治療においてスムーズな連携体制を構築しています。検査結果や治療方針の共有により、患者さまにとって安心かつ効率的な診療環境をご提供いたします。

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染色体異常の基本情報

染色体異常に関する基本情報について、以下の内容を説明します。

  • 染色体異常とは数や構造に生じる異常
  • 染色体異常の種類
  • 染色体異常が起こる仕組み
  • 染色体異常の発生頻度

染色体異常とは数や構造に生じる異常

染色体異常とは、染色体の本数や構造に異常が生じることです。体は「細胞」という小さな単位で構成されており、細胞の中には「核」があります。核の中には、遺伝情報を担う「染色体」が存在しています。染色体は体の設計図のようなもので、通常は46本(23対)あります。

染色体異常の種類

染色体異常は大きく分けて「数的異常」と「構造異常」の2つのタイプがあります。数的異常と構造異常の特徴は、以下のとおりです。

分類

説明

代表的な例・特徴

数的異常

染色体の本数が多いまたは少ない状態

・ダウン症候群(21番染色体が3本:21トリソミー)
・エドワーズ症候群(18番染色体が3本:18トリソミー)

構造異常

染色体の一部が欠ける、重複する、逆位する、交換されるなどの異常

・クライ・ドゥ・チャット症候群(5番染色体の一部欠失)
・転座型ダウン症候群(染色体の一部が別の染色体と交換)

染色体異常が起こる仕組み

染色体異常は、細胞分裂中のミスによって生じます。卵子や精子が形成される過程である「減数分裂」において、染色体が正しく分かれない「染色体不分離」が主な要因です。卵子は年齢とともに染色体不分離が起こりやすいため、高齢妊娠は染色体異常のリスクが高まる傾向です。

放射線や特定の化学物質への曝露、ウイルス感染などの外的要因も、染色体異常を引き起こす可能性があります。親の染色体の一部に転座がある場合、子どもに遺伝することもあります。

染色体異常の発生頻度

染色体異常は誰にでも起こり得るものであり、妊娠初期の流産原因として広く知られています。妊娠初期の流産は、多くの場合、染色体異常によるものとされています。染色体異常は命に関わる重篤な疾患を引き起こすこともありますが、軽度の症状のみで日常生活にほとんど支障をきたさない場合もあります。

染色体異常には多くの種類があり、症状や重症度には個人差があります。

染色体異常のリスク要因

染色体異常の発生リスクを高める要因として、以下が挙げられます。

  • 年齢による影響|加齢に伴う卵子・精子の変化
  • 環境因子の影響|放射線、化学物質、ウイルス感染など
  • 遺伝的な背景|家族歴との関連性
  • 生活習慣の影響|喫煙・飲酒・栄養不足など

年齢による影響|加齢に伴う卵子・精子の変化

母親の年齢が高くなるほど、染色体異常を持つ子どもが生まれる可能性が高くなることは明らかです。要因として、卵子の加齢が挙げられます。卵子は女性が生まれたときから卵巣内に存在し、年齢とともに徐々に老化します。

加齢により変化した卵子は、21トリソミー(ダウン症候群)や18トリソミー(エドワーズ症候群)などの数的異常が発生しやすくなります

環境因子の影響|放射線、化学物質、ウイルス感染など

放射線や一部の化学物質への過剰な曝露は、細胞のDNAを損傷し、染色体異常を引き起こす要因になる可能性があります。医療現場で使用されるX線(レントゲン)などを大量に浴びることで、染色体異常のリスクが上昇するとされています。

妊娠中に風疹などのウイルスに感染すると、胎児に染色体異常や発育障害が起こるリスクが高まることがあります。風疹ウイルスは胎盤を通過して胎児に感染し、細胞の正常な発達に悪影響を与える恐れがあるため注意が必要です。

一部の塗料や接着剤、殺虫剤などに含まれる化学物質は、染色体異常の発生リスクを高める可能性も示唆されています。

遺伝的な背景|家族歴との関連性

親が特定の染色体異常の「保因者」(異常の遺伝情報を持っていても自身には症状がない人)である場合、染色体異常が子どもに受け継がれる可能性があります。「ロバートソン転座」は、染色体の一部が別の染色体と結合する構造的な異常です。ロバートソン転座を持つ親は、染色体異常を持つ子どもを授かる確率が高まります。

家系内にダウン症候群やターナー症候群など、染色体異常の既往がある場合には、遺伝的な要因の影響を考慮することが重要です。遺伝歴のある場合には、専門医による遺伝カウンセリングを受けることが推奨されます。

生活習慣の影響|喫煙・飲酒・栄養状態も関係

日常生活の習慣も、染色体異常のリスクに影響を与えます。タバコの煙に含まれる有害物質がDNAを損傷し、染色体の構造に変化を引き起こすことが知られています。過剰な飲酒も細胞分裂のメカニズムに悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。

栄養バランスの偏った食事も細胞の健康に影響します。妊娠中は、葉酸などの特定の栄養素を積極的に摂取することが、胎児の染色体異常や神経管閉鎖障害のリスク軽減につながるとされています。葉酸はDNAの合成や細胞分裂に不可欠であり、妊娠初期の胎児の健全な成長にとって欠かせない栄養素です。

染色体異常がもたらす影響

染色体異常によって引き起こされる影響や症状について、以下の3つを説明します。

  • 胎児への影響
  • 成長・発達への影響
  • 妊娠への影響

胎児への影響

染色体異常は、流産の大きな要因の一つであり、出生後の赤ちゃんの先天的な疾患にもつながります。染色体は、生命の維持や成長に欠かせない情報を含んでいるため、異常が生じると、胎児の正常な発育や臓器の形成に影響を及ぼすことがあります。重度の染色体異常は、子宮内で生命を保つことが困難になるケースも多いです。

染色体異常の種類や程度によって、軽微なものから重大なものまで幅広く現れるのが特徴です。

成長・発達への影響

染色体は、発育や脳の発達に関係する重要な遺伝子が多く含まれているため、異常があると通常の発達パターンから逸脱することがあります。脳の発達にも影響を与えるため、学習面や運動能力にも変化が生じる場合があります。ダウン症候群とターナー症候群の発達に関する特徴は以下のとおりです。

  • ダウン症候群:身長がやや低くなったり、知的発達の遅れが見られたりする
  • ターナー症候群:身長が伸びにくく、思春期に現れるはずの二次性徴が十分に発現しない

疾患があっても、早い段階からの療育や医療的なサポートにより、個々に合った発達や生活の質の向上が期待できます。

妊娠への影響

染色体異常は、不妊症や習慣流産(反復流産)の原因となることがあります。配偶者のいずれかに染色体の構造異常がある場合、正常な胚ができにくく、妊娠しても流産につながる可能性もあります。均衡型転座を持つ夫婦は、流産を繰り返す例があり、染色体検査によって原因を特定し、適切な治療につなげることが重要です。

染色体異常の検査

染色体異常の検査について「出生前検査の種類」と「検査の実施時期」を解説します。

出生前検査の種類

出生前検査には「非確定的検査」と「確定的検査」の2種類があり、それぞれ異なる特徴があります。非確定的検査は、母体血清マーカー検査やNIPT(新型出生前診断)があり、血液採取のみで実施できるため安全性が高いですが、確率は異なります。

確定的検査である羊水検査や絨毛検査は、診断が確定しますが、わずかに流産のリスクが伴います。NIPTでは、ダウン症候群などを高い精度で検出可能ですが、偽陽性の可能性もあります。通常は非確定的検査を先に行い、必要に応じて確定的検査を追加する流れが一般的です。

検査の実施時期

出生前検査には適した実施時期があり、胎児の成長や検査方法によりタイミングが異なります。すべての妊婦に検査が必要というわけではなく、年齢や既往歴、遺伝的背景などを考慮して選択されます。NIPTは妊娠10週以降から受けることが可能で、絨毛検査は妊娠10〜13週ごろ、羊水検査は妊娠15〜18週ごろに行われます。

日本では、以下の場合で検査の実施が推奨されます。

  • 35歳以上
  • 過去に染色体異常の子どもを妊娠・出産した経験
  • 夫婦いずれかに染色体異常があるケース

適切なタイミングを逃さないためにも、妊娠がわかったら早めに医師と相談することが重要です。

染色体異常の予防法と対策

染色体異常の予防や対策について、以下のポイントをご紹介します。

  • 妊娠前の栄養管理と生活習慣の見直し
  • 妊娠中の有害物質への配慮
  • カウンセリングを活用する

妊娠前の栄養管理と生活習慣の見直し

妊娠を考える段階から、栄養の摂取や生活習慣の改善を行うことは、健やかな妊娠と胎児の正常な発育にとって重要です。受精卵の分裂や臓器の形成には、さまざまな栄養素が必要とされ、有害物質の回避も遺伝子や染色体への悪影響を減らすことにつながります。

妊娠初期は胎児の主要な器官が形成される大切な時期のため、妊娠前からの準備が推奨されます。葉酸は、妊娠前から1日あたり400μgの摂取が望ましく、神経管閉鎖障害のリスクを約70%軽減できると報告されています。喫煙は卵子や精子のDNAに損傷を与える可能性があるため禁煙が必要です。

過度の飲酒も控え、栄養バランスの良い食事や適度な運動を心がけましょう。

妊娠中の有害物質への配慮

妊娠中の母体の状態は胎児の発育に大きく影響するため、可能な限り有害物質を避けることが大切です。放射線による影響を避けるため、不要なX線検査は控え、検査が必要な場合には医師に妊娠中であることを伝えましょう。

トキソプラズマやリステリア菌への感染を防ぐために、以下の食材の摂取は避けましょう。

  • 生肉
  • 生魚
  • 加熱殺菌されていないチーズ

薬の服用は市販薬を含め、必ず医師に相談してから使用しましょう。過度に神経質になる必要はありませんが、胎児の健康を守るため、無理のない範囲で注意を払うことが大切です。

カウンセリングを活用する

染色体異常に関する不安や疑問がある場合は、専門家によるカウンセリングを受けることで気持ちが軽くなることがあります。遺伝カウンセリングでは、遺伝に関する専門知識を持つ医師や認定遺伝カウンセラーが、個々の状況に応じた情報提供やアドバイスを行います

多くの産婦人科では、妊娠中の不安に対応する相談窓口を設けているため活用しましょう。染色体異常のある子どもを育てる家族による支援団体や交流の場も存在します。交流の場に参加することで、体験談を聞いたり、同じ立場の方と情報を共有したりすることが可能です。

一人で抱え込まず、専門家や経験者のサポートを活用することで、適切な判断と安心感につながります。

染色体異常に関してよくある質問

染色体異常に関する代表的な質問について、以下の3つを解説します。

  • 染色体異常は遺伝する?
  • 高齢出産でのリスクは?
  • 男性側にも原因はあるの?

染色体異常は遺伝する?

染色体異常の多くは遺伝によるものではなく、偶然に起こります。「数的異常」はほとんどが偶発的に発生し、親の染色体は正常です。「構造異常」の一部は親から子へ受け継がれることがあります

ダウン症候群の約95%は偶然に起こる標準型で、残りの5%が転座型です。転座型では、親のどちらかが均衡型転座の保因者である可能性があり、次の妊娠でも同様の異常が起こるリスクがあります。再発率は1〜15%程度とされています。

家族に染色体異常の既往がある場合や、過去に染色体異常の子どもを授かった経験がある場合は、遺伝カウンセリングの利用をおすすめします。

高齢出産でのリスクは?

年齢が上がると染色体異常のリスクは高まりますが、多くの高齢出産の方が健康な赤ちゃんを出産しています。女性の卵子は加齢に伴い変化し、染色体の分離エラーが起こりやすくなるため、リスクが上昇するとされます。

ダウン症候群の発生率は25歳で約1/1,000、35歳で約1/350、40歳では約1/100、45歳では約1/30になります。40歳でも約99%の出産は染色体に異常のない赤ちゃんです。年齢だけで不安になるのではなく、個人差や体調も重要な要素です。必要に応じて検査や医師のサポートを受けながら、安心して妊娠・出産に臨むことが大切です。

男性側にも原因はあるの?

染色体異常の原因は女性だけでなく、男性側にも関係することがあるとされています。近年の研究では、父親の年齢や生活習慣も胎児の染色体に影響を及ぼす可能性があることが示されています。喫煙や過度の飲酒、肥満、慢性的なストレスなどの生活習慣も精子の質に悪影響を及ぼし、染色体異常のリスクを上げる可能性があります。

まとめ

染色体異常は、染色体の数や構造に異常が生じることで発生し、流産や先天性疾患の一因となることがあります。原因として、細胞分裂の際に起こるエラーや年齢の影響、環境的な要因、遺伝的な背景などが挙げられます。染色体異常について正しい知識を持つことで、不安を減らし、適切な対策を講じることが可能です。

不明な点や心配なことがあれば、一人で悩まず、医療機関へ相談しましょう。

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