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卵巣腫瘍でお腹の出方はどう変化する?初期症状や早期発見のポイントを解説

[2025.09.10]

「お腹が張る」「違和感がある」といった腹部の変化に気づいたことはありませんか?お腹の張りにはさまざまな原因がありますが、中には卵巣腫瘍が関係しているケースもあります。卵巣腫瘍は初期段階で自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行してしまうことが少なくありません。

この記事では以下のポイントを詳しく解説します。

  • 卵巣腫瘍でお腹の出方が変わる理由
  • 卵巣腫瘍に見られる初期症状
  • 早期発見のために知っておきたいこと
  • 卵巣腫瘍の主な治療法

卵巣腫瘍は、早期に発見できれば比較的体への負担が少ない治療が選べる場合があります。初期症状を知っておくことで、自分の体の異変にいち早く気づきやすくなります。いつもと違うと感じたときは、見過ごさずにチェックしてみましょう。

橋本駅南口から徒歩1分の長谷川レディースクリニックでは、生理不順やPMS(月経前症候群)など、女性特有の症状に関するご相談に加え、男性不妊に関する検査・治療にも対応しています。経験豊富な専門医が、一人ひとりのお悩みに寄り添いながら、適切な医療サポートを提供いたします。

また当院では、神奈川県相模原市・淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックと連携し、婦人科および不妊治療においてスムーズな連携体制を構築しています。検査結果や治療方針の共有により、患者さまにとって安心かつ効率的な診療環境をご提供いたします。

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卵巣腫瘍でお腹の出方が変わる主な原因

卵巣腫瘍でお腹の出方が変わる原因として、以下の3つが考えられます。

  • 腫瘍が大きくなることで起こる圧迫
  • 腹水の貯留
  • 腸管の圧迫によるお腹の張り

腫瘍が大きくなることで起こる圧迫

卵巣腫瘍は、小さいものでは数cm、大きいものでは30cmを超えることもあります。正常な卵巣は親指の先ほどの大きさですが、腫瘍が成長するとバスケットボールくらいの大きさになるケースもあるのです。腫瘍が大きくなると、膀胱や直腸、リンパなど周囲の臓器を圧迫し、お腹に違和感や張りを感じる原因になります。

特に腫瘍が20cmを超えると、妊娠時のようにお腹が前方へ突き出すこともあります。体型の変化に気づくためにも、定期的に鏡で全身をチェックする習慣をつけましょう。

腹水の貯留

卵巣腫瘍の一部では、腹腔内に液体がたまる「腹水」が発生することがあります。これは、がん細胞が放出する物質や炎症反応によって引き起こされます。腹水が増えることで、お腹の張りや重だるさ、圧迫感などの症状が現れることがあります。それぞれの腫瘍の違いは以下のとおりです。

  • 悪性腫瘍:大量の腹水がたまりやすい
  • 良性腫瘍:腹水は少量にとどまることが多い

少量の腹水では自覚症状が出にくいこともありますが、量が増えると呼吸しづらくなるなどの不調を感じることもあるため、早期発見と経過観察が大切です。

腸管の圧迫によるお腹の張り

卵巣腫瘍が腸を圧迫することで、腸の働きが低下し、お腹の張りを引き起こすことがあります。腸は通常、蠕動運動により食べ物を消化・移動させますが、圧迫によりその動きが妨げられると、ガスや便が溜まりやすくなります。

腸内環境の悪化は、栄養吸収の効率を下げたり、免疫力を低下させたりする可能性もあります。お腹の張りが続く、便通に異常があるなどの症状がある場合は、卵巣腫瘍を含めた内臓の異常が隠れていないか注意深く見ていく必要があります。

卵巣腫瘍の初期症状

卵巣腫瘍は、初期段階では自覚症状が現れにくい病気です。そのため、早期発見が難しく、症状が進行してから初めて気づくケースも多いです。しかし、中には初期症状が現れる場合もあり、サインを見逃さないことが早期発見・治療に重要です。卵巣腫瘍では以下の5つの症状が現れます。

  • お腹の異常
  • 排尿に関するトラブル
  • 排便の異常
  • 消化器の不調
  • 痛みを伴う症状

お腹の異常

通常、健康な下腹部はやわらかく、違和感や張りを感じることはありません。しかし、卵巣腫瘍ができて大きくなると、腫瘍そのものによる圧迫、腹水の貯留、腸への影響などにより、下腹部に違和感やお腹の張りが生じることがあります。腹部の張りや圧迫感が続く場合は、腫瘍による影響を疑う必要があります。

排尿に関するトラブル

卵巣腫瘍が膀胱を圧迫すると、排尿に関連した症状が出てくることがあります。

  • 頻尿:少量の尿でもすぐに尿意を感じてしまう
  • 残尿感:排尿後も尿が残っているような感覚がある
  • 夜間頻尿:夜中に何度もトイレに起きるようになる

これらの症状が続くと、膀胱炎などの二次的な感染症につながる可能性もあるため注意が必要です。

排便の異常

腫瘍が直腸を圧迫すると、排便がスムーズにできなくなることがあります。便が出にくい、排便に時間がかかるといった症状が現れたら注意が必要です。

  • 排便回数が減る、または排便してもすっきりしない
  • 便の形状に変化がある
  • 排便時に強い痛みを伴う

これらは日常生活の質を低下させるだけでなく、腫瘍による影響の可能性を示すサインでもあります。

消化器の不調

腫瘍が大きくなることで胃や腸が圧迫され、食欲が落ちたり、吐き気を感じたりすることがあります。

  • 食事の量が減る、すぐに満腹感を感じる
  • 吐き気や嘔吐が続く

進行した卵巣がんでは、がん細胞が分泌する物質が原因で消化器症状が強くなることもあります。ただし、こうした症状は他の病気でも起こりうるため、早めに医療機関での診断を受けましょう。

痛みを伴う症状

初期の卵巣腫瘍では痛みを感じないことも多いです。しかし、腫瘍が大きくなると周囲の組織や神経を圧迫し、腰痛や下腹部痛などの症状が現れることがあります。

  • 鈍い腰の痛みや骨盤周辺の違和感
  • 片側の下腹部に限局した痛み
  • 突然の激しい腹痛(腫瘍の破裂や茎捻転の可能性あり)

このような痛みが見られた場合は、速やかに婦人科を受診することが重要です。

卵巣腫瘍の早期発見のポイント

卵巣腫瘍の早期発見に必要なポイントについて、以下の内容を解説します。

  • お腹の張りや違和感がある場合は婦人科を受診する
  • 卵巣腫瘍の早期発見には定期的な受診が大切
  • リスク要因と家族歴を知って備える

早期発見できれば、より体に負担の少ない治療選択肢が増え、卵巣機能の温存にもつながる可能性があります。

お腹の張りや違和感がある場合は婦人科を受診する

下腹部の張りや違和感は、卵巣腫瘍の初期サインである可能性があります。腫瘍が大きくなると膀胱や直腸を圧迫し、頻尿や便秘などの症状が出たり、腹水が溜まってお腹がふくらんだりする場合もあります。これらの症状は他の病気でも見られるため、自己判断せず、違和感を覚えたら早めに婦人科を受診しましょう。

卵巣腫瘍の早期発見には定期的な受診が大切

卵巣腫瘍は、症状が出にくく気づきにくい病気です。そのため、定期的な婦人科検診が早期発見の鍵になります。検診では、内診や経腟超音波検査によって卵巣の状態を確認できます。

  • 特に40歳以上の方は卵巣がんのリスクが高まるため要注意
  • 年に1回を目安に定期的な検診を受けるのがおすすめ

婦人科検診は、卵巣腫瘍だけでなく、子宮頸がん、子宮体がん、性感染症など他の疾患の早期発見にもつながります。ご自身の健康を守るために、検診を生活習慣の一部にしましょう。

リスク要因と家族歴を知って備える

卵巣腫瘍のリスクを高めるとされる要因には、以下のものがあります。

  • 家族歴:卵巣がん、乳がん、大腸がんの家族がいる場合
  • 遺伝:特定の遺伝子変異(BRCA1、BRCA2など)を持っている場合
  • ホルモン関連:初潮が早い、閉経が遅い、出産経験がないなど

これらに当てはまるからといって必ずしも発症するわけではありませんが、日頃から自分の体に目を向け、定期的な検診や体調の変化に注意することが重要です。リスク要因を知ることで、予防意識を高め、早期対応につなげることができます。

卵巣腫瘍の治療法

卵巣腫瘍と診断されると、今後の治療について不安や疑問を抱く方も多いです。卵巣腫瘍にはさまざまな種類があり、それぞれに適した治療法があります。卵巣腫瘍の主な治療法として、以下の4つを解説します。

  • 経過観察:治療が必要ない場合もある
  • 薬物療法:進行した腫瘍や悪性腫瘍に対する治療
  • 手術療法:腫瘍の種類や進行度に応じた治療法を選択
  • 緩和ケア:がん治療中も治療後も大切なサポート

経過観察:治療が必要ない場合もある

すべての卵巣腫瘍がすぐに治療対象になるわけではありません。腫瘍が小さく、良性と考えられる場合には、経過観察が選択されることがあります。この間は、定期的に超音波検査などを行い、腫瘍の大きさや性状の変化を継続的にチェックします。

腫瘍が成長したり、悪性の可能性が疑われるようになったりした場合には、薬物療法や手術療法など、積極的な治療へと移行します。

薬物療法:進行した腫瘍や悪性腫瘍に対する治療

薬物療法は、主に悪性または進行した卵巣腫瘍に対して行われます。中心となるのは抗がん剤による化学療法で、がん細胞の増殖を抑え、腫瘍を縮小させることを目的とします。

  • 点滴による静脈投与や、内服薬で治療を行う
  • 副作用として、吐き気、脱毛、倦怠感などが見られることもある
  • 副作用を軽減する補助薬の進歩により、治療の継続がしやすくなってきている

また、新しい治療法として注目されているのが「抗体薬物複合体(ADC)」です。ADCの構成要素は、以下の3つです。

  • 抗体:がん細胞をピンポイントで識別する
  • リンカー:抗体と薬剤をつなぐ橋渡し
  • 細胞毒性薬:がん細胞を直接攻撃する強力な薬

特に「ミルべツキシマブ・ソラヴタンシン」は、白金製剤が効かないタイプの卵巣がんに対する新しい選択肢として注目されており、第III相試験で化学療法よりも高い治療効果が報告されています。

手術療法:腫瘍の種類や進行度に応じた治療法を選択

卵巣腫瘍の手術は、腫瘍の性質や大きさ、進行の度合いによって手術内容が異なります。手術の主な目的は、腫瘍の完全な切除と、がんの進行度(病期)の正確な把握です。以下は、腫瘍の種類ごとに異なる一般的な手術の方針です。

  • 良性腫瘍:腫瘍部分のみを切除し、卵巣の機能を可能な限り温存する
  • 境界悪性腫瘍:子宮、両側の卵巣・卵管、大網を切除する
  • 悪性腫瘍:子宮、両側の卵巣・卵管、大網、リンパ節、必要に応じて腸管や腹膜も含めて広範囲に切除

がんの種類や広がりによっては、正常な卵巣や子宮を残せるケースもあります。手術の前には、医師と十分に話し合い、体への負担や将来の希望を考慮しながら、最適な治療方針を決定することが大切です。

緩和ケア:がん治療中も治療後も大切なサポート

緩和ケアは、がんに伴う心身のつらさをやわらげ、生活の質(QOL)を高めるためのサポートです。治療による痛みや吐き気、倦怠感といった身体症状の緩和だけでなく、不安、抑うつ、不眠といった精神的サポートも含まれます。

緩和ケアは、治療と並行して行うことができ、患者さんがより安心して療養生活を送るための大切な支援です。希望する場合は、医療機関に相談してみましょう。

まとめ

卵巣腫瘍は自覚症状が出にくく、早期発見が難しい病気です。しかし、お腹の張りやふくらみ、頻尿、便秘などの身体の変化に注意することで、早期発見につながりやすいです。これらの症状は他の病気にも共通するため、安易に自己判断せず、少しでも異変を感じたら早めに婦人科を受診しましょう。

40歳以上の方は卵巣がんのリスクが高まるため、年に一度の婦人科検診を習慣化することが大切です。卵巣腫瘍は早期に見つけて治療を始めれば、体への負担を抑え、治療効果も高まりやすくなります。日頃から自分の体と丁寧に向き合い、健康を守る行動を心がけましょう。

参考文献

Ke Shen, Shuang Yuan, Ning Su, Furong Tang, Shamsnur Rehim, Han Wang, Huihui Guo, Yu Zhang, Yufeng Wu, Hongjing Wang. Monotherapy and combination therapy using antibody‑drug conjugates for platinum‑resistant ovarian cancer. Oncol Rep, 2025, 53, 6, p.68

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