排卵痛がいつもより強いのはなぜ?考えられる原因や病気、対処法を解説
排卵期に下腹部に痛みを感じる「排卵痛」は、多くの女性に見られる一般的な症状です。「今回は痛みが強い」「何か病気かもしれない」と不安に感じたことはありませんか?実際の研究でも、女性の約20~40%が排卵痛を経験していると報告されており、誰にでも起こりうる身近な変化です。
排卵痛が強まる原因には、ホルモンバランスの変動や冷えといった一時的な体調の変化に加え、子宮内膜症や卵巣嚢腫などの婦人科疾患が潜んでいる可能性もあります。この記事では、排卵痛が普段より強く感じられるときに考えられる要因や疾患のリスク、痛みの緩和方法や医療機関を受診すべきタイミングについて、詳しく解説します。つらい痛みに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
橋本駅南口から徒歩1分の長谷川レディースクリニックでは、生理不順やPMS(月経前症候群)など、女性特有の症状に関するご相談に加え、男性不妊に関する検査・治療にも対応しています。経験豊富な専門医が、一人ひとりのお悩みに寄り添いながら、適切な医療サポートを提供いたします。
また当院では、神奈川県相模原市・淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックと連携し、婦人科および不妊治療においてスムーズな連携体制を構築しています。検査結果や治療方針の共有により、患者さまにとって安心かつ効率的な診療環境をご提供いたします。
排卵痛とは?仕組みと主な症状
排卵痛とは、排卵の時期に起こる下腹部の痛みのことです。排卵痛のメカニズムや症状の特徴について、以下の内容を解説します。
- 排卵の仕組み
- 排卵痛の主な症状
- 排卵痛の続く期間と出現頻度
- 排卵痛と月経痛の違い
排卵の仕組み
排卵とは、卵巣内で成熟した卵子が体外に放出される自然な生理現象です。卵子は卵胞という小さな袋の中で成長し、排卵の時期になると卵胞が破れて卵子が卵巣の外に出されます。このとき、卵胞液や少量の出血が腹腔内に漏れ出すことがあります。周囲の神経や組織を刺激することで、下腹部に痛み(排卵痛)を感じる場合があります。
排卵は通常、生理が28日周期の人では生理開始から約14日後に起こるとされています。しかし、ストレスや生活リズムの乱れ、環境要因などにより、排卵日が数日前後することもあります。自分の周期を把握しておくことで、排卵の時期をより正確に予測しやすくなります。
排卵痛の主な症状
排卵痛の代表的な症状は下腹部の痛みです。チクチクしたり、ズキズキしたりする鋭い痛みから、張ったような不快感までさまざまです。痛みの程度や感じ方には個人差があり、軽い違和感で済む場合もあれば、立ち上がるのがつらいほどの強い痛みを伴うこともあります。
痛みは通常、排卵が起こる側の卵巣にあたる左右いずれかの下腹部に感じられますが、両側に痛みが出るケースもあります。また、下腹部痛のほかに次のような症状を伴うことがあります。
- 腰痛
- 吐き気
- むくみ
- 眠気
- おりものの量の増加
排卵痛の続く期間と出現頻度
排卵痛の持続時間は数時間から1日ほどが一般的ですが、体調によっては2〜3日間続くこともあります。毎月排卵痛を感じる人もいれば、周期によってはまったく感じないこともあります。なお、排卵が起こらない周期もあるため、排卵痛がないからといって異常とは限りません。
痛みの有無や強さは、ホルモンバランスや体調の影響で変動することがあります。
排卵痛と月経痛の違い
排卵痛と月経痛はいずれも下腹部に痛みを伴いますが、起こる時期や原因が異なります。月経痛は、生理が始まるタイミングで子宮内膜が剥がれ落ち、子宮が収縮することによって起こります。排卵痛は排卵期に卵胞が破れる際の刺激が原因です。
月経痛では、以下のような症状がみられることがあります。
- 鈍い下腹部の痛み
- 腰の重だるさ
- 全身の倦怠感
いずれの痛みも、日常生活に支障をきたすような強い症状がある場合は、婦人科での診察を検討しましょう。
いつもより痛いと感じる排卵痛の主な原因4つ
いつもより痛い排卵痛のときに、考えられる4つの原因について解説します。
- ホルモンバランスの乱れ
- 冷えによる血行不良
- 子宮内膜症、卵巣嚢腫などの婦人科疾患
- 骨盤内炎症性疾患、性感染症などの感染症
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの崩れは、排卵のしくみに影響を与え、痛みが強まる一因となることがあります。排卵痛とホルモンの関係については多くの研究があり、私たちの体は複雑なホルモンの相互作用によって機能していることがわかっています。
睡眠不足や不規則な食事、強いストレス、極端なダイエットなどはホルモンの分泌を乱しやすく、必要な栄養が不足することでホルモンの生成に支障をきたすことがあります。
冷えによる血行不良
体が冷えると血流が悪くなり、下腹部の痛みや違和感をより強く感じることがあります。また、冷えは自律神経のバランスを乱す原因ともなり、排卵痛の悪化につながることがあります。
体をしっかり温めて血行を促進することは、自律神経を整え、排卵痛を和らげるためにも効果が期待できます。
子宮内膜症、卵巣嚢腫などの婦人科疾患
下腹部の痛みが普段よりも強く長引く場合は、婦人科疾患の可能性も考えられます。排卵期の痛みを悪化させる主な疾患には以下があります。
- 子宮内膜症:子宮内膜に似た組織が子宮外に発生し、炎症や癒着を引き起こす疾患
- 卵巣嚢腫:卵巣に液体がたまった袋状の嚢胞ができる疾患
これらの疾患は進行すると不妊や慢性的な痛みにつながることがあるため、早めの診断と対応が重要です。
骨盤内炎症性疾患、性感染症などの感染症
骨盤内炎症性疾患や性感染症といった感染症も、排卵痛を強める原因になり得ます。これらは細菌感染によって、子宮や卵巣、卵管などに炎症が広がることで発症し、排卵時に強い痛みを引き起こすことがあります。
放置すると炎症が慢性化し、他の臓器にも悪影響を及ぼす可能性があります。性感染症は初期に自覚症状が少ないことが多く、気になる症状がある場合は早めに婦人科を受診することが大切です。
排卵痛を和らげるために把握しておくべきこと
排卵痛を和らげるための、5つの方法を解説します。
- 市販の鎮痛薬は正しく使う
- 温活で下腹部を温めて血行を促進する
- 軽い運動やストレッチを行う
- 食事と睡眠でホルモンバランスを整える
- ストレスをためずに心身のバランスを保つ
市販の鎮痛薬は正しく使う
排卵痛の緩和に市販の鎮痛薬を使う際は、自己判断に頼らず、医師や薬剤師に相談して自分に合った薬を選ぶことが重要です。正しい服用で効果を得るためには、以下の点に注意しましょう。
- 用法・用量を必ず守る
- 長期間の連続使用や過剰摂取は避ける
- 副作用として胃腸に負担が出ることがある
- 持病のある方や妊娠の可能性がある方は事前に専門家へ相談する
温活で下腹部を温めて血行を促進する
体を温めることで血流が良くなり、下腹部の痛みが和らぐ可能性があります。効果が期待できる温活の方法は以下のとおりです。
- 腹巻きやカイロ、湯たんぽを使って下腹部を温める
- 38~40度程度のぬるめのお湯に15〜20分ほど浸かる
- シャワーだけでなく湯船に浸かる習慣をつける
- 温かい飲み物を積極的にとる
冷えを感じやすい方は、日常生活の中に温活を取り入れてみましょう。
軽い運動やストレッチを行う
無理のない運動やストレッチは血流を改善し、骨盤まわりの筋肉をほぐすことで排卵痛の軽減が期待されます。運動は全身の健康維持にも役立ちます。
- 週に2〜3回、30分程度の軽い運動を取り入れる
- 骨盤周りを意識したストレッチを行う
- 体が温まっている入浴後のタイミングに行う
日々の習慣として継続することで、体調管理にもつながります。
食事と睡眠でホルモンバランスを整える
栄養バランスの良い食事と質の高い睡眠は、健康な体づくりの基本です。生活リズムを整えることで、自律神経やホルモンの安定にもつながります。
- ビタミンやミネラルを含むバランスの良い食事を心がける
- 睡眠不足は自律神経を乱す原因になるため注意する
- 就寝前のカフェイン摂取は避け、規則正しい睡眠習慣を守る
心身の回復を促すためにも、日々の生活を見直すことが大切です。
ストレスをためずに心身のバランスを保つ
ストレスはホルモンや自律神経の働きを乱し、排卵痛を悪化させる原因になることがあります。心を穏やかに保つための工夫を生活に取り入れましょう。
- 音楽鑑賞やアロマ、読書などリラックスできる時間を持つ
- 信頼できる相手に話を聞いてもらう
- 必要に応じてカウンセリングを活用する
過度なストレスを抱え込まず、自分なりの方法で適度に発散することが大切です。近年では、生活習慣の改善が婦人科の痛みの軽減に役立つという研究報告もあります。
排卵痛があるときは婦人科へ|受診の目安
排卵痛で婦人科を受診する目安と、受診時のポイントについて解説します。
- 痛みが激しい、長引く場合
- 発熱、おりものの異常を伴う場合
- 市販薬で改善しない場合
- 妊娠の可能性がある場合
- 婦人科の選び方
痛みが激しい、長引く場合
排卵痛は通常、数時間から2〜3日程度で治まるとされています。痛みが数日以上続く場合や、日常生活に支障をきたすほど強い場合は、子宮内膜症などの婦人科疾患が隠れている可能性があります。子宮内膜症は進行すると不妊のリスクを高めることもあるため、早期の発見と治療が重要です。
発熱、おりものの異常を伴う場合
排卵痛に加えて発熱やおりものの異常が見られる場合、骨盤内炎症性疾患や性感染症などの感染症が原因となっている可能性があります。以下のようなおりものの変化がある場合は、早めに婦人科を受診しましょう。
- 黄色や緑色に変色している
- 血が混じっている
- 通常より量が多い
- 生臭いにおいがする
- かゆみを伴っている
感染症を放置すると、不妊症や慢性骨盤痛に発展する可能性もあります。
市販薬で改善しない場合
市販の鎮痛剤を使っても痛みが軽減しない場合は、我慢せずに婦人科を受診しましょう。市販薬はあくまで一時的な痛みの緩和を目的としたものであり、根本的な原因の改善にはつながりません。自己判断で長期間使用し続けると、副作用のリスクが高まるおそれもあります。
妊娠の可能性がある場合
排卵痛に似た症状が、妊娠初期にも現れることがあります。初期の出血や下腹部痛は、流産や子宮外妊娠などの異常妊娠が関与している可能性もあるため注意が必要です。「排卵痛だと思ったら妊娠だった」というケースもあります。
妊娠の可能性がある場合は、市販の妊娠検査薬で確認を行い、陽性反応が出た場合は早めに産婦人科を受診しましょう。医師による正確な診断が、安全な妊娠管理につながります。
婦人科の選び方
排卵痛で婦人科を受診する際には、あらかじめクリニックのWebサイトなどで診療方針や雰囲気を確認しておくと安心です。オンライン診療を活用すれば、自宅から気軽に相談することも可能です。受診時には以下の情報を事前にメモしておくと、診察がスムーズに進みます。
- 痛みが始まった時期と持続時間
- 痛みの場所や強さの程度
- 生理周期の情報
- 基礎体温の記録
排卵痛が原因不明の場合の代替医療:オステオパシー
排卵痛の原因が明確でない場合、補完代替医療の一つである「オステオパシー」も選択肢となる可能性があります。オステオパシーは、筋肉や骨格、神経系のバランスを整えることで体の自然治癒力を引き出す施術法で、一部の研究では月経痛の緩和に有効とされる結果も報告されています。
ただし、日本では医療行為としては承認されていないため、利用する際は必ず事前に医師に相談のうえ、信頼できる施術者を選ぶことが大切です。
まとめ
排卵痛は多くの女性が経験する一般的な症状ですが、痛みの強さや続く期間には個人差があります。ホルモンバランスの乱れや体の冷え、婦人科疾患などが関係し、いつもより強い痛みを感じることもあります。痛みの緩和には、以下のような対策が有効です。
- 市販の鎮痛薬を正しく使用する
- 腹巻きやカイロなどの温活グッズで下腹部を温める
- 軽い運動やストレッチを取り入れる
- 栄養バランスの良い食事と質の良い睡眠を心がける
- ストレスをためずにリラックスする時間を持つ
次のような症状がある場合は、無理せず早めに婦人科を受診しましょう。
- 痛みが強い、または数日以上続く
- 発熱やおりものの異常を伴っている
- 市販薬を服用しても痛みが軽減しない
- 妊娠の可能性がある
つらい排卵痛とうまく付き合うためには、適切なケアと必要なときの専門的サポートが重要です。気になる症状があれば、医師に相談して原因を明確にすることが安心につながります。
参考文献
- Maximilian Plathner, Lars Wolf. Effectiveness of osteopathic treatment in women with primary dysmenorrhea: A randomised controlled trial. J Bodyw Mov Ther, 2025, 42, -, p.684-692
- Karishma Silwal, Prakash Babu Kodali, Hemanshu Sharma, Peony Biswas, Jigyasha Menghani, Gulab Tewani, Pradeep M K Nair. Efficacy of Arogya Rakshak Panchatantra (Five Lifestyle Principles) on Heart Rate Variability and Menstrual Symptoms in Primary Dysmenorrhea: A Randomized Controlled Trial. J Integr Complement Med, 2025, 31, 5, p.471-482
- Nathan R. Brott, Jacqueline K. Le. Mittelschmerz. StatPearls, 2023
