精子の運動率とは?その定義と日常生活、必要な栄養素についてわかりやすく紹介
「赤ちゃんが欲しいけれど、なかなか授からない」そんな思いを抱える夫婦は多いです。原因として、男性側の精子の運動率が低下しているケースが挙げられます。精子の運動率とは、活発に動いている精子の割合を示す指標の一つです。
本記事では、精子の運動率を高めるために役立つ方法について、生活習慣の見直しから必要な栄養素の摂取まで解説します。適切な対処を行うことで、精子の質を改善し、妊娠率の向上が期待できます。
橋本駅南口から徒歩1分の長谷川レディースクリニックでは、生理不順やPMS(月経前症候群)など、女性特有の症状に関するご相談に加え、男性不妊に関する検査・治療にも対応しています。経験豊富な専門医が、一人ひとりのお悩みに寄り添いながら、適切な医療サポートを提供いたします。
また当院では、神奈川県相模原市・淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックと連携し、婦人科および不妊治療においてスムーズな連携体制を構築しています。検査結果や治療方針の共有により、患者さまにとって安心かつ効率的な診療環境をご提供いたします。
精子の運動率の基準と検査方法
精子の運動率の定義と検査方法について、以下を解説します。
- 精子の運動率の定義とその重要性について
- 精子の運動率の基準と低下による影響
- 精子の運動率の検査方法
精子の運動率の定義とその重要性について
精子の運動率とは、精液中に含まれる精子のうち、活発に動いているものの割合を数値で示したものです。運動率は妊娠に深く関わっており、運動率が高いほど卵子まで到達して受精する可能性が高まります。運動率が低い場合は卵子にたどり着ける精子が減少し、妊娠の成立が困難な可能性があります。
運動率の測定は顕微鏡を用いて行われ、精子の動きは以下の3つに分類されます。
- 前進運動(直線的に進む)
- 非前進運動(円を描くような動きなど)
- 不動
前進運動をしている精子の割合が「精子の運動率」として算出されます。
精子の運動率の基準と低下による影響
世界保健機関(WHO)が2021年に発表したガイドラインでは、精子の運動率の正常値は42%以上と定義されています。検査を行う施設によって基準が異なる場合もあるため、結果は専門の医師に確認しましょう。運動率が基準を下回ると、自然妊娠が困難になる可能性があります。
主な原因として、加齢や生活習慣の乱れ、ストレス、肥満などが挙げられます。特に肥満は、精液量の減少や運動率の低下、正常形態の精子の減少などの影響と関連するとされています。精子の運動率が低いと診断された場合でも、適切な生活習慣の見直しや治療により、状態の改善が期待できます。
「クロミフェンシトラート」という薬剤は、ホルモンの分泌や精子の生成を促進することで、精液の質を向上させる作用があると報告されています。クロミフェンシトラートは医師の管理のもとで処方される医療用医薬品であり、自己判断での使用は避けましょう。
精子の運動率の検査方法
精子の運動率は、精液検査によって確認ができます。精液検査は泌尿器科や不妊治療を専門とするクリニックで受けることが可能です。検査の基本的な流れは以下のとおりです。
- 医療機関に精液を提出
- 顕微鏡を使って精子の運動状態を観察
- 結果を分析し、医師から説明を受ける
検査費用は施設によって異なりますが、一般的に5,000〜10,000円程度です。採取の前には2〜7日間の禁欲期間を設ける必要があります。禁欲期間が短すぎると精液量が不足し、長すぎると精子の運動率が低下する可能性があります。検査結果が出るまでには通常1週間ほど必要です。
精液検査では、運動率だけでなく、精液の量・精子の濃度・精子の形状などの項目も評価します。全てが妊娠に関わる重要な要素であり、総合的な評価が大切です。
精子の運動率を高めるための生活習慣の見直し
精子の運動率を高めるための生活習慣の改善方法について、以下を解説します。
- 適度な運動
- 良質な睡眠の確保
- 禁煙
- アルコール摂取の制限
- ストレスへの対処
適度な運動
適切な運動習慣は、精子の運動率を高めるうえで重要です。運動によって得られる効果として、肥満の改善が挙げられます。研究によると肥満は精子の運動性の低下と関連しており、体重を適正に保つことが大切です。運動によって血流が促進されることで、精巣への酸素や栄養の供給が活発になり、精子の質の向上が期待できます。
体を動かすことでストレスの軽減にもつながり、ホルモンバランスも整いやすくなります。推奨される運動例は以下のとおりです。
- ウォーキング:1日30分程度
- ジョギング:週に3〜4回、各回30分程度
- 水泳:週2〜3回、1回あたり30分程度
良質な睡眠の確保
質の良い睡眠は、ホルモンの正常な分泌とストレスの軽減に大きく関与します。快適な睡眠を得るためには、以下の点に注意しましょう。
- 就寝・起床時間を毎日同じにして、生活リズムを整える
- 寝る前にはカフェインを摂取しない
- スマートフォンやパソコンなどのブルーライトを就寝前には控える
- 室温や湿度、騒音など寝室環境を快適に保つ
一般的に成人の適切な睡眠時間は7〜9時間とされていますが、個人によって異なるため、自分に合った睡眠サイクルを見つけることが大切です。
禁煙
喫煙は精子の質に悪影響を及ぼし、精子DNAの損傷や運動率の低下、精子数・精液量の減少につながる恐れがあります。禁煙で精子の質が改善されるだけでなく、全身の健康状態の向上も期待されます。禁煙が難しい場合は、医師に相談し、禁煙補助薬の利用や禁煙外来の受診を検討しましょう。
アルコール摂取の制限
過剰なアルコール摂取により、精子数の減少や運動率の低下、形態異常などが報告されています。アルコールを完全にやめることが難しい場合は、摂取量を抑えることが重要です。目安は、1日あたり純アルコール20g程度(ビール中瓶1本、日本酒1合、ワイングラス2杯ほど)にとどめるよう意識しましょう。
ストレスへの対処
慢性的なストレスは、ホルモンバランスを乱し、結果的に精子の運動率を下げる要因となる可能性があります。以下の方法で、日常的にストレスをコントロールしましょう。
- 趣味に没頭する時間を持つ
- 瞑想やヨガなどで心身を整える
- 自然の中でリラックスする機会を作る
- 家族や友人との交流を大切にする
- 必要に応じて心理カウンセラーなど専門家に相談する
精子の運動率向上のための栄養素とサプリメント
精子の運動率向上が期待できる栄養素・サプリメントは、以下のとおりです。
- 亜鉛
- セレン
- コエンザイムQ10
- L-カルニチン
- アルギニン
亜鉛
亜鉛は精子の形成に関与する必須ミネラルです。亜鉛を多く含む食品は以下が挙げられます。
- 牡蠣
- 牛肉
- 豚レバー
- 卵
- チーズ
1日あたりの推奨摂取量は約10mgです。亜鉛は細胞分裂に不可欠で、不足すると精子の数が減少し、運動性にも悪影響を及ぼす可能性があります。
セレン
セレンは強力な抗酸化作用を持ち、精子を活性酸素によるダメージから守ります。セレンを多く含む食材は、以下のとおりです。
- マグロ
- カツオ
- いわし
- 牛・豚・鶏肉
- 卵
- ナッツ類
推奨摂取量は1日あたり約50μgとされます。セレンは、酸化ストレスダメージや精子の運動能力低下の予防が期待されます。
コエンザイムQ10
コエンザイムQ10は、エネルギー産生を担うミトコンドリア内で働く補酵素です。コエンザイムQ10は、以下の食品に多く含まれます。
- 牛肉
- 豚肉
- 鶏肉
- いわし
- サバ
- さんま
コエンザイムQ10は、ATPの生成を助けることで、精子の活発な運動をサポートします。
L-カルニチン
L-カルニチンは、脂肪酸をエネルギー源としてミトコンドリアへ運搬する働きがあり、羊肉や牛肉、鶏肉などに多く含まれます。推奨摂取量は1日あたり500〜2000mg程度とされますが、明確な基準はありません。L-カルニチンはエネルギー代謝に関与し、精子の健康維持をサポートする栄養素として注目されています。
アルギニン
アルギニンは、精液の主成分である精漿の生成に関与するアミノ酸です。多く含まれる食品は大豆やくるみ、鶏肉、豚肉などです。1日の推奨摂取量は、一般的に数グラム程度とされます。アルギニンの摂取により精液量が増加し、精子数の増加にもつながる可能性があります。
栄養素の必要量には個人差があり、明確な基準がない場合もあるため、サプリメントなどで補う際は、医師や管理栄養士へ相談しましょう。精子の運動率を改善するには、栄養管理を含めた総合的な生活習慣の見直しが大切です。
サプリメントを選ぶ際のポイントと医師への相談
サプリメントを取り入れる場合、以下の点に注意しましょう。
- 成分表示の確認:信頼性の高いメーカーが製造した製品を選ぶ
- 推奨摂取量を遵守:必要以上に摂取すると、体に悪影響を及ぼす可能性がある
- 生活習慣との併用が大切:食事や運動、睡眠などの生活全体の見直しと並行する
サプリメントの利用に不安を感じる場合は、医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
まとめ
精子の運動率を改善することは、妊娠の可能性を高めるために重要です。バランスの良い食事と適切な栄養摂取を意識し、日常的な無理のない運動や十分な睡眠の確保を意識しましょう。禁煙やアルコールの摂取を控え、ストレスを上手に管理することも精子の質に良い影響を与えるとされています。
亜鉛やセレン、コエンザイムQ10などの栄養素は、精子の運動性を高める効果が期待されており、必要に応じてサプリメントを取り入れるのも一つの方法です。生活習慣を整え、栄養面を含めた総合的なケアを継続することで、精子の運動率の向上が期待できます。精子の運動率の低下や改善方法に不安がある場合は、専門の医師に相談しましょう。
参考文献
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